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なぜゴルフトライアスロンを北海道の雉ヶ森で開催するのか?

その答えは明白です。
誰もやったことがない競技を、しかも実績もほとんど無い、
どれだけ参加者が集まるのかわからない中で
「うちのコースでそれをやりましょう!」と言って
大会開催に必要な条件を全て理解して全面的に解放してくれたからです。
ゴルフ場としてはものすごいリスクがあるにも関わらずです。

どのようなリスクがあるかといえば、参加者数が通常営業と同じくらいあるかどうかです。予定人数に満たなければその分減収になるからです。
一般的には大きな大会をゴルフ場で開催する場合はその日1日ゴルフ場を借り切ります。通常営業で予想される売り上げ金額を保証できる金額がレンタル料金となります。
参加人数に関係なく、その金額で借り切ることができれば、借主はゴルフ場の施設を利用していろいろな施策もできるので100名を超える大会はレンタルがよく、ゴルフ場も売上が確定できるのでこのような申し入れは大歓迎なのです。
しかし、ゴルフトライアスロンは新しい競技なので競技人口はほとんどなく、大会の要項をSNSで見て、仲間に誘われてという方が参加者のほとんどなのでどのくらいの参加者が集まるか読めないところがあります。
これがリスクなのです。
それでも「この競技はゴルフ場のあるべき姿の一つを具現化するものだ」という判断で、参加人数に関わらずコースの提供を申し出てくれたのです。

見つめる先の目標が同じだからできること
最も来場者の見込める週末を大会開催に解放してくれただけでなく
コースのレンタル料金もありません。参加者の払うプレイ料金で良い、というのです。 参加者が50名でプレイ費が¥12,000/人であれば¥600,000しか売り上げが立ちません。週末は150名くらいは入場者が入れば売上は¥1,800,000で50名だと¥1,200,000の減収となります。この差は大きすぎます。
レンタル料がなければ大きなリスクはゴルフ場が背負うことになります。
それだけではありません、ゴルフトライアスロンの最大の課題となっている、マウンテンバイク(MTB)を「必要ならコースで用意する」と言って
25台も新車を購入してくれたのです。、営業予算も余裕がない中で。

さらにマウンテンバイクのコースはカート道を走るだけでなく
「オフロードもあった方が競技として面白いでしょう」とホールに隣接する林の中を支配人の鈴木さんがOUTコースとINコースに一つずつ自らダートコースを作ってくれたのです。

MTB用の手作りのダートコース

なぜ、このようなリスクを取ってまでもゴルフトライアスロンを開催するのでしょうか?

新しい形のゴルフ場
ゴルフ場のビジョンがゴルフトライアスロンの目指すものと同じだからです。ゴルフ場の持つ価値はゴルフをするだけの場所から、ゴルフもできる野外総合施設としての機能を発揮することで人口が減少していく社会では新しい形のゴルフ場は必要不可欠なものとなる、それを一つの形で整えておこう。ここでの経験やノウハウは他のコースでも活かせる、と考えているからです。

ゴルフトライアスロンは自転車競技とランニング競技をゴルフ場で行うことでゴルフ場の持つ潜在的な付加価値、側面を見てもらうことができます。
ゴルフをしない人たちがゴルフ場に来て最初に発生する言葉は「Wow ! 綺麗だ、広い、すごいなここは」です。サイクリストに自転車に乗ってコースを一周するだけで「気持ちいい、こんなところがあるなんて」と歓喜の声をあげ、目が輝く姿を見ることでしょう。
他の人たちでも大人でも子供でも女性でもシニアでも芝生を敷き詰めたフェアウェイ、林に囲まれた広大なスペースを見て、少し歩いてみればいろいろな発想が出てくるはずです。
例えば、「キャンプができないかな」とか「夜、天体観測もできるし、音楽コンサートも」、林の中で虫取りやキノコ刈り、芝生の上での運動会、クラブハウスの中でも大小の会議室を利用したセミナーや展示会もできる。何ができるかはそれこそアイデアの数だけできる。
それがゴルフ場の近未来の姿となるからです。ゴルフ+αがゴルフ場の未来形です。
ゴルフトライアスロンはその一つの起爆剤なのです。
ではなぜ、雉ヶ森がこのような考えを持っているかが知りたいですよね。
その前に

