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虹色

それからは、ひたすらに彼らの曲を順番に追っていった。

離れてしまってからの楽曲、昔から何度も聴いていた楽曲。

彼らが送り出してくれたものを、全力で受け取りたくて、何度も何度も聴いた。

ずっとずっと長い間、灰色だった世界が、彼らの音楽のおかげで虹色になったようだった。

散歩をしていても、転職の面接に向かう道すがらも、家事をしているときも、電車に乗っている瞬間でさえ、彼らの音楽があればキラキラして見えた。

昔は彼らのライブに行きたい、という気持ちはないと思っていた。

けれど、それも押さえつけていただけなのかも知れない、そう思った。

だって、「私」は今、こんなにも彼らに会いたい。

彼らの送り出してくれた曲を、直接身体中で受け取りたい。

だから、必ず会いに行くんだ。彼らの音楽を受け取るために。

そして今までの私であれば絶対にしなかったであろうことも始めた。

BUMP OF CHICKENを好きな人たちと繋がりたい。話してみたい。

その想いでSNSを始めた。

他人の目を異常に気にしていた頃は

「自分の日常を素敵に見せなくてはいけない」

「自分の好きな事や物を否定されるのが怖い」

「自分の発信した情報に対して、指摘されたりしたら怖い」

なんて理由で敬遠していたけれど、その時はそんなことよりも彼らに対する熱量を共有して共感出来る仲間が欲しかった。

その日中にアカウントを開設して、BUMP OF CHICKENのリスナーをどんどんフォローした。

そのうち、自分のつぶやきに対して反応があったり、同じリスナーと会話をすることが増えてきて、その度に自分とは違う、でも似ている、彼らに対する優しい「熱量」を感じて嬉しくなった。

自分の大好きなものを大好きな人達と、気持ちを共有出来て、大好きだったものがもっと好きになるような感覚だった。

また一つ、自分の知らなかった世界を知ることが出来た。

そのうち、自分の書いた文章を公開し見てもらうことが出来る「note」の存在を知った。

「蛙化現象」や「親との違和感」について、自分がどん底にいた時、欲しかったものは「情報」と「経験談」だった。

他人には理解してもらい辛い事を伝える事、自分の恥ずかしい嫌な部分をさらけ出すことはすごく怖かった。

けれど、少しでも「変わることが出来た」「前に進めている」と感じることが出来ているこの気持ちを、今、同じことで悩んでいる人にも感じて欲しい。

私のこの経験が、少しでも役に立つのなら、伝えてみたい。

届くかは分からないけれど、届くように形にしたい。

怖いのさ 僕も君も
自分を見るのも見せるのも 或いは誰かを覗くのも

ー出典:「メーデー」/作詞作曲:藤原基央
生きる力を借りたから 生きている内に返さなきゃ
涙や笑顔を忘れた時だけ 思い出して下さい
同じ苦しみに 迷ったあなただけに 歌える唄がある
僕だけに聴こえる唄がある

ー出典:「花の名」/作詞作曲:藤原基央

理解してもらい辛いことかも知れない。

けれど。

同じように悩んでいる人に届けばそれで良い。

万人に理解して貰えなくても良い。

実際に経験した私にしか分からない、私にしか伝えることが出来ない言葉がきっとある。

一度で伝わらないなら、何度でも伝えれば良い。

きっかけを渡すことが出来るだけでも良い。

自分が欲しかった「情報」を、自分で残していこう。

そう決めた。

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