見出し画像

僕のモーニングルーティーン

ワークとライフは、
健全な体力という地盤の上でしかバランスしません。
――――吉越浩一郎『気力より体力』

▼▼▼我がホームジム▼▼▼


先週は筋トレのことを書いた。
が、しかし、現在の僕の筋トレについて、
何も書くことができなかった。
ニホンジムオジサンの話やら、
老後2000万円の話やらをしていたら、
それが楽しくなっちゃって、つい。

今週こそは今の僕の筋トレの話をしよう。

僕は毎朝、起きると筋トレをする。
正確には6時に起きてトイレに行き、
歯を磨き、祈り、聖書を読み、
水を飲み、プロテインを飲み、
朝ごはんを用意しして食べ、コーヒーを淹れる。
それから30分だけメルマガを執筆すると、
7時半か8時ぐらいになっている。

これが僕の「モーニングルーティーン」だ。

このモーニングルーティーンが終わると、
筋トレが始まる。

まずは15分間、
1万3千円で買ったエアロバイクを漕いで、
身体を温める。
漕ぎながらエアロバイクにセットしたタブレットで、
Amazonプライムで映画を観ている。

最近だと『ブルー・バイユー』が面白かった。

アメリカに幼い頃家族で移住したアジア系の主人公が、
移民政策の変化と「白人によるヘイト」の結果、
強制送還される話。
主人公は白人女性と結婚していて、
女性の連れ子がひとりいて、
自分との間に赤ちゃんも産まれる。
法律が家族を引き裂く。
トランプ支持者はぜひこの映画を観るべきだ。

15分エアロバイクを漕いでじっとり汗ばむぐらいになると、
トレーニングチューブと2キロのダンベルで、
肩関節を温める。
下半身トレの日は膝や股関節やアキレス腱のストレッチもする。

そして、僕の7畳の書斎兼ベッドルーム兼トレーニングルームで、
トレーニングが始まる。
7畳にシングルベッドと大きめの仕事デスクと、
ハーフラックがある。
どんな空間の使い方をすればそんなことができるんだ、
といぶかしがる人もいるかもしれないが、
一度僕の部屋に来てじっさいに見てもらう以外ない。

僕は空間の使い方においてクリエイティブなのだ。

床面積の比率が僕の脳内を反映しているのならば、
僕の脳内は、
5:2:3の割合で、
筋トレ:仕事:睡眠になっている。

幸い床面積の比率は脳内を反映していないのだが、
それでも仕事と同じぐらいには筋トレを重要に思っている。
それはイチローが、
野球をプレイすることと同じぐらい、
グローブやバットのメンテナンスを大事にするのと同じだ。

当たり前だが、仕事というのは、
身体や脳の状態によって左右される。
身体と脳の状態を最高の状態に保つのが、
僕にとっては筋トレと睡眠だ。
(食事についてはここでは割愛しよう)
だから筋トレと睡眠は仕事の一部なのだ。
「寝てない自慢」はだから、
仕事を重要だと言っているのではなく、
仕事を軽視していることの表明だと僕は思う。
いや、吉越浩一郎さんが『気力より体力』に書いていたことを、
僕はここで受け売りしている。

だからあながちさっきの比率は大きく間違っていない。
じっさいは「筋トレ:仕事:睡眠」の重要度の割合は、
「3:4:3」みたいな感じじゃないだろうか。

とにかく、部屋の約半分を占める、
畳にすると3畳弱ぐらいのスペースが、
僕の「ホームジム」である。

ここで、そこそこのジムにある、
フリーウェイトゾーンでできることはほぼすべてできる。
どうやったらそんなことができるのかと思うだろうが、
僕は空間の使い方がクリエイティブなのだ。

・ハーフラック兼チンニングスタンド
・インクラインのトレーニングベンチ
・180センチ(10キロ)のバー
・合計110キロの種々のプレート、
・40キロの可変ダンベル
・ケトルベル×3個
・パラレルグリップアタッチメント
・アングレス90
・トライセップスバー

これらを組み合わせることで、
それこそ無限のバリエーションのトレーニングができる。


▼▼▼精神的な出勤▼▼▼


ウェイトトレーニングがなぜ面白いかというと、
「クリエイティビティ(創造性)」が発揮されるからだ。
工夫次第で無限のトレーニングバリエーションがつくれる。
そして、そのバリエーションを試し、
自分の身体がフィードバックをくれる。

