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まずホメる ── 順序が大事かもしれない

自分の経験から、
《ホメて育てる》のは重要!
とアタマではわかっているのに(未熟さ故に)なかなかできない、という話を書きました:

会社勤めをしていた頃、業務提案会議などで、若手のプレゼンが終わると、
《まず否定!》
するベテランがいましたね。
コストの問題、競合に勝てるのか、リソースがあるのか、目的はいいけどアイディアに具体性がない、などツッコミどころはいくつもあり、そういった《問題点》を指摘するわけです。
中にはいきなり、
「アンタが今やってるテーマはどうするつもりなんだ!」
卓袱台返しの咆哮をあげる上司もいましたね。
研究テーマの提案であって、誰がやるかは次のステップで議論すればいいことなのに……。

気の弱い提案者はオタオタします。
で、提案件数が少ないと、それはそれで、
「今の業務に安住している!」
とか言われたりするのですが……。

この《まず否定!》の心理を推測すると、
(自分は《問題点》がわかっている=優秀である)
ということを示したいのでしょう。

《まず否定!》で提案者が(気の弱い場合)オタオタしたり、(気の強い場合)ムッとしたりすると、その後で、
「いや、方向性は正しいと思うが……」
なんてケアなのか埋め合わせなのか、語調を変えたり、Encouragingなことを付け加えたりするのがよくあるパターンでした。

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話は変わりますが……

小説を依頼されて書いていた頃、原稿を郵送すると、数日後、編集者から電話がかかってきます。
「いやあ、よくなりましたねえ。特にこのキャラクターの個性が強くなったのがいい。いや、参りました……」
── まず、ホメてくれます。
(お、これはOKかな……)
受話器を手にニヤついていると、
「ただ、ちょっと……」
《問題点の指摘》が始まります。それはとても具体的で、
(なるほど……)
とうなずくしかありません。
彼が話し終わる頃には、その《問題点》はかなり致命的であり、要は《ボツ/再書き直し》であることがわかります。

話が終わる頃にはかなり落胆してはいるのですが、
《まずホメる》
の効果でしょう、《具体的問題点》をしっかり聞き、理解しようとしています ── 《納得性》があり、実際、納得せざるを得ないのです。

これも経験はしていてもなかなかできないことですが、

① まず、ホメる

② 問題点を具体的に述べる

の順序が大事なんでしょうね。

この逆をやってはいけないね……。

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