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3話 仮説立案のメリット
阿多古神社に
春、樹々が芽吹き神社に新しい彩りが生まれる。
会社員(24歳男性)が髪の毛はボサボサ、目の下には大きなクマで大鳥居から石段をゆっくり登ってくる。社殿の正面に立ち、お賽銭箱に小銭を投げ入れた。手を静かに合わせて礼を深々とした。
今回のお願い
「私は、今年入社して3年目です。仕事が期限に終わらず、いつも先輩から怒られます。スケジュールを立てろと言われるんですが、スケジュールを立てても上手くいきません!仕事を進めるのが上手くなりますように!」
神様の茶屋へ
(時間とは儚いものじゃ‥‥)
(暇を持て余してたところじゃ、ちと遊ぶか。)
願いを終えた会社員の頭に声が響く。
──後ろにある茶屋に行くのじゃ
会社員は社殿を後にし、茶屋へと向かった。旅館の様な雰囲気のある茶屋、台所らしき場所の窓柵から甘い香りが漂っている。扉を開けると、室内には2名掛けのテーブル席が5席と、奥には和室が3室ある。店員はみな女性で巫女服を着ている。
「いらっしゃいませ!」
「そちらでお待ちください!」
会社員は入口で立っている。
奥の厨房からひとりの巫女が現れた。巫女の目の奥は金色に輝いている様に見える。
会社員(‥‥眠い)
「待たせな、こっちの和室にくるのじゃ!」
会社員は言われままに、巫女の指示に従って奥の和室に入った。会社員が靴を脱ぎ、敷居を跨ぎ座敷に上がると、後ろから巫女が続き静かに襖を閉めた。
「余の名はミヅハノメ、そこに座るのじゃ」
「さて、仕事の進め方がわからん、と
試しにこのやり方はどうじゃ〜?」
会社員は座布団に正座しているが、巫女はテーブルの向かい側で胡座をかいて膝に肘を置いて喋っている。信じられないが、浮いている。
現実を理解できないでいる会社員が一切気にしないミヅハノメは、
「まずは、この虎の巻を読めば良い。」
そう言い放ち、ミヅハノメの肩越しから巻物がフワリと飛んで来て、巻物は空中で捻れるように回転し、縛られてた紐が解けてテーブルに広がった。
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虎の巻解説
ミヅハノメのは胡座のまま、前屈みになり虎の巻が置かれたテーブルの上で浮いている。豊満な乳房が露わになりそうである。かろうじて、興味がそそられる突起部分が見えない。
「仕事を依頼された時、
必ず、なんらかの数値が上下している!
その原因の仮説を立てるのじゃ!」
──会社員の頭に直接、ミヅハノメの声が届く。
仮説を立てるメリットは、まず期日に何を証明するかを決めるという目標を作れること。この結論があるかないかで、仮説が誤りだとしても誤りという事が証明された事実をもとに仕事は進むんじゃ。
情報収集を先なやらないことじゃ。原因のアタリをつけてから、関連する情報を探し始める。そうする事で、情報収集にも一貫性が出てくる。
会社員は頷きながら、真剣に聴いている。しかし、さっきから会社員の周りが甘い香り漂っている。その空気の色気がどんどん濃くなってきた。
「出典はあるのでしょうか?」
「なにぃ?神の教えこそ原点じゃ、
何を戯けた事を!
頭はスッキリしただろう、
それじゃ、褒美を貰うぞ!」
ミヅハノメのご褒美
ミヅハノメの周囲には小さな水滴が幾つも浮遊している。その水滴は金色に輝いて、会社員の唇に触れると会社員の内側から強烈な性欲が盛り上がりをみせた。
ミヅハノメは会社員のボサボサの髪に向かって、指を鳴らした。会社員の髪はオールバックになり、髪はしっとりと濡れて、甘い香りが全身を覆った。
「余は恋愛の神じゃ、
この部屋は次元を絶っておる、
何をしても外界から干渉されない。」
「‥‥何しても?」
「仮説を証明する気持ちが昂っておるな?」
「はぃい!」
会社員はミヅハノメの妖艶で程良い厚みの唇にむしゃぶりついた。会社員の腕の毛が金色の水滴を吸って、逆立っている。と同時に早くひとつになりたいと感情が暴走する。
会社員は理性を失い、巫女に覆い被さった。
──夕刻が近づき
会社員は目を覚ますと、お賽銭箱の前に立ったままだった。会社員は万能感を手に入れたような気分が高揚している。一体何があったのか、記憶にないが参拝した効果は抜群のようだった。悩んでいた事すら忘れて、足取りは軽く階段を降りていく。
美琴はバイトを終えて、帰宅した。
いつもよりも強い疲労感を感じている。しかし、気分は良い、肌艶も心なしか状態が良いと思う。
3話完
以下、関連する書籍(抜粋)
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