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医療経営におけるリスク管理:備えあれば、憂いなし

世の中はリスクに溢れています。とはいえ経営者である私たちが、「想定外だった」「未曾有だ」と言っても誰も助けてはくれません。顧客や社員とその家族、そして自分を守るのは、自分たち自身です。そこで今回は、リスク管理について解説します!


1. 基本的な考え方

  • バランス:有事に備える、と言ってもコストをかけ過ぎて運営が滞ったり、投資が小さくなっては意味がありません。あくまでも事業を成長発展させていくための投資の一つとして、リスク管理を行うことが大切です。

  • 姿勢:備えの投資をして何も起きなかった場合、「無駄だった」と結論づけてしまうことがあります。しかし備えをしたからこそ、起きようが起こりまいがどっちでも良い、と考えることが大切です。さらに言えば、起きようが起きまいが、組織にとってプラスとなる方法を行うことがポイントです。例えばBCP(事業継続計画)を危機対応として作るのではなく、業務の標準化の一環として作成すると、どっち道有益となります。

2. 被害の種類(もしも起こったら)

  • 財務的損失:予見可能なリスクが現実化すると、組織に大きな財務的負担を強いる可能性があります。それは損害賠償費用、違反罰金、または再構築や修復費用といった形で現れます。

  • 信頼と評価の喪失:リスクが現実化したとき、特にそのリスクが患者や利用者の安全に関わる場合、組織は信頼を失う可能性があります。それは組織の評価を大きく下落させ、長期的な損害をもたらす可能性があります。

  • 業務の中断:予期せぬ事態や事故が発生すると、業務を中断する可能性があります。サービスの提供遅延や停止は、患者や利用者に混乱をもたらすだけでなく(信頼と評価の喪失)、組織の収益にも影響を与えます(財務的損失)。

3. リスク識別

  • 内部リスク:事業所の運営モデル、人事体制、財務状況、ITシステムなどをチェックし、潜在的なリスクをリストアップします。例えば、人材の流動性が高さ、情報の漏洩、資金ショートなどです。

  • 外部リスク分析:医療介護業界の法的規制、市場動向、社会経済状況などを考慮し、それらが事業所にどのような影響を及ぼす可能性があるかをリストアップします。例えば、マイナス改定、物価高、自然災害などです。

4. リスク評価

  • リスクマトリクス作成:リストアップしたリスクを、その発生確率と影響度でマッピングします。これにより、最も重大なリスクを可視化し、優先順位をつけます。

  • リスク量化:リスクの影響を可能な限り金額等で量化します。これにより、リスク対策の投資優先度を決定します。

5. リスク対策

最も影響が大きいリスクから順に、具体的な軽減策を立案します。例えば、スタッフの流動性を減らすための人事戦略の改善、サービス提供中断を防ぐための事業継続計画の作成、保険の導入などが考えられます

6. リスク管理のモニタリングと改善

  • 定期的なリスク評価:リスク状況は定期的に見直し、新たに発生したリスクの識別と既存のリスクの再評価を行います。

  • リスクマネジメントの改善:期間ごとにリスク管理の成果を評価し、必要な改善を行います。新たなリスク対策の効果を確認し、その結果に基づき、リスク管理プロセスを更新します。積み上げるだけでなく、不要なものは止める決断も重要です。

おわりに

リスク管理は医療・介護業界でのビジネス運営の中核をなす要素であり、その重要性は今後も増していきます。やはりポイントは、起きても起きなくてもどっちでも良い、です!

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