【自動倉庫】インターネットで買い物をする私たちを支える自動倉庫
こんにちは、DeepApex株式会社(ディープエイペックス)代表取締役の市川 駿です。
私たちは買い物をする時にどこで買うだろうか。インターネットと答える人が多いのではないだろうか。もちろんお店に行って、商品を買うこともあるだろうが、多くの場合はパソコンやスマートフォンでAmazonや楽天、様々なお店のECサイトにアクセスをして買い物をするのではないだろうか。様々な商品が作られ、配送され、私たちの手元に届くまでには巨大なサプライチェーンがあり、その結果として私たちの手元に商品が届いている。商品を販売するまでには多くのステップがあり、その過程でどこかの倉庫に保存がされているのが一般的である。倉庫と言っても保管するものは様々である。原料や部品を保管する倉庫もあれば、仕掛中の商品を保存する倉庫もあるだろう。または完成した商品を私たちに届けるために一時的に保管する倉庫もあるだろう。今では多くの倉庫で自動化が進められている。1966年に株式会社ダイフクが日本初の立体自動倉庫を開発して松下電器産業に導入して以来、非常に早いスピードで様々な産業の倉庫が自動化されてきている。
💡自動倉庫とは
自動倉庫とは、商品、部品や材料などを入庫し、荷棚に保管し、出荷するまでの一連の流れをコンピュータで一元管理する「オートメーションシステム」を導入した倉庫のことを指す。倉庫と一言で言っても、管理する商品の違い、倉庫自体の大きさ(広さ、高さ)の違いなど様々な条件が異なるので、ほとんどの場合は独自のカスタマイズにより自動倉庫システムを導入している。自動倉庫では大きく分けると4つの機械とシステム(ソフト)が使われている。
様々な業種・業界で利用されている自動倉庫を含む「マテリアル・ハンドリング」の市場は世界で5兆円〜15兆円の規模があると言われています。
その中で世界シェアトップがなんと日本企業である株式会社ダイフクなのです!
💡自動倉庫の種類
自動倉庫と言っても保管するものや倉庫の大きさ等により様々タイプのものがある。
パレット式自動倉庫
(↑がパレットとフォークリフト)
倉庫に馴染みがないとそもそもパレットって何だ?となってしまうが、パレットとは荷物を載せる荷役台のことである。フォークリフトとセットで使われているのを見たことがある方も多いのではないだろうか。パレット自動倉庫では、パレット単位で製品や部品を自動搬送し高層ラックに保管する。高さ方向を有効利用することで、格納効率を高めることが可能となります。荷物の出し入れの指示はパソコンで行うため、先入れ先出し管理も容易で、品質管理向上に繋がる。また、パレット自動倉庫は従来の保管倉庫としての使い方以外にも、仕分けや生産ラインへの部材供給・金型保管棚としても活用されることがある。
バケット式自動倉庫
バケットも一般には馴染みがないが、小型の箱のようなもので、商品などを入れておけるものである。バケット自動倉庫は不定型の商品や製品を小型バケットで保管できるタイプの立体自動倉庫である。
フリーサイズ型自動倉庫
コンテナやダンボール等様々なタイプのものを保管できる倉庫である。
移動棚型自動倉庫
(https://www.evansdist.com/top-10-features-autonomous-warehouse/)
棚自体を移動台車に載せることで密集保管ができる自動倉庫である。イメージとしてはAmazonの倉庫で使われているようなルンバのようなロボットを用いる形のものである。
自動倉庫ではスペースを有効活用するために縦方向への積み上げるが、そうなった時に浮かぶのが、日本のように地震の多い所では危険ではないのか?ということであるが、様々仕組みで地震にも耐えられるようにしている。例えば、荷崩れ抑制ストッパを取り付けていたり、減振・免震の荷棚を導入したり、揺れを検知した際に機械が自動停止するように制御されていたり、様々仕組みがある。
💡自動倉庫のメリット・デメリット
自動倉庫には多くのメリットがあるが、デメリットも存在する。まずはメリットから。
メリット
デメリット
💡自動倉庫の仕組みを提供する代表的な企業
