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月刊 編プロのケーハク

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シュッパン前夜メンバー、編プロのケーハクの記事まとめ。出版界のあるある、新人ライター&編集者向けのスキル解説、出版界の問題や課題について。
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#仕事について話そう

原作をリメイクする場合に「改変」はどこまで許されるのか?

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。 年明け最初の記事になりますが、年始からいろいろと暗いニュースが多くて、(多くの皆さんがそうだと思いますが)心が少し「しんどい」です。 年度末に向けた忙しさもあるのでしょうが、社会全体のネガティブな雰囲気に晒されつづけると、マインドがそっち方向に引きずられてしまって、なかなかよろしくないような気がします。 スポーツくらいですよ、明るいニュースは(前田穂南選手、本当にありがとう!)。 さて、漫画原作のドラマ化問題で、最悪の結果とな

出版編集の「揉めごとは対人コミュニケーションに尽きる」問題

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。 編集者は、常に多くの案件を同時進行させているわけですが、その中でトラブルが発生してしまう案件も少なくありません。 本づくりの工程において、原稿を書くとか、ラフを切るとか、専門職ならではといえる作業に関するものは、それほど問題になることは少なく(質が低い・スピードが遅いなど個人の問題はあるけれど)、むしろ一般的な仕事と同様に、人と人とのコミュニケーションに関するトラブルがほとんどだといえます。 制作進行が思わしくない案件の背景には

「タイパの時代」の本づくりは、高難度のつくり込みが必要になっていく!?

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。 “タイパ”とは、“タイムパフォーマンス”のことらしいです。 最近、よく聞きませんか? 「映画を2倍速で観る」とか、「音楽はサビから始まらないとヒットしない」とか。 全般的に人々の情報処理がめっちゃ速い!? SNS、動画配信、音楽配信、ゲーム、その他の趣味etc. ここ数年で気付かぬうちに個人で楽しめる多様なコンテンツが激増していたわけです。 つまり、やることがたくさん! 仕事だけでなく、自由に使える可処分時間も熾烈なタイムマネ

出版社の「自社本を分析しない」問題

今宵、本の深みへ。 編プロのケーハクです。 今回は賛否があるかもしれないと、少しビビりながらも勇気を出して思ったことを書きます(笑)。 先日、前夜メンバーたちとこのようなテーマを話し合いました。 「売れる本と売れない本」の違いとは?まあ、経験則での話になるので、こうじゃないかという個人的な仮説を述べつつ、実際にうまくいかないことのほうが多いという事実に打ちひしがれ、どんどん声量を失っていくざんねんな展開に……(笑)。 結局のところ、企画に対する熱量を込め、あとは時の運

画期的な「売れるフォーマット」を発明したスゴい本

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。 今回は、編集者である私自身が本当にスゴいと感服した本をいくつか紹介したいと思います。 作り手の視点で見ちゃいます本の評価って個人差があって難しいですよね? 普通に読者として評価する場合は、書かれている内容とか、レイアウトの見やすさとか、実際に本を受け取った側が感じとる「届けられたもの」に対しての評価だと思います。 今回、私が紹介するのは、こうした読者側の視点ではなく、作り手側の視点から見た場合に「これはスゲ〜」と思った本。どち

新人ライターや編集者に教えている「わかりやすい文章は“雑踏”でも読める!」

今宵、本の深みへ。編プロのケーハクです。 最近、わけあって大学受験レベルの現代文の試験問題を解いたりしてます。 これでもベテラン編集者ですから、文章のプロですから、読むのも書くのも膨大な量ですから、当然、勉強せずとも100点でしょうと……。 80点(泣)。 結構、間違えてしまうんですよ。皆さんも思い出してみてください。評論文とか随筆とかが例題にあって、これらの意図するところはなにか? みたいな問題。 ゲラ読みのようにかなり意図を読み込んで、「これが正解でしょ!」と自