見出し画像

パターのヘッド素材について

ユニークなヘッド素材
パターに使われている素材について、多くのゴルファーはあまり気にしていないように見えます。しかし、パターデザイナーにとって性能やデザインを決定するのにとても重要なファクターなのです。特に素材から来る打球感はボールのスピードコントロールに大きな影響をもたらすことから素材選びは良いものを作ろうとすればするほど慎重になります。
ARGOLFのパターヘッドは大きく分けて3つの異なる素材を使用しています。ひとつはチタン合金TA6V、2つ目はスレンレス鋼でGSS304LとGSS316L、3つ目はアルミニュウム合金の7175AL。
「このような素材番号の金属素材を使用しています」とカタログに表記しても何が何だか分からない方がほとんどだと思います。しかし、航空機関連、自動車関連の方が見たら「このような素材をパターに使うとは凄いな」と言うでしょう。それだけ優れた素材をごく自然な形で使用している点がとても興味深い点です。

航空部品素材と同じパターヘッド素材

これらの素材は航空機の部品やレーシングカーのボディに使用されているもので、なぜこのような素材をパターに使用しているかという点がARGOLF の強みと言える部分なのです。
航空機の部品はまず製品としての信頼性、つまり最高レベルの強度、耐久性、耐食性、耐摩耗性それに製品としての精度(寸法精度、重さそして重心位置)が工業製品として最高レベルのものを常に追求しているからで、そうでないと航空機は安全に空を飛び、レーシングカーはレース場を高速で疾走することができないからです。


精巧に作られる航空機の部品


Air Bus A350(Air Bus ホームページより)

デザイナー、オリバーのこだわり
話を元に戻しましょう。
現在、削り出しのパターは多くのメーカーが取り組んで様々なデザイン、素材がありますが基本的にはステンレス素材とアルミ合金素材の2種が用いられています。特にステンレス素材はGSS303というものが削り出しパターでは主流です。
GSSとはGerman Stainless Steelの略でドイツ製のステンレスでステンレスでは高級素材としてブランドが確立されたものです。
ARGOLFはその中でもさらに高品質とされているGSS304L,GSS316Lという素材を使用しています。この2つの素材はいずれも航空機の部品に使用されているのですが303素材より丈夫で信頼性が高いからです。特に数字の後ろについているLという文字はLowという文字の頭文字でカーボンの含有率が低いという意味で付けられています。カーボンの含有率が低いとそれだけステンレス鋼として硬く堅牢になるのですが削り出していくにはドリルの刃もより丈夫で鋭く削れるものを使用し、削り出すスピードや力もきめ細かな配慮が必要です。当然、それができる機械や設備も必要で一般的なパターメーカーではできない部分でもあり、できたとしてもコストも当然高くなってしまほどのものなのであまり採用されていないのです。


航空機の部品を作るプロセスと同じ、インゴットからヘッドが削り出されている

そのような素材や製法を用いることでパターの性能にどのような影響を与えているのか? 
そして従来の製法や素材を使ったパターと何が、どこが違うのかと疑問を持つ方もいると思います。 
大きな差は素材からはありません。むしろデザイナーのこだわりと言えるものです。パターというものをどこよりも精度良く作ることを考えるなら素材においても妥協はしたくないものです。工業界では航空機部品というものは全てに最高レベルの品質、精度が求められるものでそれをパターという道具に取り入れて自社で作れることがARGOLFの強みなのです。これは競合他社にはできないことでより良いものが作ることができるならそこを追求していくことがコンセプトとして打ち出しています。
価格においても他社の説明ではGSS素材を使用しているから高い価格になると説明していますが、パターの本当の価値は素材ではなく素材を生かしたデザインであり、それを正確に精密に作り上げ機能として高い精度を持ったものだと思います。そして、価格というものは、最初は生産者が付けても最終的には市場(消費者)が決めるもので機能に対して高すぎると思われれば売れないからです。

アルミ合金7175AL素材から作られたヘッド

ARGOLFは航空機の部品などを製造することから、それらの素材を扱う量が一般のパターメーカーとは比較にならないくらい多く、当然その素材を扱うことにも慣れていて、いろいろな部品を作るノウハウと経験を持っているところが強みと言えるのではないかと思います。
最高レベルの精度と素材で作られたパターを一人でも多くの人がご使用いただけるようにリーズナブルな価格設定をしているやり方は正直だと思う。
これもARGOLF Wayなのだろう。


もし、私の書いたものに興味がありサポートししてみたいと感じていただけるならとても嬉しく思います。次の投稿に際しても大きなモチベーションになるからです。