ゴルフトライアスロンて何?
ゴルフトライアスロンという競技を知らない方がほとんどなので少しだけ競技の説明をさせてもらいます。
ゴルフトライアスロンというものは一口で言えばトライアスロン(スイム+自転車+ランニング)の水泳をゴルフと入れ替えたものです。
競技の全てをゴルフ場で行います。
競技の概要とプレイの順番はゴルフを最初に18ホールプレイして、そのスコアの上位から順(1ストローク30秒)に自転車をスタートし36H(約18km)カート道や特設のオフロードを走ってそのままランニングに入ります。ランニングは18ホール(約9km)、カート道やフェアウエイを走ってゴールするもので、ゴールテープを切った順がそのまま成績となります。

日本で考えられた競技で世界への普及を目指しています。
競技としての面白さは3つのゲームを連続して行うことですが、「ゴルフの上手い選手が逃げ切れるか、追い抜かれるか」というスリリングな部分が選手に評価されているところです。
それは選手それぞれに得意分野があり、そこに戦略性もあるからです。
開催場所が戦略的であればフィニッシュするまで誰が勝つか分からないところでもあり、勝負より自分自身の可能性にチャレンジする人たちもそこに魅力を見出しています。

ゴル場ビジネスの未来
このゴルフ場を所有するのはロックフィールドゴルフリゾート株式会社というところです。2019年に8つのゴルフ場を取得してゴルフ場の経営を始た新しい会社で母体は投資会社です。ゴルフ場の経営は2025年問題(ゴルフ人口が大きく減少し始める年)が大きく取り上げられ将来的にはゴルフ場経営は困難な時代に入る、と見られている中で8つものコースを買収したのです。その中の一つが雉ヶ森カントリークラブだったのです。このコースは開場して50年以上も経つ歴史のあるコースでしたが年々入場者が減少し経営が立ち行かず閉鎖したところだったのです。従業員も全て辞めてしまいコースも手入れができないので荒れ始めていたのです。そのようなところをなぜ購入したのか、多くの専門家は購入をやめるアドバイスをしたにもかかわらずです。

自然の景観と同化している雉ヶ森GC

ゴルフ場のオーナーの岩田直樹さんはゴルフ場の持つ資産価値を多角的に見た中で、やり方次第ではゴルフ場ビジナスはやるべき価値があるものだと見ていたのです。今までのやり方ではなく、持っている価値を再発見しそれを生かしていくやり方があればできる、と考えていたのですがそれを行動に移すことには、同じ考えを持って計画を実行して目標に到達できる資質を持った人がいなければできないことでした。

KIJIGAMORI REBORN PROJECT
重荷になりそうなゴルフ場を抱えた中で、購入した会社の社員に中に鈴木弘美さん(男性)が「私は今まで加藤俊輔さんの下でいろいろなコースを手掛けてきました。バブリーなコースばかりでした。人生最後の仕事として理想的なパブリックコースを作りたい、このコースを私に任せてください。それができるならこの会社に入ります」と申し出たのです。

鈴木弘美支配人

千葉の自宅から単身で岩見沢のコースに住み込んで自らコース管理を手掛け、フロントに立ち、顧客のバッグをカートに積んだり、下ろしたり、時には厨房に立って配膳をしたり、まさになんでもやる、マルチタスクを平然とこなしているのです。「ゴルフ場が好きだからできるんです」と。
そして本業のコース管理では最初にグリーンの手当てをしっかりやりながら草刈機でラフの芝を刈り取り、メンバーだった人から「二度とプレイしたくないコースだ」と悪評が漂う中でコースの改造を始めたのです。
今ではここのグリーンはトーナメントを開催する道内のコースよりも手入れが良いとパッティングの練習にトップレベルの選手も来るようになっています。
悪評を言っていた地元の人たちも、年毎に良くなっていくコースを見て、鈴木さん、ずっとここにいて欲しいと懇願したのです。
熱意が伝わった瞬間です。

手入れが進みゴルフ場として生き返り始めた


鈴木さんが今までの経験や海外のコースを見てきた中で、理想のパブリックコースというのは、まず地元の人に愛されるコースであり、気軽に誰もがゴルフを楽しめる環境の中で、地域のコミュニティとしてのゴルフ場であり、週末は家族で楽しめる場所としてのゴルフ場なのです。それを目指して改造を始めたのです。
岩田さんはゴルフ場の名前も「岩見沢パブリック・雉ヶ森ゴルフコース」という新しいものに変更して、新しいゴルフ場として生まれ変わる方向性を打ち出したのです。その中の一つの活動として毎年秋に幹部社員全員がコースに集いコースの手入れと芝桜をコースの中に植えることを始めたのです。

