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#02 形から入る【片づけのプロへの道のり】

「フリーランスで仕事を始めるならまずは形から」

「形から入る」というとあまりいい印象を持たれないかもしれない。

見た目を整えても中身が伴ってなければ意味がない。確かにそのとおりだ。「見た目よりも中身が大事よ」とはよく聞くセリフだ。

けど、いくら中身が良くても最初のふるいで振り分けられちゃったら、その『良い中身』を見てもらうことは叶わない。実際のところ、まずは「見た目」だ。そこをクリアすることで初めて中身を見てもらえる資格を得ることができるのだ。

仕事も一緒だ。

私は、2009年から整理収納アドバイザーとして片付けの仕事の世界へ足を踏み入れた。それまでも立場上は個人事業主ではあったけれど、ほぼ1社に雇われているようなもので、営業はしなくても仕事はもらえていた。

でも今は違う。自分で仕事をとってこなければいけない。けど、誰も私のことなんて知らない。

まずは『箸にひっかかるための』準備をした。
毎月の保育料がかさむ。早く元を取らなければ……


前回の話はこちら。

屋号

私の屋号は『Standard』という。まずやったのはこの屋号を決めることだった。
(今は+を前に持ってきて『+Standard』にしている)

屋号を決めるにあたりまず思ったのは、「暮らし」とか「片付け」とか「収納」といったそのものズバリのワードや、「心地よい」とか「快適な」といったそれっぽい意味合いのワードは外すこと。

なぜか?

片付けそのもののワードを屋号に入れてしまったら、片付けの仕事をし続けなくちゃいけないからだ。

は?何を言ってるんだ?と思われるだろう。片付けの仕事を始めるために屋号を決めているのに、片付けの仕事をし続けなければいけないとはどういうことだと思われてもしかたがない。

私は何かを始めるときに終わりを考えてしまう。というか、終わりを考えたくないから終わりを考えるといったほうが正しい。

プライベートな話で恐縮だけれど、私は福山雅治ファンだ。1991年に放送された「明日があるから」というドラマからのファンなので相当長い。相当長いがファンクラブに入ったのは割と最近の話(といっても10年くらい前)だ。なぜファンクラブにすぐ入らなかったのかと言うと、好きだからこそ好きじゃなくなってファンクラブをやめるときになんとも寂しい気持ちになるのが耐えられない。それならいっそ入らないでいるほうがいいんじゃないかと思ったからだ。結局、好きじゃなくなることなく今に至るので、もっと早くファンクラブに入っておけばよかったと正直思っている。

***

話を戻すが、仕事も一緒で好きで始めた仕事が嫌になって辞めるときを想像すると寂しすぎる。だから始める前に、極力「辞める」リスクを減らしたい。片付けそのものを屋号にしたら、もし片付けから気持ちが冷めてしまったときに廃業しなくてはいけない。それはいやだ。

そんな後ろ向きな理由なのだ。でも、結局10年続いてるので、これならもっと片付け寄りの屋号にしとけばよかったと思わなくもない。

ちなみに、なぜ「Standard+」としたかというと。

片付けそのものをイメージする屋号は避けたかったけれど、考え方のようなものを屋号に入れたかった。いろいろ考えた末、基準や標準を意味するStandardという言葉を採用した。自分の基準を決めることの大切さを込めてつけた。後ろにつけた+は「今の暮らしよりちょっとアップする」意味を込めたものだ。


ロゴ

次はロゴだ。屋号と同じくらい、いや屋号よりもロゴは大事だ。

自分のロゴは仲間内からは結構評判がよい。「素敵ですね」とよく言われる。おせじかもしれないけどありがたく言葉通り受け取っている。「自分で考えた」というとさらに「すごいですね」と言われる。ちょっと嬉しい。

自分で考えたと言っても一から考えたのではない。いろんなロゴを見まくって、ベースとなるものを決め屋号に合うよう改良した。片付けの仕事なので家をモチーフにしているのだが、屋号の頭文字のSを窓としてデザインし、屋号の最後の+を煙突チックに配置したロゴは、素人ながらいいアイデアだと自画自賛している。

***

コーポレート(会社じゃないけど)カラーも考えた。

当時緑が好きだったので、最初に作った名刺は確か緑をベースにしていたものだった。けれど、周りを見ると緑を使っている人が多い。緑は落ち着いた印象があるし「片付け」と相性がいいのだろう。

でも、人と同じだとつまらない。

結局、青にした。ひとことで青と言ってもいろいろある。色相環を見つめ、どの系統の青にするか相当悩んだ。当時は「この色!」と決めていたつもりだったのだが、今使っているロゴたちを見るとなぜか微妙にバラバラだったりするが。


