君を支える風にのる
ここは、城。
己の全人生を、油絵の具のように注ぎ込んできた場所。
きらめく朝陽のような勝利。
いや、今日僕が聴きたいのは、君の喜び、哀しみ。
結果など出なかったとしても、頑張り続けた君が、生きた証だ。
街に静けさが訪れるころ、氷のような、時間がやって来る。
人びとが肩寄せあって暖をとる。
そして再び君は、勝つか負けるか、分からない闘いに、出かけてゆく。
自分の影に怯えて生きて、それが、敵だと思い込んでいた。
小さく凝り固まった、背中の翼を広げよう。
君が君であるのなら、君を支える風にのる。
渾身の力強さと、あとひとひらの、花のような優しさ!
それにしても、何という愛念だろうか!
この飾らない地蔵のほほ笑みは!
2017年12月10日 五島秀一
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