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目の端に見えるアレが気になってしょうがない。

5時間45分と66回。

先週一週間のうち、スマホを開いていた平均時間とスマホを持ち上げた平均回数だ。
(iPhoneのスクリーンタイム調べの数値。これを見ている間にも、1分1秒と「開いていた時間」が加算されており、「持ち上げた回数」も確実に1回分加算されていると思うと複雑な気持ちになる)

「平均」と書いているからお分かりかとは思うが、改めて強調しておく。

これは「7日間の合計」ではない。あくまで「1日あたりの平均」である。

そして当然ながら、1日あたりの平均に7をかけると「7日間の合計」もわかる。

40時間21分と464回。

(まじで…?)

いやいや、とっても賢い私のことだ、使用時間が長いとはいえ、ちゃんと取捨選択して必要なこと(例えば友達との連絡とか、本当に観たいコンテンツとか)にしか使っていないはずだ。きっとそうに違いない。

どれどれ…?
- Facebook : 9時間16分
- YouTube : 6時間31分
- ティーバー : 5時間6分
- LINE : 3時間55分
- Instagram : 2時間12分

…。

本当に笑えない。全く恐ろしいとしか言いようがない。

確かに料理中はYouTubeを、食事中はお供としてティーバーを観ているため、このあたりは想像の範疇。

問題はFacebookだ。

確かに私は手持ち無沙汰になるとダラダラとFacebookをスクロールしてしまうことが多い。

Facebookをスクロールしていくと、バスケのプレー動画(真似しようとしてみるが全然上達しない)、子ヤギとゴールデンレトリバーの可愛い動画(心が疲れているのだろうか)、海外のドジな人たちの動画(無条件に元気が出る)、脱毛の広告(こいつは本当にうるさい)、時々tiktok的な女性が踊っている動画(これはなんでだ、多分男性とバレているからか)が際限なく流れてくる。

これをぼーっと流しているうちに時間が経っているようだ。

それにしても明らかに9時間16分は異常な数値である。

仮に1割はちゃんと観たいもの(特に子ヤギとゴールデンレトリバーは必須だ)を観ていると仮定しても、約8時間は無駄にしている。

8時間もあれば、映画を4本は観れるし、新書なら3冊は読めるし、男子マラソン選手ならフルマラソンを2往復できてしまう。

現代人の平均がどのくらいなのかは知らないが、1週間に40時間21分と464回という数字は自分にとってかなりショックで、その衝撃のおかげでかつてさらっと読んだ2冊の新書を再び手にとった。

アンデシュ・ハンセンさんの「スマホ脳」とアンナ・レンブケさんの「ドーパミン中毒」だ。

2冊とも「ドーパミン」という脳内物質がスマホ依存に深く関わっていると言っている。

ドーパミンの役割とスマホとの関係性を簡単に要約すると以下の通り(間違っていたらすみません)

-ドーパミンとは脳内物質の一つで、生物の行動の報酬となる物質となる
(つまり簡単にいうとドーパミンが放出されると嬉しくなる)

- ドーパミンは人類が生き延びるために必要な行動をすると放出される
(正確に言うと、特定の生き延びるために有利だった行動に対してドーパミンが出た祖先が生き残った)

- ドーパミンは欲しいもの(新しい情報、食べ物、承認、異性)を得られるかもしれないと期待した時に最も多く分泌される
(たまにしか実がならない木にも、食べ物があるかもしれないと思って登ってみた先祖が生き残ったため、「かもしれない」に非常に興奮するのだ)

- 人間がスマホはスクロールする時には、次にいい(=生存に有利な)情報がある「かもしれない」という期待にドーパミンがドバドバ出ている

つまり、「スマホ脳」の筆者の言葉を借りると、
"スマホは、報酬系システム(代表的なものがドーパミン - 著者註)の基礎的なメカニズムの数々をダイレクトにハッキングしているのだ(Hansen, 2020)"
ということ。

なるほど、これには納得できる部分が少なからずあると思う。

例えばスマホの通知音を聞いたとき、もはや自分の意志の力がどうこうというより何か無意識的・条件反射的に、言葉を変えれば抗おうと自分が考えるよりも前にスマホを手に取ろうとしている経験を、現代を生きている誰もがしたことがあるのではないか。

(ちなみに余談ではあるが、食事中にスマホをテーブルに置いておくだけで全員の食事に対する満足度が減るとか、スマホが目に入るだけでそれを無視しようと思ってブレインパワーを使ってしまっているみたいな面白い話もあった。どんだけスマホにハックされているんだ人間…)

では、脳をハックされてターミネーター的世界線に迷い込まないように、みんなで一斉にスマホを壁に叩きつけて壊してしまえば良いのかというと(もちろん)そうはいかない。

スマホはすでに社会インフラと言える代物だし、難しく考えずに平たく言うと、だいぶ便利でだいぶ楽しい。

だからこそ、(軒並みな感想にはなってしまうが)まずはスマホが脳をハックする仕組みと、それに取られている時間について自覚的になることが大切なんだろうなぁと思った。

そしてその上で、各々がスマホとの理想の付き合い方を見つけるのが大切なのかと。

(スマホをなるべく使わない生活が理想だと言いたいわけではないことはしっかり強調しておきたい。仕事が終わりやっと一息つきながらYouTubeを楽しそうに観ている妻を見ていると、これはこれでスマホは息抜きといういい役割を果たしているのかなと思うし、「スマホでどのくらい時間を取られているか知ってる?」なんて口が裂けても言えない)

私は自分自身をコントロールできていない感じがすごくして気持ち悪いので、もうちょっと制限しようかなぁと思った今日この頃でした。

(ちなみに、アンデシュ・ハンセンさんは運動によって耐性を身につけ予防することができると言っているし、依存的になってしまった場合も、アンナ・レンブケさんはアクセスを断つ・時間的制限をつける等で立ち直りが可能だと主張している。気になった方はスマホをちょっとやめた時間で読んでみると面白いかもしれない)

おわり。

2023.7.9 22:53
蓬莱泉 純米大吟醸 飛 を飲みながら。

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