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機上で最新映画:カメラはずっと部屋の中、映像出演者はひとりだけの『On the Line』は『想像』について考えさせられる(ネタバレ:ほぼなし)

中部国際空港からバンコクまでの機上映画をどれにしようか、とライブラリーを物色しました。
『Comedy』ジャンルがある時は、そこから選ぶ傾向にある。カキモノ自体もそうですが、コメディ好きなもんで……。
次の選択肢は『New Release(最新作)』です。まだ国内では公開されていない映画を観るって、機上ならでは!じゃないですか ── もっとも最近のサブスク・オンデマンドは早いらしいけど。

さて今回は、『New Release』から『On the Line』を選びました。

この映画はまだ日本では公開されていないはず。なぜなら、『On the Line』で検索してもこの作品はほとんど出ない。
出てくるのは、昨年日本公開の映画『ミッドナイト・マーダー・ライブ』(原題が『On the Line』)。
メル・ギブソン主演のこの映画は(見ていないけど)、ビルから飛び降りようとしたり、爆弾が仕掛けられたり、人が次々と殺される、きわめてハリウッド的な作品のようです。制作にお金もかかっていそう。

さて、機上で観た新作『On the Line』ですが、映画としてユニークな点はズバリ、
・最初から最後まで、映像はある一室(電話交換室)の中にいるひとりの女性(電話交換手)だけを映し続ける!

彼女自体も ── どうだろう、1/3ぐらいは、電話交換手としての仕事用語である、
「Number please」
「Connecting you」

を繰り返す。

彼女以外の出演者は全員、彼女と電話で話す『声』だけの登場となります。
だから私 ── いや、audienceは、その『声』の様子と内容から、電話の向こうで何が起きているのか、『想像する』ことになります。

一般的に映画をはじめとする『音声付き動画』は、例えば『小説』などと比べてはるかに情報量が多く、audienceは目の前に展開する情報をそのまま受け入れればいいわけで、カキモノのように『想像力』を駆使する必要が無い。
(ただし、北野武監督は「全てを見せてはいけない、観客の想像に委ねる部分は重要だ」とエッセイに書いています)

その意味で、かなり特異な映画でしたね。ただ、まだ日本で公開されていないこともあり、日本語の吹き替えはもちろんのこと、音声和訳の表示もないため、たぶん理解度は9割ぐらいかもしれない。
── でも、楽しめましたね ── 間違いなく、『想像』すること自体を含めて……。

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