札幌に、なぜ「俊カフェ」ができたか (5)

前の記事から2カ月以上も空けてしまいました。締め切りがないとダメですね。ついつい後回しにしてしまいます。「札幌に、なぜ「俊カフェ」ができたか」続き、書きます!

「KAKU IMAGINATIONの2階が空くのだけど」と連絡をくださったのは、私が30歳の頃からずっと髪を切ってもらっている美容室「華宮」のオーナーさんでした。KAKU IMAGINATIONは、100年近くの歴史を持つ建物。古くは札幌軟石を運ぶ馬車鉄道の事務所が入っており、次には栄養学校が入りました。この学校、現在は恵庭市で北海道文教大学という大きな大学となりました。さらにその次は今のオフィスキュー代表の伊藤亜由美さんが、フーコックというベトナム料理を経営。私が声をかけていただいた時は、じりりたという人気のハーブ料理のお店が入っていました。

趣きのある建物も、その中に入っているお店も大好き、でも金銭的な準備が何もできていなかったので数日迷いましたが、数日後、「やります」とお返事しました。多分このお返事をした時は、まだ夢見心地だったかもしれません。

何せ2015年9月、谷川俊太郎さんに「常設の場所を持ちたい」とお話ししてから1年以上、なんとなく場所を探しても出会えず、カフェの勉強もほんの少ししても、現実的な部分は何も見えず、どこかのカフェにアルバイトで入って現場を学ぶこともなく…本業のフリーライターの仕事に奔走されて時間だけがどんどん過ぎていき、「このままでは夢で終わるかもしれないなあ」と思っていた矢先の提案だったのです。

では、金銭的な不安はどうしたのか。

これは、この前年にある方からいただいたアドバイスがヒントとなりました。「古川さんがやりたいカフェは、もうイメージが具体的にあるのだから、早く始めた方がいいよ」。その方は多くのカフェ店主と交流があり、カフェを始めたい方々を応援している方でした。

「すぐに始めたいですが、資金も何もないので、まだ具体的には始められないんです」というと、「クラウドファンディングをするといい」と。「自分のやりたいことのために人様からお金をいただくのは気が引ける」という私にその方が言った一言が、背中を押してくれました。

「谷川俊太郎さんという日本中にファンがいる詩人のカフェを開くなら、それは知ってもらうべきである。そのための宣伝だと思えばいい。お金を出すかどうかは、説明文を読んだ人が判断することなのだから」

なるほど、と納得しました。(続く)

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