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【詩】A song for two boys

わたしは泣いたことがない
呟く彼女
泣き虫だった少年は
泣き虫だったのに
自分のことを
言い当てられた気がした
確かに抽斗を開けると
いちども火を着けたことのない
ロウソクが一本あった
その白さ
的に当たった矢羽根がゆれる
(彼女のその後はまた別の物語)

濃い眉毛
短いまつ毛
きみを挿入している時に
左目尻へと触れてみる
すきだな、このほくろ
への字に曲がった口が呟く
「キライなんだ、泣き黒子ボクロ
堅い毛髪を両の手のひらでつつみ
ぼくはもっときみへと降りていく
「泣き虫だったから」
泣き虫なのは優しい証だよ。
ぼくの粘膜を傷つけているきみへ
ぼくは囁いてみせた
(ぼくは僕にそんなこと、
一度だって言ってやらない)
もっと奥まで連れていくよ
そしたら存分に暴れてほしい
いつ
だれに
泣かされたの
なんて訊かないから
泣けなかった分までこの暗がりで
泣いていい 暴れていい
くちびるをやわらかに

天までのぼったこと、あるかい
そんな日の陽射しのように
シーツが 白いハレーション




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詩のタイトルは浜崎あゆみさんの歌
詩の1行目は中森明菜さんの歌から
拝借しました。
ふたりとも好き~。
だってゲイだもん。


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