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起業して5年が経ったので、この5年を振り返ってみました。

※うっかり契約更新を忘れブログが消えてしまったので、サーバー会社さんからデータだけ頂き内容をコチラに移しました。元記事の公開日は2018年1月23日になります

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2013年1月23日に株式会社cocoを登記して、本日ついに5周年記念日を迎えました。まずは何より、未だに挑戦を続けられていることが、素直に嬉しいし、なんだか誇らしくもあります。

ただ、生き残っていること以外は、この5年間(正確にはアイセックを引退して、起業を意識し始めてから約6年間)、何かをしてやろうと必死にコードを書き続けていましたが、当初描いていたようなカッコイイ起業家らしいことなんて1つもできませんでした。

目の前のほんの些細な仕事すらこなせないような状態から始まり、適当な言い訳をして色んな人に甘えて、迷惑をかけて、なかったことにして、そんな事を繰り返してたら段々自分の周囲から人が瞬く間に減っていって、それでもなんとかあがいて、何故かたまに助けてくれる人が現れて、それでどうにかこうにかやっとの思いで今日の5周年を迎えることが出来たような感じです。

本当に皆様いつも有難うございます。直接的にも、間接的にも、多くの人の許容や黙認、寛容さのおかげで今まだ僕は挑戦を続けられています。本当はもっとたくさんの人に返さないこと、謝らないといけないことがたくさんあるのに、それを無視してやりたいことをやっている自分はなんなのだろうと、これでいいのだろうかと、いつも悩んでいます。

何か恩返しはできないものかと模索しつつも、結局目の前の事を頑張るしかないのかなーとか思いながら、いつか必ず、恩返しできるようにと頑張っています。

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今回は5周年の節目として、最近知り合った方への自己紹介も兼ね、この5年の出来事を簡単に振り返ってみようかなと思います。

何もできなかったとは言え、5年間とりあえずバットを振り続けていた分学んだこともあるはずなので、これから始める人に何かしら役に立つ反省も届けられればなと考えています。

誰にも言いたくない本当の黒歴史もいくつかあるので、全てを紹介できるわけでもないですが、何かの参考になったり、高橋の事について何か1つでも覚えてもらえたら嬉しいです。

創業1年目(2013年)

創業1年目は、なんというか最初からズッコケた年でした。

株式会社cocoは、当初、「位置情報を軸とした写真共有アプリ coco」を開発・運営するために作られました。当時は、「場所のFacebookを作る!!」とか「情報の流れを変える!!」とか誇大妄想を掲げて豪語していた記憶があります。

チームを作り、投資家にプレゼンし、「よし行くぞ!!オレはやってやるぞ!!」と、大学も飛び出し、そんなこんなで、3ヶ月であっという間にチームが崩壊、プロジェクトも打ち切りにしてしまいました。

当時、その過程を綴ったブログの記事が3日で10万pvを記録する高橋史上最大ヒット作(?)となり、人に会うことが億劫になったこともよく覚えています。このときパズドラにめっちゃハマりました。

ただ、なんとそのブログを見た投資家さんから、事業プランもほぼノールックで投資のオファーを頂いたことで、なんとか踏みとどまって会社を継続する道に進むことができました。
(実は一度本当に就職しかけてました。)

更にその後、当時はシードの定番的な存在であった”Movida Japan"のシードアクセラレーションプログラムにも採択してもらい、行き先の定まらぬプロダクト開発を続けることができました。

右も左もわからないまま、良くも悪くも勢いだけで動いて、なんとか行き着くところに行き着きましたが、自分でコントロールできていたことなんて何もありませんでした。

結局1年目は、誇大妄想を繰り返すばかりで、何かを成し遂げるどころか、プロダクトのリリースすらできずに終わってしまいました。

一番の反省は、何も準備もせず、身の丈に合わないことをやろうとしたことです。

当時例えば受託開発のスキルなんて全然なかったくせに、「受託開発はやったら負けだ!」とか考えていました。今思えば、やりたくたって誰も当時の自分に仕事を任せてはくれなかったと思います。そんな低レベルだったくせに、妄想だけは一流に、オレはマーク・ザッカーバーグに並んでやるぜ、くらいのことを言っていた記憶があります。

