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運動面・運動軸 動きの分析

 前回は,運動の構成要素7種類について述べました.今回は,それぞれの動きが,どの面及び軸で動いているか説明します.我々の体(この世の全ての物体)は,1次元的ではなく3次元的 (3面) に動く.したがって,動作を分析する際や,トレーニングプログラムを作成する際は,これら全ての”面”を考慮し行う必要がある.

 これらを理解することによって,筋肉がどう関節に対し力を発揮し,関節がどのように動きかがわかりやすくなります.さらに,動作の問題点や修正箇所を見つけやすくなります.

 まず,運動面について述べたいと思います.運動面には,矢状面(しじょうめん),前額面(前額面),水平面(水平面)の3面があります.

1. 矢状面

 体を左右に2分する地面と垂直な面です.この面に対して平行な前後の動きを矢状面の動きと言います動きの例として,伸展・屈曲が挙げられます.スクワットなどが矢状面状の動きをする運動です(スクワットの主な動きは,股関節伸展,膝関節伸展なので...).

2. 前額面

 体を前後に2分する地面と垂直な面です.この面に対して平行な左右の動きを前額面の動きを言います.動きの例として,外転・内転,外がえし・内がえしが挙げられます.ラテラルレイズなどが前額面の動きをする運動です(ラテラルレイズは肩関節の外転).

3.水平面

 体を上下に2分する面です.ウエストラインに対して水平な動きを水平面の動きと言います.動きの例として,内旋・外旋,水平内転・水平外転.回内・回外が挙げられます.動きの例として,ベンチプレスなどが挙げられます(ベンチプレスの主な動きは肩関節の水平内転).

 以上3面とよく間違いやすいのが”運動軸”です.運動面は”動き”が通る面であり,運動軸は”関節”が回転運動する直線のことを言います.

 運動軸にも運動面と同様に3つあり,それぞれ矢状軸,前額軸,垂直軸があります.

 1. 矢状軸

 前後に引いた水平の直線であり,矢状面と水平面の交点で行われます.前額面の運動は矢状軸上で行われます.つまり,前額面の運動であるラテラルレイズは,肩関節が外転しますが,この時肩関節は,矢状軸状で回転運動します.

2. 前額軸

 左右に引いた垂直の直線で,前額面と水平面の交点で行われます.矢状面の運動は前額軸上で行われます.つまり,矢状面の動きであるスクワットは膝関節の伸展及び股関節の伸展ですが,この時膝関節及び股関節は前額軸状で回転運動します.

3. 垂直軸

 上下に引いた垂直な直線で,前額面と矢状面の交点で行われます.水平面の動きは垂直軸上で行われます.つまり,水平面の動きであるベンチプレスは肩関節の水平内転が主な動きですが,この時肩関節は垂直軸上で回転運動します.

 以上のように,運動面と運動軸はとても紛らわしいですが動きそのものの分析や関節の動きの分析にとても重要です.『動きは面,関節は軸』と覚えると簡単でしょう.

主に,スポーツ医学や子どものスポーツに関することについて配信します.