アイスクリンはコーンがいいんだよ、
私は何かと理由をつけて6個入りのアイスを買う。名前を出すとピノってアイスなんだけど、小さな幸せを6回も味わえる最強のアイスだと今は思う。今以上に幼い頃は、ピノなど目に留めず一目散にアイスクリンを買ってもらっていた。大きいものほど目を惹かれていた幼き頃、大阪城公園で遊んでからスーパーのアイスコーナーに寄るのが、私とおばあちゃんの休日ルーティーンだった。私があまりにアイスを手放さないから、アイスだけを入れた小さな袋をいつも持たせてくれた。自転車を漕ぐおばあちゃんの後ろで、「溶けちゃう、溶けちゃう」と煽りながら夕日に照らされていた私たち。家に着いたらすぐに縁側でおばあちゃんと食べるアイスクリンが今も忘れられない。でもそれから数年、大きさ以外の幸せを感じ取れるようになって、しばらくアイスクリンを食べていなかった。久しぶりに縁側で食べた記憶が呼び起こされて、スーパーにふらっと寄ってみた。棚の端から見ていくとちょうど真ん中あたりにアイスクリンの文字が見えた。「えっ?コーンじゃなくなってる…。」カップに変わっていた。まじかって想いもあったが、アイスクリンを買って家に帰った。「あ、スプーンがいる。」かぶりついて口の周りをベタベタにして、手の温度でふにゃふにゃになったあのコーンがなくなった。最後の一口のふにゃふにゃのコーンととっけとけのアイスがもう食べれない。あのままでよかったのにアイスクリンだけは。
いいなと思ったら応援しよう!
見て読んでくれてありがとうございます!是非サポートしていただけると光栄です!