たとえば同じダンベルカールという種目でも、
どのようなグリップで持つのか、
どのような足のスタンス、重心にするのか、
どのような手幅にするのか、
立って行うのか、
インクラインベンチで角度をつけるのか、
そういったことを変えるだけで、
まったく刺激が変わる。
それがハマって「バッチバチに効いてる」
という感覚を得たときには、
もう、脳汁ドバドバである。

そして翌日、
かつてない筋肉痛が感じられたとき、
「やっぱり思った通りだ」と、
ニヤッとするのだ。

料理にこの隠し味を入れたら、
思った通り味に深みが出て、
香りがまとまった、
みたいなときって達成感がある。
それととてもよく似ている。
誰も思ってないと思うけど、
筋トレと料理はジャンルが同じなのだ。

飽きるということが一切ない。

6:00~7:45
モーニングルーティーン

7:45~9:00
筋トレ→シャワー
→フォームローラーを使ったメンテナンス

9:00 始業時間
16:30ぐらい 就業時間

これが僕の典型的な一日の流れだ。
16:30から19:00ぐらいは、
子ども達と遊んだりして過ごす。

そして19:00~21:30ぐらい、
だいたい2~4時間、
僕は読書をする。
この読書は半分は仕事だ。
いや、半分以上仕事かもしれない。
筋トレと同じで、
僕の脳の情報のフローを滞留させないことが、
僕の仕事の質を決めるから。

たとえば学者にとって論文を読むことは、
仕事にほかならず、それは勤務時間に数えられる。
僕にとって夜のインプット時間はそれに匹敵するので、
変則的ではあるが、
端から見たら働いていないように見えるかもしれないが、
実はけっこう働いているのだ。

務め人と比べ、
時間的に余裕がある理由の大きなものは、
通勤時間がゼロなことと、
無意味で長いだけの会議の時間がゼロなことだろう。

以前村上春樹さんが書いていた。
彼はそれこそ僕と同じ理由で、
もう何十年も、
一日1時間半ぐらい走ることを日課にしている。
フルマラソンも年に何回かは走るらしい、
かなりの上級者ランナーだ。

彼は書いていた。

強靱な下半身を持つと、
上半身をやわらかく使えるようになる。
上半身をやわらかく使えるようになると、
思考が自由に動くようになる。
だから文章執筆を支えるのは強靱な下半身なのだ、と。

彼独特のロジックだが、
僕はこの主張をずーっと覚えている。
知識労働者は肉体をおろそかにしがちだが、
実は最後のところで思考を支えるのは肉体だ。

村上さんはこうもいっていた。

時々、
「毎日そんなにストイックに走るなんて、
 大変だと思うことはないですか?」
と人に訊かれることがあると。

そんなときはこう答えるのだと。

「東京のオフィスに出勤する多くの社会人が、
 1日1時間だとか2時間だとかの時間を、
 あの不快な満員電車に揺られて過ごしている。
 僕にはとうてい真似できない。
 僕はそれから免除されている。
 それに比べれば、
 毎日1時間走ることなんて何でもない。
 自分がどれだけ恵まれているか、
 僕は感謝してもし足りないんだ」と。

僕も今、毎朝筋トレをしながら、
同じような年代の、
毎日満員電車に揺られる働き盛りの方々を、
頭に抱いている。
彼らが家族を養うために耐えている、
「通勤という苦行」に比べれば、
100キロのスクワットの辛さなんて、
何でもない。
屁みたいなもんだ。

僕はそうしてバーベルを挙げながら、
顔を歪めてベントオーバーローをしながら、
「精神的な出勤」をしている。
この「精神的な出勤」が終わると、
僕は「アウトプットの鬼」と化し、
様々な仕事をこなしていく。

フリーランスの典型的な朝を、
今日はご紹介しました。
僕みたいなライフスタイルは少数派なので、
何の参考にもならないかもしれないけれど、
いつか定年退職したときに、
役に立てていただけたら幸いだし、
日本の働き方もこれから変わってくるだろうから、
一足先にいろんな失敗をしながら試行錯誤し、
皆様の未来の一里塚になればと思っております。

毎日通勤している皆様、
本っっっっ当に、
お疲れ様です。
日本を支えているのはほかならぬ皆様です。
尊敬しています。


*********
参考文献および資料
*********
・映画『ブルー・バイユー』(ジャスティン・チョン監督 2021)
・『気力より体力』(吉越浩一郎 2016)
・『君はまだ残業しているのか?』(吉越浩一郎 2012)
・『走ることについて語るときに僕の語ること』(村上春樹 2010)

NGOの活動と私塾「陣内義塾」の二足のわらじで生計を立てています。サポートは創作や情報発信の力になります。少額でも感謝です。よろしければサポートくださいましたら感謝です。