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読者の読みたいものを提案する      地政学本の特別付録

2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が開始されました。

ゆるされない武力による侵攻です。

侵攻後も、毎日、長い時間を使ってテレビのニュースで取り上げられています。

この記事を書いている3月中旬も、ロシアは手をゆるめず、武器を使いウクライナの支配地域を拡大し続けています。

今回は、このような大きな事柄があったときに、「読者の読みたい」を提供していったこと(現在も進行中)を記しました。

ウクライナ侵攻により、読者の関心が高くなった地政学

今回のウクライナ軍事侵攻により、多くの読者が関連書籍を求めました。

本屋さんが、急遽「ウクライナ侵攻」コーナーを作るほどです。

私が担当した『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』も、侵攻後の売れ行きが、侵攻前の売れ行きの2〜3倍に伸びました。

多くの読者が「ロシアがウクライナに軍事侵攻した理由を詳しく知りたい!」と思ったのでしょう。

たくさんの読者に本書を購入していただいた結果、書店さんからの追加注文が多数。弊社の倉庫に保管されている在庫も一気に減り、緊急重版が決定したのです。

読者が求めているであろうものを
「特別付録」として提供する

本書では、すでに地政学の観点から見たロシアの考え方について、多くのページを割いて解説しています。
歴史的なロシアの地政学的な戦略やプーチン大統領の考え方などを記載していますし、その中には、2014年に行われたウクライナのクリミア半島をロシアが併合した際の、ロシアの考え方にも触れています。

しかし、「読者は、さらにもっと深くロシアやウクライナのことを知りたい! と思っているはずだ」と考え、「特別付録」を作成することにしました。

もちろん、内容は「ウクライナの軍事侵攻」についてです。

ウクライナ侵攻が始まった翌週に、監修者の奥山真司先生に緊急取材を行い、記事を作成。
図解を多用している実用書である、本書につく「購入者限定の特別付録」なので、地図や図版も作成しました(イラストは本書の流用)。

そして、重版に合わせて新しい帯を作り、そこに「特別付録 ウクライナ侵攻の真相」のPDFの案内を記載しました。

読者が読みたいであろう「特別付録」の内容

この特別付録PDFの内容は、以下のようなものです。

 ・21世紀型国家 VS 19世紀型国家
   →民主国家 VS 帝国主義国家

 ・なぜ今、プーチンが動いたのか?
   →攻め込まれる恐怖感
   →ウクライナがNATOに参加しそうだから
   →ソ連から独立した国は、もとはロシアのモノ

 ・各国の反応
   →経済制裁

 ・中国の反応
   →裏から支援し、付かず離れず

 ・アメリカの対応
   →強力な経済制裁(スイフトからの排除)
   →武器や物資の支援

 ・ウクライナの反応
   →応援したくなる状況を作る

これらを以下のような図解を交えながら解説したPDFです。

特別付録PDFのP4に掲載した「NATO加盟国、ロシア、ウクライナなどが一目でわかる地図」


特別付録PDFのP5に掲載した「プーチンの考えのひとつ」


波(タイミング)を感じたら動く

上記の「特別付録PDF付き」を謳った帯が巻かれた重版が印刷中であることを、営業部より、書店さんに案内したところ、さらに大きな発注があり、印刷中の重版では数が足りず、さらに追加の重版も決定したのです。

万単位の部数が、この短期間で納品されたということです。
それも、すでに書店に多くの店頭在庫がある中に、です。

今回の大きな重版が、今後どのくらい実売につながるかはわかりません。
とても売れて、さらなる重版につながるかもしれませんし、反対に、勢いがパタっと止まってしまい大きな返品があるかもしれません。

どのような結果であったとしても、すでに多くの店頭在庫がある中に、短期間に万単位の部数が追加で出荷されたことは、とてもいい経験でした。

「特別付録PDFを作る」という自らの発案で動き始め、短期間で作成したことにより、書店さんからの大きな発注という、多くの支持を得ることができた。この事実は、私の成功体験のひとつになりました。

販売期間の長い「書籍」でも、読者の読みたい・知りたいタイミングに合わせることができれば、これほど多く発注を出していただけると、改めて認識できたのです。

『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』は2020年6月刊行ですから、1年9カ月前に発売された本です。
それが、大きな波に乗り、店頭在庫が多数ある中、さらに数万冊という出荷になったのです。
もちろん、弊社の営業部の多大な努力は不可欠で、感謝しかありません。

今回の出来事は大きな波ですが、小さな波のときもあります。

これまでは、そういう小さな波のときや、そもそも波ではないかもしれないと思うようなとき、そのタイミングに自分自身が忙しいと、自ら発案して動くことというができないケースが多々ありました。

今回の学びを常に心に留め、「小さな波が来たときは、まず自分で動こう」「可能性があるかもしれないと思ったら行動してみよう」と強く思いました。

文/ネバギブ編集ゴファン

実用書の編集者。ビジネス実用書を中心に、健康書、スポーツ実用書、語学書、料理本なども担当。編集方針は「初心者に徹底的にわかりやすく」。ペンネームは、本の質を上げるため、最後まであきらめないでベストを尽くす「ネバーギブアップ編集」と、大好きなテニス選手である「ゴファン選手」を合わせたもの。

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