殺人の凶器は紙のファックス!? 小説 「ファックスの終りとオフデューティ・マーダーケース」(6)
隅田からの電話が鳴ったのは、真夜中過ぎだった。
「面白いことがわかったぞ。ただ私用のスマホに捜査情報をメールするわけにはいかないからな」と前置きする隅田に言われるがまま、稲塚は電話越しに読み上げられる内容をメモした。
「お前がどういう見立てなのかは知らんが、確かにそっちの殺しとこの件、関係あるかもしれないぞ」
そう話す同僚に、稲塚は改めて礼を言ってから電話を切ると、間髪を容れず駐在の木内の番号に発信した。これは伝えたほうがいい——その確信が、稲塚の胸中にはあった。番号は夕