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バクラクのデータは難しくて面白い #LayerXテックアドカレ

こんにちは!LayerXのたかぎわ @shun_tak と申します!本記事では、バクラクのデータの難しさとその対応方針、今後の活用例について説明します。

この記事はLayerXテックアドカレ2023の3日目の記事です。 前回はTomoakiさんが「Web系ソフトウェアエンジニアが機械学習エンジニアに囲まれて働く面白さ」について書いてくれました。 明日はバクラク事業VPoEの小賀さんの記事が公開予定となっています。


バクラクのデータは変化が速く、多様性も高い

先に結論を書いてしまいますが、バクラク事業のデータの特徴は変化が速く、多様性も高いことです。

  • プロダクトの開発と顧客の増加速度が速く、プロダクトやCRM(Salesforce)のデータも変化速度が速い(スキーマもデータ量も)

  • SaaSと法人向けクレジットカードの提供を含む事業や、販売チャネルや営業組織の多様性により、データソース(データの発生源)やデータの種類も多様になる

LayerXはコンパウンドスタートアップとして複数の事業・プロダクトを展開しており、バクラク事業においてはサービス開始から2.5年で6つのサービスをリリースしています。

2.5年で利用社数は7,000社を超え、事業としてもSaaSの成長モデルである「T2D3」を超える成長率で拡大を続けており、また法人カード事業も年初比10倍の成長を遂げております。

これによりデータの量はもちろん、プロダクトのデータベースやCRMで扱う情報の種類もどんどん変化しており、分析や効果測定の対象が日々増加しています。

事業成長を継続するにはプロダクトを磨き込むだけでなく、ディストリビューション = お客様に届けきることも重要です。そのため、The Model型の営業プロセス(*1)だけでなく、部門横断のプロジェクトチームも複数つくり、お客様に届けきるための仮説検証を行う体制を構築しています。また、バクラクのお客様はデジタルマーケティング等のオンラインチャネルを経由して製品を購入しないお客様が多く、多様なチャネル開拓やパートナー戦略も重視しています。

これに伴い、商談中の顧客や既にバクラクをご利用いただいている顧客の管理のためのSaaSを多数導入しています。各データを適切に設計しないと統合的な分析が難しくなるため、注意が必要です。

こういった事業環境や組織状況において、データ利用者としては、変化が速く多様なデータを統合的に活用し、市場や顧客、組織の状況をもっと深く理解したいというニーズがあります。しかし、データを統合するために多様なデータを理解せねばならず、しかもどんどん変化していってしまうためメンテナンスも難しいというのが特徴です。

*1 「The Model」(ザ・モデル)とは?概念と実践をSalesforceが分かりやすく解説 https://www.salesforce.com/jp/resources/articles/sales/the-model/

データの変化の速さと多様性にどう対応していくか

対策としては基本的に、データマネジメントと組織づくりをしっかりやっていき、組織全体の分析能力を強化し続けることが重要です。

どのように組織全体の分析能力を強化していくか
  • データ基盤の強化とツールの整備

  • 分析のセルフサービス化

  • カルチャーの浸透と強化

  • 隣接組織との連携

分析のセルフサービス化を高度に実現するためには、現在募集中のアナリティクスエンジニアデータアナリストの役割が重要になります。データ分析の生産性を向上させるためにツールを整備し、分析手法の型をつくり、特にデータアナリストは現場で実演してみせるなど分析者のロールモデルとしての役割も求められます。場合によっては、ナレッジシェア、メンタリング、トレーニング等を通じた組織全体の知識レベルの向上が必要かもしれません。

このような活動を通じて、組織全体の分析能力を強化していきます。しかし、これらの活動はデータ部門だけで成り立つものではありません。粘り強い活動が求められると思いますが、レバレッジの効く面白い仕事だと思います。

データ活用を通じて明らかにしたいこと

データの多様性が高いことはデータ統合の面では大変ですが、うまく活用できると多くの情報を得ることができます。

バクラクのデータを活用して明らかにしたいことは、大雑把に以下の6つです。

  • 市場 (マーケティング・事業)

  • 顧客 (営業企画)

  • プロダクト (開発)

  • 組織や財務 (経営企画)

  • リスク管理

  • 法規制とデータポリシー

最近興味があるのは、プロダクトとCRMデータを統合し、1年後までの既存顧客の契約変更(アップセル、クロスセル、部分解約など)に対する予測精度を向上させることです。CRMには契約プランや契約の更新時期、検討したが導入に至らなかった商品の情報などがあり、プロダクトには現在の利用状況やその変化に関する情報が保存されています。サポートへの問い合わせ内容やウェビナーへの参加状況からも示唆が得られるかもしれません。

契約変更の予測精度向上が実現すれば、事業計画の精緻化はもちろん、営業、カスタマーサクセス、プロダクト開発のリソースを最適に配置したり、先行して準備することも可能になります。その上で、最大限の努力と工夫により計画や予測を上回る成果を出すことができれば素晴らしいと思います。

現時点ではこういった分析は各部門が独自に行い、その結果を日々の活動に反映させています。まだ戦略的な取り組みは行われておらず、これらを整備することもまた一つの楽しみと考えています。

まとめ

この記事では、LayerXのバクラク事業におけるデータの難しさとその対応方針について説明しました。

バクラクのデータは変化が速く、多様性も高く、これを適切に理解し活用することは課題ですが、同時に多様な情報を得る機会でもあります。解決策としてデータマネジメントと組織づくりを推進し、組織全体の分析能力を強化することが重要です。そのためには、アナリティクスエンジニアやデータアナリストの役割が重要となります。

また、データを活用して市場、顧客、プロダクトの理解を深め、組織の状況を明らかにすることが求められます。これらの取り組みは難しく時間を要しますが、それだけに達成感も大きく、レバレッジの効く面白い仕事と言えます。

参考情報

データ組織とデータ基盤について解説した記事です。

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