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今日は一粒万倍日。

「今日は一粒万倍日って言ってさ、この日に始めたことは何万倍にもなって返ってきて成功する日なんだって。私宝くじ買っちゃったんだ〜。」


ふとアルバイト中に聞いた話を思い出した。

時刻は23時を回っており、持ち上げた二本目の缶ビールは空だった。

今日も何の変哲もない1日だった。

今日起きたことと言えば、

レジの操作を間違えて少しだけお客さんを不機嫌にさせてしまったこと、
帰りの電車が2分だけ遅延していたこと、
明日が休みと気づいて少しだけ嬉しく思ったこと、
この前買った宝くじがハズレだとわかったこと

それ以外は至って平凡な当たり障りのない一日だった。

もう入っていないと知りながらビール缶を逆さまにして2滴3滴を口に落とす。

絵描きになる夢がただの夢物語だと思うようになったのはいつからだろうか。
才能がないと筆を持たなくなったのはいつからだろうか。
日々に意味を見いだせなくなったのはいつからだろうか。


「一粒万倍日」

頭の中で微かに、それでも存在感をもってさっきの言葉が反芻される。

「あと10分。まだ、明日は始まっていないよな。まだ間に合うよな」

酔いに任せて筆を手に取る。
まだ、夢をみていたい。今日は残りあと10分。


なんて文章を今日の一粒万倍日という日に書けば、
いつか何万倍にもなって返ってきて成功しないかなーなんて思ったり。

家で眠っているピアノを少し弾いてみる。
思い切って誰かに連絡してみる。
室内干しとして大活躍の懸垂機に挑戦してみる。


一粒万倍日。
なんでもいいんです。
なにかちょっとした挑戦をしてみるといい。

今日やれば返ってくるから!なんて素直な卑しさも健気で可愛いもんです。
そんな欲に素直になっていい日なのです。


そう思って今日、文章書いてみました。わーい。

いつかなにかになあれ。

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