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初恋と呼べる最古の記憶。

noteを最初期にやっていた頃のテキストを発掘してしまいました。

これが、僕の記憶の中に残る、最古の初恋。これをちょっとリファインしてみようかなと思います。本文はほぼ読まず、記憶だけを頼りに書いてみますね。そんなことをやってみます。

僕は、幼少期を保育園で過ごしていた。

保育園にはいい思い出がない。

小学校に上がるまでおねしょの癖が抜けなかったせいで、保育園のお昼寝タイムでたまにおねしょするのをからかわれ、次第にイジメと言っていいレベルにまで達した。

そうして、僕は不登園になった。

それでも、両親は仕事へと行かなきゃいけないわけで、近くに住んでいたおばの家に預けられることに。

その家の近所に公園があり、日中はそこで遊ぶこともあったし、家でファミコンをして過ごすこともあった。

ある日、公園で遊んでいると、近所に住んでいるであろう女の子に話しかけられた。おそらく同い年。

「一人なの?」

うん、そうだよ。

「じゃあ、一緒に遊ぼう!」

え、いいの?

保育園での居場所をなくし、それはすなわち世界からの居場所をなくした事に等しかった僕にとって、救いの言葉だった。

何をして遊んだかは、よく覚えてない。ただ、楽しかった。その記憶だけは鮮明に残っている。

その子は、保育園に行くべき時間帯の僕と遊んでいる。ということは、もしかしたら、彼女も何か理由があって一人で遊んでいるのかもしれない。それは後になって思ったことだけど、だからこそ、僕が一人で遊んでいる事に気づき、遊んでくれたのかもしれない。

逢瀬、と言っていいのかわからないけど、彼女と会うことを重ねていき、世界に一人、僕だけの味方が出来たような気がしていた。親には、不登園の理由を明かしてなかったし、単に「馴染めないだけだろう」と思っていたに違いなく、真の理由を(特に言ったわけではないけど)知っているのは彼女だけ。

これも後になって気づいたことだけど、僕は彼女に恋をしていた。好き、という感情が不明確で、そもそもその存在に気づいてすらいなかった僕に、最初の好きを与えてくれたのは彼女。

こう言ってはなんだけど、彼女もおそらく僕のことが好きだったんじゃないかと思う。幼少期の思い出を脚色するわけじゃなく、記憶に残っている彼女が、常に笑顔だったから。楽しそうだったから。そんな理由だけど、当時、保育園にいる児童の全てから疎外されていた僕にそんな顔を向けてくれるのは、好きだと思うじゃないですか。だからです。

彼女とほぼ毎日遊んでいた僕は、こんな生活がずっと続くのかなと思っていた。大人になるまで一緒だと。でも、そうじゃなかった。終わりは突然やってきた。

両親が別居することになったから。

僕は母親へ付いていき、隣町へと越していった。その子と会う手段もなにもかもなくなり、仕事へと行く母親に残されて部屋で一人ファミコンをしていた。当然ながら、保育園に行くという選択肢はなかった。まだ不登園のまま。どうせどこの保育園でも同じだろう。そう思っていたから。

部屋で一人ファミコンをする。それがどんなに寂しいことか、これを読んでいる皆さんも想像に余りあると思いますが、あの女の子がいないだけで、世界ってこんなにくすんで見えるんだ、と思っていました。ファミコンは楽しかったけど。

でも、しばらく経つと、その女の子の事も忘れていきました。記憶から段々と薄れていく存在。これが大人だったら会う手段はあると思うのですが、なにせ5歳とか6歳。現状を受け入れて生活するしかなかった。

しばらくすると両親の別居も解消され、元の家で生活をすることになるころには、すっかりその女の子の事は忘れていました。また会いに行こう、とか全く思わなかった。なんでだったんだろう。あんなに好きだったはずなのに。

その子の事を思い出したのは、随分後になってからです。中学校とか高校ぐらい。定番の「初恋っていつだった?」って質問について考えてる時。あ、そういえば!って、思い出しました。その時は恥ずかしかったのでそれについて答えることはなかったですが、今だったら書けるかなと思い、こうして書いてます。

あれを初恋と読んでいいのか、はっきりと断言できない僕もいたりします。あまりに幼すぎたし、好きという気持ちを明確に出来る今、不明確だった幼い僕が抱いた感情がそれだったのか、今となっては判断しようがないので。

でも、僕はあの子が初恋の子だったと、断言してしまいます。

だってさ、あれは間違いなく好きという感情だったんだよ。恋愛対象にそういう感情持ったら、それは恋じゃない?僕はそう思う。だから言ってしまう。初恋は、あの女の子です、と。

言ってしまう事にあまり意味はないことは知ってます。だってもう二度と会えないし、相手が覚えているはずもない。名前も知らない。ないない尽くし。

まぁ、でも、初恋ってそんなものなのかなぁと思ったりもします。記憶の中だけで輝いている存在、というか。実際に答え合わせするのは野暮、というか。

楽しかったな、あの時。今も楽しいですけどね。

これを友人に話せ、と言われたらこっ恥ずかしくてできないだろうけど、noteに書くのだったら出来る不思議。ほぼ同じことなんですけどね。

それでは、また。

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