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アイスバーの当たり棒とリスのドングリ

最近書いた短編の中で、あまりの暑さにゲートボールもできず、スーパーのイートインにたむろする老人を描きました。

作者自身も同様で、このところの猛暑で散歩もできず、毎日室内施設で運動後、帰宅してアイス・バーを食べる、という夏休みの小学生のような生活をしています。
最近はロッテの「北海道バニラバー」をよく買います。牛キャラのバニラバくんが、
「たべたいモ~」
と言っています。

バニラバくんはミルクを出すから雌牛?

振り返れば小学生の頃は、夏に1本10円のホームランバーというアイスをよく買いました。
懐かしい昭和の光景を紹介されているイラストレーターのもりおゆうさんが書いておられますが、バーのスティックに当たりの焼き印が入っていると、新しいホームランバーと交換できました。

今から思えば、けっこう高い確率で ── ひょっとしたら10本に1本ぐらい ── 当たり棒が出たように記憶しています。
友人のほとんどは当たりが出ると、すぐにその場で新しいアイスバーと引き換えて2本目を食べていましたね。
「……いいなあ」
羨望の目が集まりますが、その中で私ひとり、いやいや、違うだろ、と思っていました。
(……こいつは目先の利益にとらわれすぎている。今、アイスを1本食べたばかりじゃないか。次に食べたくなる時までキープしておけばいいものを……)
実際、当時の私は当たり棒が出たら、家に持ち帰り、引き出しの中などに保管しておくのが常でした。

── ただ問題は、友人たちと遊んでいて、『アイス食べようぜ!』となった時、ポケットの中に当たり棒があるわけではなく、結局現金で買うことになること……。

いつだったか、既に会社勤めをするようになってから実家の子供部屋を整理していたら、この『当たり棒』が何本か出てきました。他の菓子類の当たり券なども同じ箱に入っていました。

話は変わりますが ──
リスは餌がなくなる冬に備えて、秋にあちこち穴を掘り、ドングリを隠しておくのだという(『貯食』と呼ばれる)。
冬に備えるだけでなく、他のリスや鳥に取られないように、あるいは、飽食した今は食べずにお腹がすいた後に食べるため保管しておく、という意味もあるらしい。

何か所にも分けて隠すので、隠し場所を忘れてしまうこともあるようです。こうして忘れられたドングリからクヌギなどの芽が出ることもあるそうです。

小学生時代の私も秋のリスのように『貯食』行動をとっていたわけですが、リスが忘れた隠し場所からは木の芽が出ても、オトナになって発見された私の隠し場所から出るのは、小さな『悔恨』ぐらいでした……。

(……うーむ、その場でアイスバーと引き換えていた連中が正解だったか……)

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