回帰の館(SS;2,100文字/エレクトロニック・ショート・ショート・カタログ)
その場所で特に非合法のサービスが行われているわけではない。しかし『回帰の館』は、一般に広告を出すことなどない会員制クラブだった。
客は辺りの人目を気にしながら館に入る。
結構金のかかる道楽だが、10日ほども間があくと、もう我慢できなくなってしまう。今日も妻に内緒で来てしまった。
無人の受付で会員証をかざし、ロッカールームに入ると、もう5,6人の先客が着替えを始めていた。
みな、組織の中で疲弊したビジネスマンだろう、くたびれた動作で、けれど明るい表情で背広を脱ぎ、ネ