別に就職はしなくても、完全な起業初心者であれば、まずは100円だけでも、”できることでしっかり稼ぐ”ということが大事だったと思います。そうやって信用と実力を積み上げた先に、大きな挑戦に取り組む権利が待っているのではないかと思います。

ちなみに、当時投資をして頂いた2人は、まだ自分(株式会社coco)のことを粘り強く応援してくれています。本当に頭があがりません。

創業2年目(2014年)

2年目は、もしかしたらまだ覚えてくれている方もいるかもしれないですが、「統計検索サービス Graphをヤルぞ!!」と言っていました。

Javascriptで表面だけ取り繕ったイメージサイトを思い付きで公開したら、1週間でそこそこの先行登録があり、たったそれだけのことで、もう世界を変えてやったような気分になっていました。

当時の自分は、「ユーザーがつくようなアイディアを思いつくことが最も難しい点で、それさえ突破すれば後はどうにかなる」と本気で信じていました。

色んな人から、「アレほしい!」「イケてるね!」と言われて、素直に嬉しかったし、完全に有頂天になっていました。これで1年前の失敗はチャラにできると、スタートアップなんて楽勝だと、オレが世界を変えてやるぜと、何の疑いもありませんでした。凄く楽しかったです。その瞬間は。

そこから半年くらいたっても、実態は何も進捗がありませんでした。

「ありとあらゆる整った統計データを、魔法のごとく一瞬で検索できるサービス」は、実現したら間違いなく多くの人から受け入れられるものだと感じていましたが、実際のところはそれはGoogleでさえも出来ていないことです。

技術も統計の知識もない、ただの思い付きにも関わらず、「Googleの技術と発想を超えたサービスがオレには作れる」というのは、とてつもなく甘い算段でした。

呆れた株主や周囲の人間が、「まずはできることから、小さく簡単な統計関連サービスを作ってみたら」とアドバイスしてくれていましたが、有頂天で楽観的すぎた自分は、当然のごとくそんな声を無視して、「まぁなんかどうにかできるっしょ!ちまちまやったって世界は変わらねぇ!!」という感じのの気分で、毎日行き先の見えないコードを書いていました。

結局2014年も、何かを成すこともなく、しかも「これは作れない」と悟るやいなや、2014年末にはあそこまで色んな人に豪語したプロジェクトをいとも簡単に破棄してしまいました。それを話す度に、色んな人から本気で失望の言葉を浴びせられたり、周囲の人が段々と減っていきました。

今思えば、2014年の自分の振る舞いこそが、その後長く続く”暗黒期”の始まりだったように思います。

ここには書けませんが、他にもたくさんの問題行動がありました。

1年前にブログが炎上したとき、「きっとこれが最悪だから、逆に言えばこれからは上しか無い」なんて思ったりもしましたが、全然そんなことはありませんでした。2015年以降のほうが、遥かに辛く、思い出したくもない日々が続きました。

実行力が重要であることを全く理解していなかったのと、とてつもなく自己中心的な態度をとっていたことが何よりの反省です。

創業3,4年目(2015,16年)

3,4年目は一括りにさせてください。ざっくり言ってしまえば、応援してくれる人もかなり減って、なんとか受託の仕事をもらって、常に金銭的にも精神的にもギリギリの状態でただただ生き延びていただけの年でした。

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一番ひどいときは、自宅をAirBnB(当時は規制も厳密に存在せず、まだ渋谷で出せばだれでも稼げるような環境でした。)に出し、自分はオフィスに寝るという、ただのホームレス状態に陥っていました。

当時それはそれで、AirBnB経由の交流が楽しかったりとか、なんだかんだ楽しんでいる自分もいたのですが、周囲の起業家とか、昔の友達に会ったりしたときの情けなさが尋常ではありませんでした。

