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「知らなかったはずはない」じゃなく、「知らなかったでは通らない」にする──そのための『国会議員の法人化』

自民党派閥のパーティー券販売収入の裏金化問題に端を発したスキャンダルに関して国会の論戦が始まりました。

この問題に関与して会計責任者や秘書が責任を問われ、国会議員は「知らなかった」と追及を逃れることに関して質疑応答があり、岸田首相は『連座制』の導入も含めて党内で議論していく、と答弁したようです。

この問題で世間の議論や野党の追及で違和感を感じたのは、
「派閥の会計責任者や国会議員秘書がやったことを派閥領袖や国会議員が知らなかったはずはない(むしろ指示したのだろう)」
という論法です。
そうかもしれない。でも、知らなかった、という人たちに対して、
「そんなはずはない!」
と延々と言い続けても水掛け論になるばかりで、お互い、貴重な人生の無駄遣いです。

やはり、
「知らなかった」
こと自体が問題です、というシステムを作り上げることが肝要ではないでしょうか。

自動的に議員も責任を負う『連座制』も慎重に検討する、と一応答えていますが、その『成立要件』で大揉めに揉めることは間違いありません。

『政治資金の透明化』という議論も抽象的だし、具体策となると、資金パーティーの公開基準額の引き下げやパーティー券の支払いの銀行振込限定のように、突然中身が枝葉末節になります。

企業の経営改革も同じですが、問題点の『部分修復』を行おうとすると、必ずそれが別の場所に歪を生じて、また『部分修復』を行い……と、これを繰り返すうちに本来の問題解決から遠のくばかりか、『部分修復』にお金も時間もかかる羽目に陥ります。

根本的な問題は何かと考え、それを解決することを考えましょうよ。

下記記事の後半にそのことを書いたのですが、月面着陸に隠れて見えなくなった気配もあり、再度要点を。

『国会議員』という国政の立法府の重要メンバーであり、巨額のお金の出入りを議論し決める人たちの本質が『個人商店』であることが問題の根源のように思います。
『個人』だからこそ、『個人』の責任回避に動くのです。

営利法人である株式会社ならば、社内で背任、横領だったり、マネロンに関与したりなど犯罪行為があれば、実行犯とは別に経営者も責任を問われることになるでしょう。
でも、喫茶店を経営する個人事業主のオジサンは、店に来た客の財布がなくなった時、やったのはバイトだ、あいつのおかげでこの店の評判はガタ落ちだ、俺はむしろ被害者だ、と言うかもしれません。
オジサンの息子が遊びで乗り回している車も、喫茶店の食材の仕入れに半分は使っていることにして、経費処理しているかもしれません。

『個人商店』にガバナンスを期待してはいけない ── のかもしれない

ならば、この『個人商店』を『法人化』しようではありませんか。

現在の法人の種類に無理やりあてはめるより、独自に『立法議員法人』『政治法人』を作った方がいいでしょう。
これに伴い、現在国会議員が持つ『政治団体』は非合法化しましょうか。

国会議員は法人の代表者となり、国庫から法人に入金される中から個人としての報酬をもらう。
現在は、政策担当秘書1人、公設秘書2人の給与が国庫から支給されますが、これも国庫から法人に入金される費用の中で自由裁量すれば良い。能力の高い秘書と低い秘書で差をつけても良い。『ワークシェア』と称して数人の秘書で分けていた国会議員がいましたが、もちろんそれもOK。
それ以外は出費目的ごとに経費として処理される。領収書の要らない文書通信費などは存在しなくなります。

『パーティー』も、全面禁止などという実行不可能な極端ではなく、『立法議員法人』の政治資金集め手段として、一定の規制のもとでやればいい。ただし、購入者名などは明らかにして、宗教法人の土地活用ビジネスのように、営利事業として収益から税金をおさめていただく。

『立法議員法人 岸田文雄(衆)』代表者の岸田文雄さんは、内閣総理大臣という国家公務員も兼職しています。公職と政治法人との関係は、利益相反・利益誘導などコンプライアンスの観点から厳しくチェックされます。

『立法議員法人 丸出飴夫(衆)』代表者の丸出飴夫さんは78歳になったので引退し、選挙区を娘の丸出御菓子さんに継がせようと考えています。
でも、飴夫さん引退に伴い『立法議員法人 丸出飴夫(衆)』は解散し、その資産は全て国庫に納めなければなりません。
そして、丸出御菓子さんは、もし次の選挙で当選すれば、新たに『立法議員法人 丸出御菓子(衆)』を設立するのです。
地盤、看板はどうしようもありませんが、カバン(お金)は引き継げなくなります。

どうでしょうか? 法人化?
『個人商店のオヤジ/オバサン』から、『立法議員法人の代表者』へと美しく脱皮し、ガバナンスを機能させようではありませんか?

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実は、前回の記事を書いていて、次の部分がもっと気に入っており、より重要かも、とも思っています:

『事実』より『国の威信』を重んじる政治体制の多くは、個人または少人数グループの独裁制ですが、これもある意味、
《巨大な個人商店》
なのかもしれません。

探査機月面着陸成功のJAXA『60点』自己評価に、この国に生まれて良かったな、と思ったこと、そして『個人商店』の『法人化』案など|谷 俊彦 (note.com)

そんな国に生まれたくはないですね。
いろいろ問題はあっても、この記事のように、
「こうしたらいいんじゃない?」
といえる国っていいですね。

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