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日々の雑感 day28【 話を聴く4つのレベル②】

前回はこちらです。
今日は注意欠如リスニングの対応②から入っていきましょう。

☆転移

私達自身が往々にしてやっている思い込みは、注意欠如リスニングの原因となっている事はしばしばあるでしょう。

いわゆる「わかっているつもり」というものです。

上司(親、教師)側の「会社(家庭、学校)とはこういうものだ」という主観的意見はまさにこの【転移】の典型と言えるでしょう。

そして部下(子供、生徒)側にも、過去の数少ない経験が全てに適用されるかのように考え、相手への言動や態度を自ら悪化させるように振る舞っている人もいるわけです。

例えば「父(母)はこういうもの」「血液型がBのやつはこう」「あの手のタイプは」「あの国の出身者は」等々、過去の経験に縛られ、一個人としての相手を客観的に見ようとしていないわけです。

☆正義はNG

ここでのダメ事例、避けなければいけない行動は「どちらが正しいか」論争。

「俺が正しいから謝れ」とか「私が正しいから従え」という水掛け論は、感情的に相手を支配しようとする行動であって、本来の目的である【何か】を成し遂げようというその【何か】から遠ざかっていくばかりです。

自分自身がこうした過去に身に着けてしまった色眼鏡で相手を見ていないか?

そのことを俯瞰したり、親しい誰かから客観的な助言を受ける事は、人生をよりよい方向へと進めていく一助になるでしょう。

これらの行動を起こしてもなお、相手からの圧力やハラスメント、成果の搾取が起こるようであれば、具体的な証拠をもとに会社や組織そのものの在り方を信じて対するか、距離を置く。会社や当該する人物から離れ、自分自身の安全と幸福を守り、尊重する事です。

こうした人を大事にしない、他人の功績を搾取するような人物が上にいるようではその会社、場所は長くないでしょう。あなたが感情的な勝ち負けよりも大事な自分の目的を見据えるならば、取るべき行動は自然と浮かんでくるように思います。


☆反応型リスニング(reactive listening)

ゴールストンが指摘するこの二つ目の聞き方は要注意ですね。

というのも、このタイプは聞いてこそいますが、話の内容に関係なく自分を守ることだけに意識、注意を向けているからです。

話しの内容そのものは熱心に聞いているのですが、なにかあると自分が攻撃されているとか、自分が嘲笑されていると感じてしまう。

そんな怖れの中にいる状態だからです。

反応型リスニングの状態にある人は、ストレスに苦しんでいる事が多いように思います。

ハーバード・ビジネス・レビューでレベッカ・ナイトはこうした攻撃・逃避反応の状態にある人に対する最も有効な支援の一つが「褒める」ことだとしています。

こうしたストレス状態にある人は往々にして仕事(タスク)を一人で抱え込み、その状態に孤立感を覚えています。これが進行し、孤独だという認知が生じると【自殺】リスクが大幅に高まります。

ですので、誰かが自分を見てくれている、話を聴いてもらえるという体感、実感が重要です。そのうえで、自分の出来ていない部分ばかりに目を向けてしまっているその人の視点を変える為に、あなた自身が観察し、発見した「出来ている」部分をより具体的に伝えてあげる。

それが褒めるという事で、その言葉が別のイメージをもたらします。自分の能力を信じ、自分自身がより前向きになっていく為の方向転換が起こると、その小さな一歩は孤立感から遠ざかる一助となる事でしょう

ですので「よく耐えられますね」とか「疲れた顔を職場に持ち込むな」とか焚きつけたり、批判するような言動はNGです。

また、自身が相手のストレス疲労の波及を受けない為にも適切な距離感も必要とされるでしょう。相手の主体性を保持しながら、自分の余力で出来る手をそっと差し出す。そんな感触が必要となる事でしょう。

僕自身は、2011年の東日本大震災支援で多くの避難所や仮設住宅を巡り、こうした状況にも直面してきたと思いだすことが出来ます。

特に「抽選」という名の行政主観(公平という一方的な主張)によるコミュニティ分断。そして、その結果として孤立化を深めた人々が仮設住宅で直面した自殺問題では、ボランティアは日常的にこうした支援の距離感が必要とされていたように思うのです。



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