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久しぶりに東京に行って《首都機能移転》について考えた

所用があり、半年ぶりに東京(中央線沿線)に行きました。
駅前はもちろん、徒歩15分圏内ぐらいでも、狭い道にバスと自家用車と配達トラックと自転車と歩行者がかなりの密度で共存している、その中に入って、
「こんなところで地震や火事が起こったらたいへんなことになるな」
と思っていたところで、《まっちゃん》の記事を読みました。

「富士山はいつ噴火してもおかしくない」
という専門家の話から、拠点分散(行政も企業も)の重要性を説いておられます。

企業は死活問題なので、国内は大震災を契機に、米国企業はその前のNY大停電を契機に、それぞれいわゆるBCP(事業継続計画)の立案に真剣です。

でも、国はどうなんだろうか? データを分散管理している程度で、リアルの部分はあまりに東京一極集中しているのではないだろうか?

もう誰もが忘れてしまっているかもしれませんが、かつて、「首都機能移転」が真剣に語られた時代がありました。
国会では1990年に衆参両院にて「国会等の移転に関する決議」を議決し、「首都機能移転を検討する」という基本方針を確認、続く1992年に「国会等の移転に関する法律」が成立し、この法律に基づき候補地の選定などの準備作業に入ったはずなんですが……。
候補地が挙がりましたが、いつの間にか忘れられています。
消費者庁の全面徳島移転も頓挫しました。
文化庁だけが先月、京都に移転しました。
たぶん、京都だから移転できたのでしょう。

移転できない理由はいくらでも考えることができます。例えば消費者庁移転議論で理由になったという「国会対策」。でも、そもそもそれが官僚の過重労働を生む元凶とされていたはず。
地方創生を進めるためにも、不況下のニューディール的政策としても、地方に大きな雇用を生む首都機能移転は好ましい仕掛けのはずなんですが。

あらゆる決断が産む結果はトレードオフで、メリット・ディメリットの両要素があります。
未来のメリットとディメリットを考え、どちらがどれほど大きく、ディメリットをどう克服するか、そもそも克服することが未来にとって本当にメリットになるのか、考えるべきだと思います。
多くの場合、「現在のディメリット」が「やらない理由」になっていますよね。

現在の東京は異常な都市です。
米国で言えば、
ニューヨーク的ビジネスセンターと、
ワシントンD.C.的政治中枢と、
ボストンその他各州に散らばる大学町を、
全て足し合わせたような巨大キメラです。
ここに住むのはとても便利であり、一方、災害や他国からの攻撃に対してはとても弱い

やはり少なくとも、ニューヨーク的ビジネスセンターと、ワシントンD.C.的政治中枢とは離すべきでしょう。
そして、動かすことができるのは、後者でしょう。
安全面からは、地盤強固かつ津波や海面上昇にも耐えられる「やや内陸」がいいと思います。

首都機能を移転したくない理由はいろいろ挙げられるけれど、結局は、

こんな便利な都市に比較的低コストで住むことができる人たちが動きたくないんだろうな。

国会議員も中央官僚も(特にその家族が)東京に住んでいることを(家賃安価な議員宿舎や官舎の存在を含め)大きな既得権と考えているからなんだろうな。

最近の首相は世襲議員が多く、選挙区は地方でも、岸田さん、安倍さん、鳩山さん、麻生さん、と、菅さんを除き、(元も含め)自民党系は東京育ちの人ばかりです。

若者にとっては刺激の多い街です。狭い部屋に高い家賃を払ってでも住みたい、と思う人は多いでしょう。私自身、東京で学生生活を送りました。

でも、
狭い道を走り抜ける車やバイクや自転車に脅かされながら小学校に通う子供自転車に幼児を乗せて、出勤前に全速力で保育園に向かうお父さん危ない、アブナイ
── 子育てしている人たちはたいへんです。
でもやはり、雇用もこの巨大キメラに集中しているので、この街に住むことを選択しているのでしょう。
「なんとかやっています」
でも(Again)、災害や他国からの攻撃に対してはとても弱い

リモートワークが日常になった今こそ、
《首都機能移転》
を再度、いや、今こそ真剣に考えて欲しい
国会議員も、中央官僚も、
継ぎはぎだらけの補修政策を繰り返すのをやめて、安全を含めた国全体のグランドデザインを考えて欲しい。

── と思うのです。

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