復興のシンボル、芝桜

運命がもたらした出会いから始まった
そのような空気が流れる中で私は運命的な巡り合いで岩田さんと会うことができたのです。岩田さんは獲得したゴルフ場の新しい運営方法を模索している中で、パターの販売をゴルフ場で行うことを考えていました。
パッティングの練習はゴルフ場の練習グリーンで行うのが一番。そこで良いパターを試打して購入できることは他のゴルフ場ではほとんどやっていないし、独占的に一つのブランドを販売できるなら、販売代理権が取れる可能性があるパターメーカーを探そう、となり2020年の米国で開催されるPGA Showに行ってパターメーカーを探しているうちにフランスのパターメーカーのARGOLFを見つけ日本での販売代理権を交渉の上獲得した経緯があります。
しかし、そのパターがビジネスとして今後日本で発展できるものなのかどうかは分からない、それならそれがわかる人に見てもらいアドバイスを得ようとなって、私が呼ばれた次第です。

ARGOLFのパターをトーナメント会場で選手にアピール

航空機の部品を作っているメーカーがその素材と製法を駆使してパターを作るなら、それは製品としては優れている、あとはどうやって日本市場にその良さを訴えてビジネスとして発展できるかどうかでした。

ゴルフトライアスロンとARGOLF
ゴルフトライアスロンとARGOLFの普及は同じものだと思っています。
それは誰も知らないもので、そのものの持つ価値は両者とも高いものがあり普及させる価値があるものだからです。私がこの両方の普及に全力疾走しているのはこのような出会いと誰もやっていないことをできる機会に恵まれた,
これは私のやるべき仕事だ、と信じているからです。

しばらくしてゴルフ場の支配人を集めたミーティングを大阪で開催するのでそこでパターの販売をこれから始めるのでゴルフ場で販売できる体制を作ってください、という話を岩田さんがすることになり、私も同席することになったのです。
自己紹介の中で「ゴルフトライアスロンという競技を始めています。開催できるコースを探しています」と挨拶した中で鈴木さんから冒頭の言葉をもらったのです。「うちのコースでやりましょう、最低5年は続けて岩見沢地区のスポーツイベントの一つとして定着させましょう」と声をかけてもらったのです。

ゴルフトライアスロンが雉ヶ森ゴルフコースでの開催することが決まった瞬間です。
考え方が一致するところが日本にもあった、最高に嬉しい瞬間でした。
次はどのようにしたらゴルフトライアスロンを岩見沢で認知してもらい、参加者を増やして競技としての普及と新しくなったゴルフ場を認知してもらうかです。
noteに寄稿することも一つの伝達方法です。読んでくれた人の1人でも、ゴルフトライアスロンの目指しているものやゴルフ場の考えている新しいゴルフ場の存在を理解してもらい、一緒に活動できる協力者を増やすことも目的だからです。

新しいことは前例がないだけに、通るべき道もガイドもいないので常に自分たちで道を切り開いて、次の人が通れる状態を作って次に繋げて行く努力と忍耐が必要なのです。
その道を人々が利用し始めて、プロジェクトの完成です。

ゴルフトライアスロンと雉ヶ森は共通の目標があることがお分かりいただけたと思います。活動しながら存在感を出していきたいと強く思います。
そんな新しいことにチャレンジしながら壁にぶつかりながら少しずつ歩みを続けている自分たちの心を支えてくれる言葉があります。
ホンダの創業者本田宗一郎氏の言葉を紹介して最後とします。

負けるもんか
頑張っていれば、いつかは報われる
持ち続ければ、夢は叶う
そんなのは幻想だ
たいてい、努力は報われない
たいてい、正義は勝てやしない
たいてい、夢は叶わない
そんなこと、現実の世の中ではよくあることだ
けれど、それがどうした?
スタートはそこからだ
新しいことをやれば、必ずしくじる、腹が立つ
だから、寝る時間、食う時間を惜しんで、何度でもやる
さぁ、昨日までの自分を超えろ
負けるもんか
                    


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