いわき、J2仕様のアクセスへ

臨時駐車場にシャトルバス、ファン会員には有料駐車場も

 リーグ開幕が2週間後に迫るなか、J2に初挑戦するいわきFCは、スタジアム観戦の環境整備に努めている。改修工事が進むいわきグリーンフィールドは、最寄りのJR湯本駅から徒歩で30分ほど。アウェイのサポーターをはじめ、公共交通機関を使用する観戦者にとっては、少し遠い場所にある。昨年、いわきグリーンフィールドや相模原ギオンスタジアムを訪れたという女性は「スタジアムは広い公園のなかにあることが多い。公共交通機関だと最寄り駅(や停留所)からけっこう歩く」と言い、アクセスの悪さが現地観戦に対する意欲を削ぎかねないと懸念する。

 そのため、チケット販売で収益の安定化を図りたいいわきにとっても、スタジアムへのアクセス改善は喫緊の課題だ。クラブは3日、いわきグリーンフィールドで開催される今季の試合では、いわき市石炭・化石館「ほるる」と浅貝球場跡地に臨時駐車場を設けるほか、湯本駅からシャトルバスを運行させると発表した。シャトルバスは同じく臨時駐車場に指定されたハニーズ物流センターからも運行する。

 さらに、試合前後の渋滞緩和を防ぐため、いわきグリーンフィールドがある21世紀の森公園内に、いわきFCのファンクラブ会員だけが有料で予約できる駐車場も用意する。予約制の駐車システムを整備することで、来場時間の分散化が見込めそうだ。また、交通誘導員の確保と育成も必要だ。前述の女性はいわきグリーンフィールドから帰宅する際、「駐車場のことが気になって、早く出ようという気はあった」と、試合の余韻に浸ることなく、足早にスタジアムを後にしたという。実際、これまでは観客数が2,000人未満のゲームでも、公園から車が出るまで20分近くの時間を要すことがあったため、スムースな出場を促せる誘導員の存在が、現地観戦で生じるストレスを低減させるに違いない。

 昨季のJ3では、1試合あたりの平均観客動員数が5,000人を超えていたクラブは松本山雅FCだけだったが、J2はベガルタ仙台や大宮アルディージャなど、実に9クラブが1試合平均で5,000人以上の観客を動員した。この数字はいわきグリーンフィールドが増改築を終えた後の収容人数に相当する。今季はアウェイサポーターが大挙して湯本を訪れ、温泉街がにぎわう光景を見られるかもしれない。千客万来を目指して――。容赦なく挑み続ける戦いは、選手だけに課されたスローガンではない。

 

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