自動倉庫の仕組みを提供する企業で代表的なのが先にも挙げた株式会社ダイフクである。マテリアル・ハンドリングの市場で世界シェアトップなのである。日本にはその他にも村田機械という会社があり、世界シェア4位である。また豊田自動織機もこの市場を狙っており、スイスの会社を買収してシェアを広めている。なお世界2位と3位はドイツのシェーファー(Scheaefer)グループとデマティック(Dematic)社である。デマティック(Dematic)社はドイツの巨大企業複合企業であるシーメンス社が設立した会社である。
💡事例
ファーストリテイリング社
ファーストリテイリングの有明倉庫では、全商品にRFIDを貼付し、ダイフク社のマテリアルハンドリング機器を組み合わせることにより倉庫の完全自動化を進めている。有明倉庫では、約100人いた倉庫作業員を10人にまで削減し、省人化率90%を達成したとのこと。ユニクロでは商品全てにRFIDが付与されていて生産から物流、販売までを一括管理している。さらに、入庫・検品・保管・出庫・封函・仕分けなどの作業もすべて機械が行い、人が手を動かす工程はピッキング作業のみとなるため、これほどの省人化を実現できたとのこと。
またファーストリテイリングは人が行っているピッキング作業についても自動化を行おうとプロジェクトを進めているとのこと。
ニトリ社
1980年に流通業としては初めて自動倉庫をダイフク社とともに作った。これは似鳥社長が当時最先端の自動倉庫を持っていた日産自動車の倉庫を見学後にダイフク社に相談したことにより企画が始まり、導入を行ったとのこと。この自動化により多くの商品を仕入れられるようになり、メーカーから安く買えるようになったことにより、低価格化と出店拡大に大きく寄与したことである。
Amazon社
Amazonは自動倉庫の技術を持つ会社を買収して倉庫で利用できるロボットを開発、運用している。Amazonの川﨑の倉庫ではルンバのようなロボットが動いている。
Shopify社
Shopifyは、約495億円で買収した倉庫自動化企業「6 River Systems(シックス リバーシステムズ)」を活用し、作業の効率化を図っている
💡倉庫以外への転用
自動倉庫の技術は倉庫以外のところにも転用されている。例えば、納骨堂である。最近広まってきている都市型のお墓の形態1つである納骨堂に自動倉庫の技術が使われている。納骨堂は外から見ると普通のビルで、中には骨壷が保管できる棚があり、お参りに行った際には番号を押すと対象の骨壷が運ばれてくるという仕組みである。イメージとしては自動の立体駐車場をイメージすると分かりやすいのではないかと思う。
また、図書館の蔵書管理にも自動倉庫の技術が使われている。本を管理するのには非常に大きなスペースが必要があるので、自動倉庫の仕組みを用いて本を管理している図書館も存在する。
📈今後の発展
ECの広がりや倉庫で働く人の不足等により倉庫の効率化や省力化は非常に重要となってきている。また、AIの活用によりロボットが24時間商品の出荷することも可能となってきている。特定の物を管理する倉庫の自動化については技術的にも非常に成熟しているが、ECサイトで形も重さも全く違うものを人間が作業するように入庫、管理、出庫するのはまだまだ技術的にも難しい部分がある。
ダイフクが2003年に書いている「今後の市場・技術の動向」が非常によくまとまっている。2003年のものであるが非常に参考になる。
●日本では自動倉庫があらゆる産業で普及しており"大きな成長"は見込めない。ただし自動倉庫は今後も不可欠なものなので、同程度の需要は見込める。
●自動倉庫の導入は日本とヨーロッパに多い。アメリカはラック、コンベア、フォークリフトの組み合わせによる従来的な倉庫が多い。(これは土地の面積も関係しているのかなと思う)
●自動倉庫についての一般的に必要な機能は既に出揃っている。今後はメンテナンスフリーや計画段階で様々なことを考慮してより高度な倉庫管理を実現するトータルシステムの構築等が軸になってくる。
自動倉庫についてまとめてきたが、自動倉庫は技術の成熟もしてきている業界であるが、コロナによる世の中の流れやECサイトやD2Cの繁栄により実店舗ではなく倉庫で管理され、そこから私たちに直接ものが届くという世界的な流れがあるため、倉庫のさらなる自動化は加速していくと思われる。
今後も様々な業界のことやテクノロジーについてまとめていきます。弊社(DeepApex株式会社)では様々な企業のIT投資最適化コンサルティングを提供しております。
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