見出し画像

猿真似から始めよう。でも、ツギハギはやめよう。

写真や動画がうまくなるための第一歩、それは間違いなく「猿真似」だと思う。良いと思うもの、憧れるもの、作りたいものをひたすら真似てみる。真似る活動をするとすぐに分かるのは、全然それに近づかない、ということ。そうしたら、真剣になぜ近づかないのか考えてみる。その中で、必要な技術とか考え方が磨かれていく。そこでようやく「勉強」や「訓練」の必要性に気づく、これが正しい勉強のあり方だと思う。
これは別に写真とかに限らず、なんでもそうだと思うのだけど、意外にもこのプロセスを踏まないで独自のものを作ろうとしてしまう人が多い。自分もその辺ですごく悩んだ。独自性や個性が必要という説が、特にクリエイティブ業界には根強くあるからだ。でも安心していい。そのことで悩んだ時点で、そもそも備え付けの個性がうまく発揮されている人ではない(決して個性がないわけではない)ので、安心して猿真似から始めると良いと思う。その過程で、勉強や訓練をして、最後に残っているどうしても自分はこうなっちゃうんだよな〜というところ、それが個性なんだと思う。

この手の話は死ぬほどいろんなところに書いてあるけど、それでもやっぱりこの話を書くのは、それを知らない人がいるからだ。
そしてもう一つ、このフェーズが抜け出せなくなる人がいる、ということもある。ずーっと真似し続けてしまうのだ。レファレンスを参照して作るのに慣れすぎると、大抵はその泥沼にハマってしまう。
レファレンスを組み合わせないからダメなんだよ、という意見もある。でも、本人は組み合わせたつもりでも、ただのツギハギだらけのレファレンス参照になってるだけのケースも多い。なぜそう言えるのかというと、僕がそういうのに陥っていたからだwそれに周りにもそういう人が多い。
最近になってようやく、少しずつだけど、本当に「組み合わせる」とは何か、というのが分かるようになってきた。それは多分、自分が撮影から少し離れた立場から俯瞰して案件を見ることが多くなってきて気づいたこと。「組み合わせる」とは、例えば2つのレファレンスのアイデアをただツギハギするのではなく、2つを踏み台に、ジャンプしなくてはいけないのだ。
このジャンプの仕方に個性が出る。例えば、新しい化粧品のビジュアルを考えるときに、既存の化粧品の「お洒落な」レファレンスと、例えば同じような方向性を目指している健康食品の「健康的な」ビジュアルの2つを掛け合わせようと思ったとしよう。そのときに、ただお洒落で健康的なビジュアルとして二つのアイデアをツギハギするのではなく、その二つから、例えば根源的な人間の「美」を感じるようなビジュアルにジャンプする。そうすると、元々のレファレンスとは違う、その案件独自の何かが出来るし、そのときに美の方向にジャンプするのか、それとも筋肉の動きを感じる、みたいな別の方向にジャンプするのか(例がテキトーですみませんw)、そこに個性が出るので、それをきちっと念頭に置いておきたい。

つまりまとめると、まずは猿真似。そしてそこから学びと経験を積む。そして、猿真似の次は、それらから根本的な要素を抽出して、自分の感覚で組み合わせていく。その中で自分なりの最適解を見出していく。ここまでくると、ものすごく楽しいし、本当にやりがいがある。そして、きっとそれが役に立つ。
だからこそ、クリエイティブの仕事はやめられないのであります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?