見出し画像

「いつかやり直す」を信じることにした女の話。


これは先日の、わたしの誕生日前夜の話。

彼と会った。呼びたくないけど、もう"元彼"らしい。
この日彼はある仕事の試験を受けていて、その帰りに会うことを決めていた。
試験勉強を手伝っていたので、最近やたらと連絡を取ってしまっていたけど、今日が終われば明日からわたしたちはどうなるのか。未知すぎてこわいけど、この日をすごく楽しみに一週間がんばった。


試験会場のビルの下で待っていると伝えると、割とすぐに「終わったよ」と返事がきた。
でもその後しばらく連絡がなく、知らない都会の夜に一人、かなり心細い。こうやってひとりで待つことが多いんだよなぁ(涙)
でもわたしは知っている、彼がこういう放置をするときにはサプライズが待っていると…!(笑)

座っていたら、後ろから彼が登場!
「お誕生日おめでとう!」
案の定彼は、すぐそこのデパートに駆け込んで、事前に考えていたわたしの誕生日プレゼントを急いで買ってきてくれたらしい!(笑)
彼の不器用な時間の使い方も、ただ愛おしい。
しかもプレゼントのセンスが良すぎてびっくり。
あんなに自分のことばっかりで余裕がなかったのに、誕生日だからって考えてくれたんだなあ。
しかも試験には合格したらしい!おめでとう。

食事に行くために歩き出す。
彼に急に、「よく考えたら、俺たちの関係でプレゼントあげてもよかったのかな?あと、今日どういう気持ちで来た…?」って聞かれた。
わたしは、「最近いつも話し合いの結果泣いて帰ることが多かったから、今日ぐらい楽しいだけでいいじゃん!と思ってるよ。プレゼントはすごく嬉しいからいいんだよ!(笑)ほんとにありがとう」と返した。これ本心!

レストランはわたしが選んだ。二桁階で、窓がおっきくて夜景が綺麗なところ!いつも同じ居酒屋なわたしたちには珍しいけど、誕生日ぐらいいいよね。
彼はソワソワしながらも楽しめたみたい。
お互い翌日仕事だけど、どうしても2軒目に行きたい!というわたしの願いを叶えてくれることに。
地元に戻っていつもの居酒屋へ。

そこで、わたしが彼に対して最近考えていたことを全部話した。
彼は、とことん聞かせて!ってゆっくり聞いてくれた。
ちょっと涙が出てしまうことはあっても、だいたい笑顔でポジティブに話せた。
彼がわたしを見てくれている優しい顔を見るたびに、好きすぎてもっと泣きそうになる。
一生一緒にいたいなぁ、としか思えない。
今日すっごく雰囲気がいいから、これ、さては戻れるかも………?なんて期待するぐらいにはいい時間だった。


それから公園に移動した。
「明日のためにちょっと早めに帰ろうね、いつも自分のことばっかでごめんね。」と言われたから、少しだけ。
夜の公園では勝手にいい雰囲気になる。
彼の方からキスしてくれた。嬉し涙を隠しながらハグした。

ここで、「◯◯に彼氏でいてほしい。」とわたしの本音が出てしまった。

今日一日ニコニコわたしの話を聞いてくれていた彼はこう返してくれた。


「ありがとう。でもやっぱり今は戻れない!どう考えてもこのままだと◯◯を傷つけ続けるし、実際◯◯もそう思うでしょ?どの選択をしても傷つけてしまうのかもしれないけど。それに今戻ったとしたら、◯◯が耐えるってことになってしまうから、その限界がきたら今度こそ本当の別れが来そうでこわい。周りの人たちもこんな奴やめとけって言うと思う。じゃあ俺が変わればいいだけの話だけど、最近の自分を見てくれてもわかるように、これからしばらくは仕事が大変で、今はやっぱり無理だから、ちゃんとしてからやり直したいのが本音。」



ああ、雰囲気じゃ押せないなあと思った。
いけるかもと思ったのにな。
彼の主張は一貫してるな。
今回のことは全部わたしが別れを切り出さなければよかっただけの話なのかもしれない。
でもいつかは結局こうなっていた気もする。


結局振り出しか……。そろそろ諦めないとだめな時なのかな。諦めて遠い目をしているわたし。
なのにやたらと優しくくっついてくれている彼。
期待させないでよ……って泣きそうになっていると、

「あれ、さては永遠の別れだと思ってる?!」

そんなわけないじゃん!と言わんばかりに抱きしめてくれる彼。あれ?今しあわせだな?一旦別れがしっかり決まったはずなのにな?
もういいや。今日は当初の予定通り楽しい気持ちで帰ろう!と、なげやりに抱きしめ返した(笑)


さっきまではやく帰りたがっていた彼、わたしが公園を出ようとすると、まだ大丈夫!ほら座って!って言ってくっついてくる。
やっぱりこの人、わたしのこと好きなようにしか見えないな。

帰り道もずっとじゃれていた。
彼が最後に言ってくれた。

「あの日、二人がいちばん別れの危機だった時にも、こうやってふざけ合って歩いてたよねって話しながら、一緒に帰れたらいいな。」



その言葉で、フッと心が軽くなった。
彼の言葉を信じよう、と思った。


今までのわたしだったら、そんなの口だけだと思って、ほんとは他に行きたいだけじゃないの!?って思ってしまうところだけど、言葉の裏の裏を考えすぎるのは悪い癖だと、この前反省したところだ。
彼の言葉を100%そのまま受け止めれば、健康的に生きられるはず。
裏切られたら、そのときはそのとき。
でも、裏切られるかもって心配し続けて過ごすことは、誰も幸せにしない。

もし周りに、そんな日来るわけないって!はやく次いきなよ!と言われたって、わたしは心の奥底でこの言葉を信じながら生きていくと思う。

そりゃあ突然溺愛してくれる完璧超人が現れて、どう考えてもこの人とのほうが幸せになれる!と思ったらそりゃあわたしの気持ちも変わるかもしれない(笑)


でも今は、彼のことが好きな気持ちを殺さず、いつか来るかもしれない未来を信じることに決めた。


皮肉なことに、今年一番しあわせなデートだった。
これがしばらく無いの、キツすぎる。
でも今は彼を応援しながら、わたしはわたしでがんばる。



はやめに帰宅して、彼からのプレゼントを早速使い、明るい気持ちでわたしは一つ年齢を重ねた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?