ああ なんて普通の日だろう。

普通の日を、気負いなく等身大で過ごすのって、実は結構難しいんだなぁと社会人になってよく考えるようになった。

会社のストレスやプレッシャーがない休日でさえ、いや、休日だからこそ、意外と難しいのかもしれない。

今日はフラットに普通の日を楽しめて満足しているからこそ、冷静にそんなことを考えられる。

社会人も気づけば3年目。次の10月を迎えると4年目に突入する。

石の上にも3年なんて言ったりするからとりあえず3年以上は会社に属して仕事をやってみているが、約4年も同じ仕事をしているとだんだんわかってくる。

今現時点では、自分がやりたいことを仕事にできているわけではなさそう。

「好きなことをして生きていく」と言い続け、結果的に成功した人達が脚光を浴びる時代である。

テレビの中はもちろん、スマホのどのSNSアプリの中にも、いわゆる「好きなこと仕事にできた成功者」たちがいつもいて、いかにも人生を楽しんでいそうないい顔をしている。

そんな成功者たちを見るにつけ、自分のうだつのあがらない人生と比較して、ついついため息。

今の仕事がめちゃくちゃ嫌なわけでもないけど、このまま働き続けるのもなんか違うなぁ。

世の中の大多数はそんな風に感じている人が圧倒的に多数派なのに、ちょっとだけ出遅れている気がする。

そんな生き辛さ、息苦しさを持っているのがいわゆる「普通の会社員」というものかもしれない。

（そんなことない！今のこの人生だっていいところがちゃんとあって満足している！と自分を肯定できる会社員は本当に幸せだ）

「ほどよい」に4割掛けしてしまったようなプレッシャーとストレスを抱えた平日を走り抜けて、やっと迎える休日はすごく楽しい。

金曜の夜、PCを閉じた時に感じるあのワクワクと全能感は最高だ。

いそいそと日本酒とおつまみを用意し、人をダメにするソファに身を預け、一週間で一番楽しみにしている「人志松本の酒のツマミになる話」を観る幸せたるや！

単純なものでほんの4,5時間前までは、社会人ってなんて大変なんだろうと思っていても、なんだかんだ社会人楽しめてるかもなと思ったりする。

でも、純度100%で楽しんでいい休日のはずなのに、ふとした瞬間に何かに追われているような焦りが生まれることはないだろうか。私は時々ある。

この休日が終わってしまうまでに、また始まる平日5日分乗り切れるよう頑張って英気をチャージしなくちゃという焦り。
そのためにはダラダラせずに計画的にしっかり休まなきゃという焦り。
（私はあんまり人と比べたりしないタイプだが、敏感な人はSNSで友人の休日の充実ぶりを見て、自分はそこまで充実した休日を過ごせていないことに焦りを感じたりもするかもしれない）

仕事のストレスというマイナス分をなんとか埋めるために、平日で稼いだお金を使ってなんとかゼロに戻しているような感覚と、そのために「頑張って」「計画的に」休むという矛盾。

あれ？休日ってそういうことなんだっけ？もっと言えば人生ってそういうことなんだっけ？

今日はそんな「焦り」に囚われることなく、ゆっくり楽しめた休日だった。

そんな日は、全てにおいて偏らずフラットだ。

時間的にもフラット(意識が過ぎた平日やこれから来る平日に偏らず今ここを楽しめる)だし、損得感情もフラット(時間やお金を無駄にした感覚もあまりなくなる（かといって、得したぜ、しめしめ、みたいな感覚も良い意味でない）)。

（このフラットっていう感覚って言葉にするのめちゃ難しいことがわかったんだけど、伝わってるのかな？笑）

そんな風に肩肘張らずに気負いなく、等身大で一日を過ごせた時は、特に何がおきたわけではなくても、「ああ、いい一日だった」としみじみ思える。

もちろん毎日そんな風に過ごすのは結構難しいけど、普通の日を普通に過ごせないような生活環境に置かれていたり、災害や病気に見舞われる方々がいつもどこかにいて、それをまざまざと見せつけられるようなことがある度に、自分が今持っている「普通の日」を大切に過ごしたいと思うのだ。

今日はこんな結論でいいと思う。

ああ、今日はいい「普通の日」だったな。

ついでにはなるが、そういう日に何度も聞きたくなるお気に入りの歌がある。

岡崎体育さんの「普通の日」という曲だ。

なんでもない一日を過ごした日が優しく肯定される気がする、そしてちょっと焦りを感じている時にはふと立ち止まらせてくれる、温かい曲だと思う。

休日なのになんかちょっと疲れちゃったという方、なんか充実してなかったなぁとちょっと後悔している方はぜひ聴いてみてください。

　「普通の日」
　作詞・作曲：岡崎体育さん

　あぶねー　ギリ午前中
　まどろみクワッとあくび
　いやはや変な寝癖
　何にせよ今日は休日

　出しっぱなしの烏龍茶
　脱ぎっぱなしのトレーナー
　ゆうべの抜け殻のまんま　さんざん繰り返す日々

　昨日の炊き込みご飯の残りでおにぎり作ったろ
　ちょっとだけマヨネーズつけて七味パッとまぶして
　あっそうだたけしの映画観よ
　いやまった先方にメール返しとこ

　あれよあれよ時間は過ぎて
　あっと言う間夕方の3時

　ああ なんて普通の日だろう
　つまんなくて最高に良い
　ああ なんて普通の日だろう
　あじけなくて最高に良い

　そういえばお風呂の左側の替えの電球がない
　あと柔軟剤のところに間違えて洗剤入れちゃった

　さっき一瞬雨降ってたのに窓の外から光が差して
　ちょっとめんどくさい気もするけど
　買い物がてら散歩しよう

　いい感じの喫茶店の向かいにちっちゃい焼き鳥屋
　築30年くらいの趣深い市営住宅
　鳩の群れ 粗大ゴミ 野良猫 託児所の送迎車
　だいたいいつもおんなじ道 だいたいいつもおなじような景色

　黄昏れ散りばめたペーソス
　ベランダで飲んだコーンスープ
　夕焼けに吸い込まれていった さよなら俺の休日

　ああ なんて普通の日だろう
　つまんなくて最高に良い
　ああ なんて普通の日だろう
　あじけなくて最高に良い

　ああ なんて普通の日だろう
　たわいなくて最高に良い
　ああ なんて普通の日だろう
　くだらなくて最高に良い

おわり。

2023.7.23 23:19
山廃純米原酒 天狗舞 を飲みながら。