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機械仕掛けのコウノトリ

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【あなたの注ぐ愛は、子どもへの愛ですか?それともただの毒ですか?】 「優しさと自由は、時に残酷な未来を現実として人に叩きつけることがある」 次世代育成への注視と児童虐待の増加…
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2022年6月の記事一覧

左手に金の滝が打つ 14

第1話前話 齢一六にして真っ赤な絨毯の上を歩くことに慣れてしまったのは、自分でもいかがな…

しゅん
2年前
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機械仕掛けのコウノトリ 36

第1話前話 「お母さん。何かあったの?」 静けさが包んだリビングにかかる声に私の背中はま…

しゅん
2年前
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機械仕掛けのコウノトリ 37

第1話前話 三日後、警察から呼び出されるとあの日の朝の理由について淡々と説明をされた。 …

しゅん
2年前
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機械仕掛けのコウノトリ 38

第1話前話「そして、これは規則ですが、刑法に違反した人の夫及び妻に関しても、子供への影響…

しゅん
2年前

機械仕掛けのコウノトリ 39

第1話前話 心の整理などつくわけがなかった。 それでも、やらなくてはならない。一人でも。…

しゅん
2年前

機械仕掛けのコウノトリ 40

第1話前話 父親が返ってこない状況もしっかりと説明できず、ずっと出張に行っていると嘘をつ…

しゅん
2年前
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機械仕掛けのコウノトリ 41

第1話前話 夕食を食べ終えた後、自分の部屋に戻ろうとする宏人を制止して、またテーブルに着かせた。和人はいつもと違う私の落ち着いた表情に黒目を迷走させる。 「来週からお母さんも出張に行くことになったの。だから、少しの間、他のお母さんと同じように親が出張した子たちと一緒に暮らすことになるからね」 宏人は表情を変えずに私の目を見ていた。和人も私の目を見ていたが、すぐに口が動いた。 「少しの間ってどれくらいなの?」 和人の不安に揺れる声が胸を突く。しかし、突いたのは和人ではな

機械仕掛けのコウノトリ 42

第1話前話 家のチャイムが鳴って、インターホンを見ると黒いスーツ姿の男性が二人並んでいた…

しゅん
2年前

機械仕掛けのコウノトリ 43

第1話前話「それでは子供達を連れてきますので、少し、お待ちいただけますか?」 そう伝えた…

しゅん
2年前

機械仕掛けのコウノトリ 44

第1話前話 そのまま和人の部屋に行く。いつもならこの時点でガタガタとうるさく聞こえるはず…

しゅん
2年前

機械仕掛けのコウノトリ 45

第1話前話 市役所の空気はどうしても毒を吸っているように胸を突き刺し、後ろめたさがぬぐえ…

しゅん
2年前
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機械仕掛けのコウノトリ 46

第1話前話 ふと見上げた先にある樹木の枝には、役目を終えた葉が風に揺れ、枝との繋ぎ目を取…

しゅん
2年前

機械仕掛けのコウノトリ 47

第1話前話 テレビの前に倒されていた小さな写真立てを戻すと、そこには宏人の不器用な笑顔と…

しゅん
2年前

機械仕掛けのコウノトリ 48

第1話前話 待合席に腰を下ろし、羽織っていたコートをひざ掛けとしてそっとかけた。 スーツ姿でもなく、かといって完全にラフな格好でもなく、落ち着いた黒のロングスカートにベージュのニットを着てその時を待っていた。 考えたこともなかった市役所の職員たちの走り回る様子も、その音もしっかりと感じられていた。 この時代に未だに変わることができていないその景色を見ると私は自分がまだ取り戻せることの後押しをされているような気になって、肩が落ちた。 次話