本が企画されて読者に届くまでに 編集者がかかわること
まずは、企画を通す
本が本屋さんの店頭に並び、読者に渡るまでの流れをご存じでしょうか?
大別すると「企画→執筆→編集→印刷・製本→書店→読者」という流れになります。
それぞれを、少しだけ詳しく見てみましょう。
まず「企画」。
これは多くの場合、編集者が提案します。
思い浮かんだ「アイデア」を企画書にするためには、いろいろな方法がありますし、企画のアイデアを思いつくのは編集者以外にもさまざまな方がいますが、通常は編集者が企画書の形にして提案します。
提出先は、企画会議の参加者です。そこでGOサインが出ることで、企画がスタートします。
出版社によっていろいろなケースがありますが、企画会議は月2〜4回のところが多いと思います。
会議の参加者もさまざまで、編集部員だけが参加する企画会議、営業部員が参加する企画会議、役員が参加する企画会議などがあります。事前に編集長に相談することで会議の回数を減らしているケースもあるようです。
私の知っている出版社は、これらを組み合わせて企画を検討し、正式なGOサインが出ます。
ソフト面とハード面の本作りをする
本作りは、大きく分けて以下の2つ。
①コンテンツの中身を作る
②印刷・製本をする
①はソフト面での本作りで、②はハード面での本作りです。
私たち編集者がかかわるのは①のソフト面がメインですが、出版社の編集者は②のハード面にもかかわります。
企画が通ったら、まず著者の先生と打ち合わせを行うことが多いでしょう。
企画段階で考えていた本のイメージを、著者とともにさらに深掘りし、完成形のイメージを固めていきます。
実用書の場合は、著者が存在せず、ライターさんと監修者で進行するケースも少なくありません。このような場合は、編集者が本の完成形をはっきりさせていきます。
具体的には、「構成」「紙面イメージ」です。
これらがある程度固まった段階で、執筆がスタートします。
編集者は、原稿の内容を著者やライターさんとやりとりしながら、クオリティを上げていきます。
実用書の場合は、初心者・初級者向けのものが多いため、その方々にわかりやすく理解できるようにするのが、編集者の役目です。
また、実用書には、テキスト以外の要素がたくさんあるため、原稿のクオリティアップ以外にも、いろいろな仕事が編集者を待ち構えています。
紙面のレイアウトのイメージを、デザイナーさんと相談しながら固めていくのはその代表でしょう。
また、実用書は、図表やイラスト、写真もたくさん入ります。
さらに、装丁や帯のデザインなども必要です。
それらをディレクションすることが編集者の仕事です。
上記のようなソフト面での本作りが完成したら、本作りのハード面に進みます。
「印刷・製本」です。
どのような紙に印刷するのか、どのような製本方法を採用するのかは、編集者が中心となって決めます。
印刷・製本が済めば、本の完成となります。
本を流通に載せる 〜編集者は、まずかかわらない〜
本の流通に関しては、編集者がかかわることは、ほとんどありません。
本は、多品種・小ロットの商品です。
そのため、多くの出版社は、問屋さんを通じて、全国の本屋さんに送品します。
出版業界では、問屋さんのことを「取次(とりつぎ)」といい、「日販」や「トーハン」という会社がその代表です。
流通の最初は、出版社(新刊の場合は製本所)から、取次です。
取次は、各出版社から届いた本を、全国のそれぞれの本屋さん宛の段ボールに分けます。そして、雑誌などとともに、書店さんに送品します。
届いた段ボールから、書店員の方々が、それぞれのコーナーに並べます。
そして、書店の店頭で出会った本から、読者が気に入ったものを購入します。
企画から読者の手に届くまでの大まかな流れである「企画→執筆→編集→印刷・製本→書店→読者」は、このような感じです。
今後は、それぞれをもう少し詳しく解説していきますね。
文/ネバギブ編集ゴファン
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