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五感を使うこと。

地域の観光振興に携わることになってから、もうすぐ4年が経とうとしています。​

「観光」という言葉は、中国の四書五経の一つ「易経」の一文である「観国之光」が語源とされているが、それは「国の文化、政治、風俗をよく観察すること」、「国の風光・文物を外部の人々に示すこと」というような意味・語感を有していたといわれていること等も考えあわせると、いわゆる「観光」の定義については、単なる余暇活動の一環としてのみ捉えられるものではなく、より広く捉えるべきである。

語源から考えると、観光=旅行ではないことがわかります。地域の文化を理解することも観光ですし、ガイドブックを眺めるのも一種の観光かもしれません。

激動のコロナ禍になるまでは、観光地に観光客を呼ぶことが観光(自分の役割)なのだと定義づけ、プロモーションやコンテンツ造成に重きを置いていたような気がします。

しかしながら、誘客の回復がすぐには見込めない昨今、デジタルの進出で、会議もオンライン、飲み会もオンライン、旅行も動画やVRでオンラインの状態が続いています。

オンラインで出来るなら、わざわざ首都圏に出張もいらないし、離れている家族、友人とも顔が見られるから便利という側面もありますが、私は疑問を感じています。

オンライン空間は視覚と聴覚だけに頼るため、例えばオンライン会議をしていても、相手が納得しているのか、怒っているのかわからない経験をした人は少なくないと思います。五感を使うことが出来るのが人間らしさであり、本来の姿ではないかと思います。

私も昨年は、唯一1回だけ東京出張がありましたが、やはりそこで直接コミュニケーションを取る、空間を共にすることはオンラインでは味わうことができないものであり、とても新鮮でした(もちろん首都圏出身だからというのもあるかもしれません)。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の全てを使うことが人間らしさなのです。

北塩原村でもコロナ禍になる前から、健康と旅行を組み合わせたヘルスツーリズムを推進しており、日頃のストレスから、磐梯朝日国立公園の自然を五感で感じることで、健康への気づきを得るプログラムを認証化しました。

だ液アミラーゼによるストレスチェック→専門ガイドによるウォーキング→磐梯山を眺めながらぼーっとする座観→ティータイムとリラックスした時間を提供しています。

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何も考えずにただ磐梯山を眺める。こんな体験はなかなか出来るものではありません。村のヘルスツーリズムプログラムも五感をとても大切にしています。ウォーキングに入る前には、五感体操をします。そうするとこころなしか、空気に味を感じる不思議な体験をすることができます。

アフターコロナでは、この「五感」がキーワードになってくるのではないかと感じています。その人、その地域の当たり前が、他の人、他の地域には当たり前ではないことが多いです。旅行回復、アフターGoToのヒントになるのではないかと思い日々模索しているところです。

まずは、新型コロナウイルスが落ち着くこと。少しずつ安心を得ていくこと。感染症対策はしっかりとしながら、来るべく観光需要回復に向けて自分の考えを整理し、地域に根ざした策を練りながら、今後も書いていきたいと思います。

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