地方でいい店を探すノウハウ~『大泉エッセイ』を参考に


自分は寝つきがよくないために、軽い本をベッドで読むことが多い。『大泉エッセイ』(大泉洋・平成27年)の中の「大泉洋のわがまま絵日記」に「地方の遊び方」が書かれており、興味深く読んだ。伝聞の形で「酒好きが語るには、大きな街より、場末のひなびた感じの街を探検する方がワクワクする」とある。

この気持ちはわかる。大きな街は、行く機会も多いだろうし、おいしい店を見つけても、あたりまえ感が強くて、うれしさに乏しい。自分の経験では、新潟県糸魚川市に泊まったときは金沢を、呉では広島市をあえて選ばずに宿泊したのだった。その後、訪れることもなかなかなさそうな気がしたし、ともに港町で情緒があり、魚介においしい店があるだろうと判断した。

ただ、偶然に訪れて、良い店に行きつく可能性は高くない。

自分は、店の外にメニューが書いてあり、店内の賑わいが感じられる店を選ぶようにしている。

大泉は末尾のコメントで、「店の扉を開けて、中をのぞいた瞬間、『逃げましょう』と言ってダッシュさせられた」と回顧している。ドアを開けて、客が1人もいない店には入りたくない。何かの理由があるのでは、と思うからだ。

ある漫画家が「山ちゃん、いる?」とか適当なことをつぶやきながら戸を開けて、気に入らない店であれば、「まだ来てないな、山ちゃん」とかつぶやいて、帰ればいいと言っていたが、恥ずかしくて、なかなかできるものではない。入店せずに、すぐに扉を閉めて帰ったからといって、怒られることはまずない。でも、名古屋の大須で、そうやったら、熱心な女将が「どうぞ、どうぞ」といってしばらくついてきたことがあったが。

「太田和彦のふらり旅 新・居酒屋 百選」はローカル局でよく再放送をしている。熊本県天草の回を興味深く見た。島の居酒屋は魅力的だ。天草で晴れた海を見下ろしながら、ビールを飲むのは最高に快適だった。80年代の池田聡の歌の世界のようでもある。(歌の場面は夜だったが)

(吉田類氏の番組もよく見るが、彼のギトギトした濃さより、太田氏の枯れた雰囲気が、とくに疲れたときにはいい)

大泉の事務所のマネージャーは、「かなりの確率で美人のいる店を当てるそうだ」と書くが、この種のことはよく武勇伝風に語られる。この真偽はよくわからないが、気持ちよく酔えるか否かにかかっているとはいえるだろう。

#大泉洋 #太田和彦 #吉田類 #居酒屋 #飲み歩き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?