見出し画像

ドラマ「風間公親 教場0」でとても気になるセリフ『交番勤務に戻れ』

キムタクは何を演じてもキムタクになる、とどこかに書いてあったけれど、この「教場」シリーズの刑事指導官・風間公親だけは違う。
ほぼ無表情で、無感情にすら思える独特の演技を見せる。

ドラマでは、他の部署から県警本部捜査一課配置転換されてきた刑事としては新人と、指導官・風間がバディを組み、OJTしながら難事件を解決する。
「解決」以上に「教育」に重点が置かれる、特殊な刑事ドラマである。

新人(赤楚衛二、新垣結衣など)はそれぞれ有能なのだが、欠点もあり、そこを指導官に指摘される。
そして、風間は宣告する:
『交番勤務に戻れ』
これは、
『=お前は(刑事として)失格だ』
と言っているのだ。

ほぼ毎週登場するこのセリフを耳にするたびに思う:

そりゃ、捜査一課の刑事は花形かもしれない。
でも、交番勤務の警官は、毎日カラダ張って街の安全を守っているんだ! そんな言い方はないだろう!
ピラミッドの上方に捜査一課の刑事という職種があり、上の職能には力不足だから底辺の交番勤務に落とす、みたいな言い方は止めろ!

(もちろん、木村さんに文句を言っているのではない)

警察組織ってかなりの階級社会らしいから、ひょっとしたらその中に何年もいたら何も感じなくなってしまうのかもしれないけれど、例えば私が交番勤務の警察官だったとしたら、家でこのドラマを見ていて、キムタク指導官のセリフ、
『交番勤務に戻れ』
を聴くたびに、心の中で、
『ちぇっ』
と舌打ちをするだろう。
あるいは、一緒に見ていた小学生の息子が、
(……父ちゃんも、こうやって交番勤務に落とされたのかな)
と私の横顔をそっとうかがう
かもしれない。

いや、私は、例外的に心の狭い人間なのかもしれない。
ほとんどの交番勤務の方々はこんなドラマのことは気にもかけず、誇りを持ち、黙って危険な職務を遂行しているのだろう。

でも、なぜこんなことを言うのだろう?
『元の職場に戻れ』
でいいじゃないか!

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?