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なぜ山小屋で働く?

普段よくぼくに向けられる質問について深堀りしていくコーナーです。今となっては季節労働を収入源に生活する独身29歳。元は公務員をしていました。公務員を辞めた理由についてはこちらに掲載してあります。

その後4年間は北アルプスにある標高およそ2600mの山小屋で働いておりました。厳密にいうと4年間ではく、4シーズンで、夏季の繁忙期のみ4年連続で働いたという表現が正確になります。

ではなぜそんな場所で働くことにしたのでしょうか。


①登山が好きだったから

ぼくは公務員時代に始めた登山が好きでした。もっと言えば、山が好きであり、自然が好きであったこと。それが山小屋への興味の始まり。登山と接点がなければそもそも山小屋で働くという選択肢自体は生まれないかもしれません。

②お金に困らない

公務員を辞めたものの、持っている資格は普通自動車免許のみ。そんなぼくは生活費用や税金のために働かねばなりません。そこで自分自身に降りかかる金銭的な課題と山小屋生活での金銭的なメリットを考えるようになりました。
山小屋の場合は仕事と生活が共存することになり、勤務する山小屋が家であり職場にもなります。なので、基本的には街で生活した場合にかかるような家賃・光熱費を支払う必要がなく、かつ出費をする環境でもないので無駄使いを抑えながら自然とお金が貯めることができるのです。食費に関してはぼくが働いた小屋の場合、食費は1日あたり500円か600円?でした。家賃・光熱費・食費といった生活コストを最小限に抑え、自分が働いた給料を最大限に受け取ることができる。かつ職場は好きな山に囲まれているといったら、そのメリットを最大限享受しようと思ったのです。

③現場仕事(肉体労働)に興味があった

山小屋では登山道の整備や草刈り、重い荷物運びなどの肉体労働があります。ぼくはそこに興味があったのです。時代背景からすれば手薄になっているようにも感じますが、ぼくは20代という若きこの年代は頭を使うのではなく体を張って仕事をしたいと考えていました。それも若いうちに頭を使って歳をとってから肉体労働なんて到底できない、と将来を考えた時に順番としては今が先決と決断したことも覚えています。

④新たな出逢いを求めた

山小屋での生活を想像した時に各都道府県から働きにくるスタッフとの出会いが楽しみの一つでもありました。きっと公務員を続けていたら出会うこともなかっであろう人たちに出会える、それがぼくにとってまだ知らない世界へと導いてくれる気がしたし、実際に自分が思いがけない道に進むきっかけにもなりました。

⑤かっこいい男になりたかった

これは山小屋で働き始めてから感じたことですが、山にいる男の人はかっこいいと思いました。外で石運びをしているような人が、厨房に入ってめちゃくちゃうまいチャーハンやパスタを作ったりとかはザラにあります。ぼくは外仕事、中仕事とオールラウンドの男の姿に魅了され、4シーズンも山小屋で生活を送ることとなりました。


生活基盤を担保しながらも自分が挑戦したいことに取り組める山小屋という環境は仕事を辞めて道を見失っていたぼくにとっては最適解でした。また東京からはるばる北アルプスに通う工程を省略して、そこで生活しながら山と触れ合うことで限りある人生の時間を有効に使うことができるとも思います。だからこそ、山小屋という選択をぼくは選びました。


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