ホームページ・名刺

屋号とロゴができたので、集客ツールも作った。

最初に作ったホームページは無料ブログをカスタマイズしまくって作ったものだ。ぱっと見、無料ブログとは見えない仕上がりのホームページは、我ながらよく作ったと思う。

私はお金をかけたくなかったからホームページも作ったが、今から仕事を始めようと思う人にはちょっとお金を払ってでも頼んで作ってもらうことをおすすめする。自分で作るのは時間がかかるし、時間をかけたからと言って納得のいくものができる保証はない。

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今から起業する人たちがホームページを先に作った方がいいかどうかはわからない。けど、当時はホームページを早く作ってよかったと思っている。

いまでこそ片付けを仕事にしている人はちょっと検索すればたくさんヒットするけれど、当時はまだそれほど多くなかった。だから、ブログだけではなく「ホームページを持っている」人はそれだけでブログだけの人よりもちゃんと仕事をしている人という印象を与える。冒頭の『見た目』の話だ。実際、「ブログだけの人よりもちゃんと仕事している感じがする」と言われたこともあった。


はじめての講座

とはいえ、見た目ばかりで実が伴わないのはよくない。2009年中は起業準備の期間と決め、まずは協会の認定講師になるための資格を取ることにした。素のコミュニケーション力は自信がないけど、役割を与えられたら人前で話すことはそんなに苦ではない。

さらに、自分でもオリジナル講座を開催してみることにした。

家の近所にあるレンタルスペースを借りて、片付け講座を計画した。ブログで告知するだけでなく、チラシを作ってリアルの知り合いにも配った。はじめて作ったチラシに、あるママからは「これじゃあ何の講座かよくわからない」と手厳しい言葉をもらって凹んだりもした。

はじめての講座は、今となっては思い出すのも恥ずかしいくらいの出来栄えだったが、無事に開催することができた。たしか3人くらい来てくれて、一人は子が通う保育園のママ(育休中)が来てくれた。ありがたかった。

会場費を考えると金額的には赤字だったけれど、片付けの仕事の貴重な初収入だ。


片付けモニター募集

講座の仕事の次は、片付け作業の仕事をするための準備だ。モニターを募集した。時期的には、確か2009年の末くらいか2010年に入ってから。資格をとって半年後くらいだ。

「モニター募集は3月まで。3人まで」と宣言した。ずっとやっている閉店セール状態になりたくなかったので、やる前に決めた。すぐには埋まらなかったが最終的には3名のお申し込みがあったので、モニター募集を終了した。

だが、3人のうちのおひとりが転勤のためキャンセルとなった。そうか、時期が悪かった。反省点だ。

残る2人のうちのおひとりは、片付けの悩みもあったけれど資格取得にも興味があったようで、片付け作業をやりつつ資格取得についての情報提供や試験対策等のアドバイスをさせていただいた。

もうおひとりのモニターさんのところにもお伺いした。こちらのモニターさんは初回訪問とプランニングまでで途絶えてしまった。自分の提案がだめだったのかとスキルの無さに落ち込んだ。
*このお客様からはその後何年か経った後に連絡をいただきました。

片付け作業のモニターは正規料金ではないといえ、1万以上はした。当時の私にとって大きな額だった。額に見合った仕事をしようとあらためて身が引き締まった。


ブログ

肝心なものを書いてなかった。ブログだ。

片付けの仕事をするためにブログ「整理収納手帖」を立ち上げたのは2009年の5月。整理収納アドバイザー1級試験を受けたあと、まだ合格が決まっていないときにフライングで始めた。スタートダッシュは早いほうがいいからだ。

今は知らないけど、当時はブログ村のランキング(カテゴリ名忘れた)上位にあるブログは人気で、10位以内に入ることを目標に頑張った。瞬間では10位以内に入ったことが何回かはあったが、上位に入り込むのは全然無理だったし10位以内をキープするのも難しかった。でも20位以内はキープできていたと思う。

モニター募集して、モニター枠3名を埋めることができたのもブログのおかげ。今の時代はブログよりもSNSだけれど、形は違ってもフリーランスで仕事をする上でネット上の発信ツールは必須だ。

***

そんなわけで、資格を取った勢いで新たな片付けという仕事で開業することにした。

開業届をいつ出すか。せっかくなら日にもこだわりたい。

今ならなんちゃら倍日みたいなのを気にして出してたところだけれど、いかんせん10年前はそんなことも知らなかったので、きりの良い日を考えた結果自分の誕生日にした。これなら忘れない。

晴れて2010年1月に開業届を出すことができた。

さあ、どうなるか。貴重な初収入は得られたけれどまだまだ元は取れていない。というか新たに認定講師の資格講座を受けたのでむしろマイナスが増えていた。

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