大した目標もなく、殆ど惰性で、ただひたすら生き延びるために目の前の事をこなしていて、これだったら別に就職しても同じじゃないか、とか、いっそ自分の会社のことは全部投げ出してしまおう、とか、よく考えていました。

周囲の、数少ない親身になって話に乗ってくれる人も、口を揃えて「一回就職した方がいい」と、冷静で的確なアドバイスをくれました。自分の事を真剣に考えてくれていたからこそ、響いたし、だからこそ何より辛かったことも覚えています。

でもなんかそれだと納得いかなくて、せっかくここまで”やってやる”と色んな人に言いまくったのに、それを投げ出すのがやっぱり嫌で、思いつく限りのありとあらゆる手を使ってとにかく生き延びていました。何がやりたいの?と聞かれると明確な答えはないけど、でも辞めたくはない、という、首の皮一枚つながった無意味なプライドがありました。

この2年が、間違いなく5年の間で一番最悪の期間でした。自分に何かを期待してくれる人もいなくなって、当然信用もなくなって、お金もなくなって、絵に描いたような負のスパイラルの中に落ちていました。

ただ、この2年で、実は明確に自分の中での変化も感じることができていました。

散々に追い詰められて、生き延びるために必死にもらった、(言い方は悪いですが)小さく相場より割の悪い仕事の一つ一つで、”やりきり力”や、仕事の基礎力のようなものが求められたため、段々と自分の出来ることの幅が広がっていくような感覚がありました。

お金がなかったので、受託の仕事もどんなに中身が不明確でも”先に”代金を受け取っていたのですが、そのおかげで、かなり多くの無茶振りに応える耐性ができました。一つ一つ徹夜を重ねて応えていったおかげで(その中でもできなかったことや失敗もたくさんありましたが)、少しずつ自分のことを信用してくれる人も、特に後半は着実に増えていきました。

※あと、不思議だったのが、どんなにヤバイ状態でもギリギリのところで助けてくれる人が現れたことがあって、それがなければどこかで確実に心が折れていました。

今、「起業を考えている」と大学の後輩から相談されたときに、だいたい真っ先に「まず500円くらい稼げる何かをやってみれば?」的なアドバイスをするのですが、それはこういった原体験に基づいています。

一見小さく見えてしまう仕事も、一つ一つこなしていくことで、着実に事が前に進みます。お金と信用と技術が身につき、1つこなすごとに自分のレベルアップが実感できます。だから、ある程度まずは簡単な商売をやってみて、そこから段々とステップアップしていくほうが、結果として上に行く速度が早いんじゃないかなーと思います。

自分の場合は、それ以外の選択肢がなくなった結果、ようやくそこに向き合うことができましたが、最初からそうしていればと、今すごく後悔しています。

人から課題の解決を期待されて、その課題を解決するまでしっかりやりきって、信用とお金と技術とかを貯める。どんな事業でも、この原則は通用するのではないかと思います。B向けC向け関係なく、「大きな事業」というのは、その連続の延長上にあるのだと思います。

そんなことに気づけたのが、思い出したくもない最悪なこの2年間の唯一の救いでした。

創業5年目(2017年)

2017年は、明確に転機の年でした。強力な支援者と、心の底から良いと思える事業が見つかり、そのサービスに対してお金を払ってくれる方も、複数存在しています。

最近はよくSNSで投稿しているので、このブログを見てくれている方はご存知かもしれませんが、「口コミ獲得支援サービス coco」を開始しました。

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このサービスは、SMSを通じて簡単に「口コミをお願いできる」サービスで、整体院や美容院、セレクトショップや鉄板焼屋さんでも使ってもらっています。このサービスを使った多くの店舗で、「過去最高売上を達成した」とか「目に見えて新規のお客様が増えた」という、大変うれしい声を頂けています。

