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市民ランナーの貧血との付き合い方

学生時代は貧血に苦しみ、なかなかタイムが伸びませんでした。
市民ランナーとしてランニングを再開してからも、貧血で大スランプを経験しました。
ランニングを再開してからの貧血との付き合い方をまとめたので、貧血に悩む市民ランナーの参考になれば幸いです。
ただし、あくまでも競技者側のみの視点で書いていますので、個々の症状についてはかかりつけ医にご相談ください。


スポーツ貧血とは

スポーツ貧血とは、「スポーツにより引き起こされる貧血」を指します。
感覚的に当然ですが、スポーツ貧血で苦しむ選手の多くは、競技をやめれば貧血そのものは改善することが多いです。
つまり、走らなければ貧血にはなりません。
スポーツが健康に良いというのは、「適切な負荷であれば」というのが前提です。
私の場合、高校卒業のタイミングで引退してからは血液検査の数値が改善していました。そして、社会人でリスタートし、マラソンを1か月で2本走ったあたりから血液検査の数値が悪化していきました。

症状

スポーツ貧血の症状としては、「持久力の低下」が一番に挙げられます。
私の場合、マラソンで30分、ハーフで15分程度、遅くなっていました。

なお、通常の貧血であれば、立ち眩みや息切れなどの症状が出ますが、スポーツ貧血で悩まれる方は、多くの場合、そのような症状は出ません。
ふだんの練習で心肺機能が強化されていることから、通常の貧血で現れる症状は隠れてしまうことが多いことが原因のようです。

原因

スポーツ性貧血の原因はシンプルです。
「トレーニング負荷が大きすぎる場合」「エネルギー消費量と比較して摂取エネルギー量が相対的に少なくなっている場合」に、血液の中にあるヘモグロビン量の低下が引き起こされます。
ヘモグロビンは、酸素を体中に運搬するもので、エネルギー源である酸素が運べないと、運動のパフォーマンスが落ちてしまうのです。

スポーツ貧血との付き合い方

診断

私の場合、健康診断の「ヘモグロビン」の数値が明らかに低下していたので、貧血だろうということで再検査となりました。
再検査では、「フェリチン」という体内に貯蔵されている鉄の量を測り、基準値を大きく下回っていたため、「鉄欠乏貧血」だろうと診断されました。このように、ヘモグロビンの数値で貧血を見つけ、次に詳しい検査をして貧血の種類を確認するという流れになることが多いようです。

治療

鉄欠乏性貧血の治療は、鉄を摂取することです。
食事の改善が基本ですが、医師の判断で鉄剤を処方されることもあります。
私の場合は、フェリチン(貯蔵鉄)が基準値よりも大幅に低かったため、鉄剤を処方されました。
これらの食事の改善や鉄剤の服薬は、「エネルギー消費量と比較して摂取エネルギー量が相対的に少なくなっている場合」という原因にアプローチする治療法です。

ただ、市民ランナーでスポーツ貧血に苦しんでいる方は、「トレーニング負荷が大きすぎる」ことへもしっかりアプローチしたほうが良いと思います。
貧血は練習負荷を大きくすればするほど、悪化することが多いです。
3年間・4年間という区切りのある学生とは違い、数年~数十年とじっくり取り組める市民ランナーは、休養も練習の一環として取り入れコンディションを維持することは、継続して競技を続けられるモチベーションを維持する上では大事になると思います。

実例(N=1)

私自身の練習量やレースタイムとヘモグロビンの比較です。
練習量を増やした直後に数値が悪化しています。

(2019年は献血で定期的な数値がありますが、2020年以降は献血ができなくなってしまったので、健診や内科での直近の計測値から推計してグラフ化しています。)

①2019年にランニングを再開
再開して半年の間に、15⇒13に低下していました。
再開してすぐなので、練習はキロ5分程度のジョグが中心でしたが、それでも明らかに下がっていました。
久しぶりに運動を始めるときは、徐々に強度を上げていくことが、非常に重要なことがわかります。

②2022年3月、2023年3月
3月の走りやすい季節に、300km近く走りこみました。
2023年はHbが10g/dlまで低下しています。非常にわかりやすいです。
2022年は、下がっていないようになっていますが、検査結果が欠損しているためです。9~11月の距離が少なかったことで回復し、12月の数値が13g/dlでしたが、おそらく300km走りこんだ直後は10g/dl程度まで下がっていたと想定されます。

走行距離・レースタイムとヘモグロビンの推移

パフォーマンスにもはっきりと貧血の影響が出ています。
(エクセルでグラフを作るため、左軸の単位が秒になっています。)
フルの場合、ヘモグロビンが10g/dl⇒3時間30分、13g/dl⇒3時間10分、14~15g/dl⇒3時間となっています。
ハーフの場合、ヘモグロビンが10g/dl⇒1時間40分、13g/dl⇒1時間30分、14~15g/dl⇒1時間25分程度となっています。

最後に

貧血になってしまうと、タイムが伸び悩み、走るのが苦痛になってしまいます。
ただし、貧血が原因のスランプの場合、適度な強度で練習を継続し、数値が改善すれば、驚くほど走れるようになります。

私の場合、ヘモグロビンが妊婦並みの10g/dlまで悪化したのを機に月間100km程度に走行距離を抑えることにしました。
距離を踏まない不安はありましたが、秋以降は完全に復調し、社会人PBやPBに近いタイムで走れるようになりました。

SNS上では、ものすごい距離を踏んでいる方もいますが、体質的に距離を踏むとすぐに貧血になってしまう方もいます。
私自身も含めてそういう方はあまり距離にはこだわらず、継続してランニングすることが大事です。
心地よいペースで、心地よい距離を走ることが、記録向上への一番の近道です!

以上、私の貧血との付き合い方を書きました。
貧血で苦しんでいるランナーの参考になれば幸いです。

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