このサービスは、使って欲しいたった一人のことを考えて作りました。その人の課題を解決することのみに焦点を絞り、独りよがりにアイディアを考えることをやめて、メンタリングで言われたアドバイスは必ず録音を聞き直したりして、最初のプロトタイプを作り上げていきました。

売上を焦らず、使ってもらった店舗の一つ一つで、課題を解決して結果を出すことにフォーカスし、その結果、プロトタイプの開発から、最初の売上まで、たったの2ヶ月でたどり着くことができました。もっと上手くデキる人はいくらでもいるけど、自分の中ではなかなか良くできたなーと思っています。

会社を作って4年半経過して、ついに初めて「プロダクト」でごくわずか数人の問題を解決することができました。
(とは言え、まだこのサービスは、ようやく何かが光る原石の一部が見え始めてきたような状態です。)

2017年は、暗くて長いトンネルにいたような状態から、ようやく一筋の光を見つけることができたような気がしています。
運良く支援してくれる方が現れて、その後も段々と色々助けてくれる人が増えてきて、あとは色んなラッキーと4年分の積み重ねがあって、どうにか前進の糸口を見つけることが出来ました。

6期目となる2018年は、しっかり今見えてきたチャンスを掴み、結果につなげる年にしていきたいです。
株式会社cocoを、もっと多くの人から、もっと強く必要とされる存在にしていきます。そのために、もっと多くの時間、もっと多くの意識、ありとあらゆるリソースをcocoと、それを使ってくれるお客様のために使いたいです。

今も色んな人に支えられっぱなしで、まだまだ言っていることとやっていることのレベルに乖離はありますが、それも段々と埋められるようになっていきます。もっと、僕自身が他の人を支えていけるような存在になりたいです。

5年を振り返ってみて

こんな感じで、これでもかなりざっくりですがこの5年を振り返ってみました。長かったような、短かったような、気付けばあっという間だったけど、細かく振り返るといろんな事がありすぎて振り返りきれませんでした。振り返りたくなくて、書いてないこともたくさんあります。

あと、やたらとネガティブなことを書いているようなとこもありますが、辛かったときもその合間合間で友達と飲みに行ったりとか、なんだかんだ楽しむ工夫もしていて、実際僕の身近にいた人は、それをよく見ていると思います。

勿論辛かったんですが、別にそれだけでもないというか、案外楽しかったことも結構あります。それを言わないのはなんだかフェアじゃないなと。

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結局なんで起業したんだろう、とか、一体自分はなにがしたいんだろう、とよく考えますが、例えば5年前と今では、そのモチベーションの在処は全然違います。

前は、単純に起業家とか、リッチマンプアウーマンの小栗旬がカッコよく見えて、それに憧れていた、というのが正直なところでした。

今も勿論その憧れはありますが、それだけではありません。

あまりうまくは言えないですが、自社のプロダクトを、自分の好きな人が使ってくれて、しかも喜んでくれて、更にそれを使った結果売上が増えている。その瞬間を目の前で見れるのが、楽しくてしょうがないです。

それをもっと多くの人に広めたら、社会がよりよくなると、自信を持って思えるし、実際に絶対多くの人から求められる商品であると確信しています。
目の前で、複数の人が少しでも豊かになっていく様を見ていて、とてつもなくワクワクします。

cocoは、「より豊かに、より自分らしく生きようとしている人の挑戦を、後押しをするためのサービス」です。そのために、口コミを集めを支援し、お客様から本当に支持されている店舗の集客を、より低コストで強化しています。cocoは本当にそれが出来るサービスです。

僕は今この事業が心の底から気に入っていて、少なくともあと数年以上、息をつく間もなくこの事業に全てのリソースを投下できる自信があります。

最後は振り返りとは関係なくなってしまいましたが、こんなテンションで今も頑張っています。

これからも大変なこととか、いろいろあるんだろうなーと思いますが、その都度都度どうにかしていければ良いと思います。

ということで、最後までご一読ありがとうございました。
また今年も、cocoと高橋をよろしくお願い致します。

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この記事は、2018-01-23 に書いた個人ブログ記事からの転載です



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