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駆け出しSaaS起業家が犯した「3つ」の失敗

皆さんは #SaaSLovers バトンブログというものを知っていますか…?
日本中のSaaSサービスに関わる猛者たちが1日ずつ担当し書き上げてきた、”アドベントカレンダー”のようなものです。
というわけで、先輩方が繋いでくれたバトンの重みはこんなにズッシリしているのかと、さながら箱根駅伝走者になった気分の渋川駿伍(https://twitter.com/keelerx) が24日を担当させていただきます!(汗)
どうぞよろしくお願い致します!!

私は現在、株式会社noFRAME schoolsにて、日本に相談のインフラを築き、”人生の主人公を増やす”ために「Kakedas(カケダス)」というオンラインキャリア相談サービスを運営しております。

そもそも、起業したのは2年前、19歳のとき。
そこから、かれこれ5回のピボットをしたのち、いまのプロダクトに辿り着きました。

そんなこんなで、ただでさえ前途多難な起業家人生だったわけですが、昨年の9月ごろにSaaSに足を踏み入れてからというもの、toC向けサービスを作っていた頃とは違う筋肉を使う必要があるということを知りました。

そこから始まる試行錯誤の日々、圧倒的なインプットとアンラーンの連続、アウトプットからフィードバックまでのタイムラグに苦戦しながらも、なんとかここまで歩んできました。

ただ、これら挑戦の過程で、遠回りしてしまったこと。
明らかに、失敗してしまったこと。
車輪の再発明をしてしまったこと。
などなど、いま思えば先人の知恵を借り、巨人の肩に乗っていれば回避できたことも多かったように思います。

そこで本日は、【駆け出しSaaS起業家が犯した「3つ」の失敗】と題して、「やっちまったあぁぁ!!」という過去を洗いざらい、書き記していこうと思います。
それでは、張り切っていきましょう!


①最初の壁

SaaS界隈に足を踏み入れて、まず感じたこと。

「えっ、英語3文字の用語多すぎないですか、、、」

そう。これはまず初めに、SaaSに足を踏み入れようとする者を試す、最初の難関とも言えるでしょう。

もはや、SaaSがSaaSであるために、自然淘汰の過程でその自浄作用として機能していると言っても過言ではない、飛び交う専門用語の多さ。
にわかSaaS起業家は、会話についていけなくて、すぐに見破られます。

問い詰められた質問例

ARPAってどれくらい?』
MRRはいくらくらいで着地しそう?』
NPSはとってる?』

「は、はい、調べます!」と言ってその言葉の意味をググっても、字面だけみても理解できなかったり、その数値を出すために必要な数字を、そもそも計測していなかったりと、幾度も辛酸を嘗めました。

単語に加えて、公式も出てきます。もう最高です。

有名な公式

・LTV / CAC > 3x
・CAC Payback Period = [平均CAC] / [ARPA x 売上総利益率]

《失敗したこと》
覚えていませんでした。
最初は、こんなものもあるのね、くらいにしか思っていなかったのですが、大事なものは、大事だから残るわけで、そこをあまりにも後回しにし過ぎていました。

ティエン・ツオの「サブスクリプション」ですら、尊敬する起業家の方に勧められて読み始めたくらいで、この基本の「き」のインプットの出遅れを、後々痛感することとなりました。

《教訓》
単語集があるなら最初にインプットしておけば良かった。

とても丁寧です。単語集があるならば、それを覚えない手はない。
会話において共通言語があることで、意思疎通が迅速になる訳ですから、これらのコマンドをインプットしない道はないのです。

指標があって、公式もある。
これはSaaSが美しく、嘘がない堅実なビジネスモデルだと言われている所以でもあります。
つまり、これらの単語はむしろ、真っ暗闇で進む先が見えないスタートアップにおいて、灯火になるわけなのです。

②揺れる料金表

料金表は、とても趣深い。
SaaS企業の様々な料金表を見てるだけで、どんぶりで何杯も白飯が食べられるくらい面白いなと感じています。
プランごとの価格と機能の比較がされている表には様々な情報があり、それからユーザーの動きが見て取れるのです。
そう。料金表とはサービスの哲学であり、美意識であり、引力なのです。

こんな楽しいはずの料金表ですが、自社サービスの価格設定となると、途端にムズカシイ。

価格について考え抜いて、いくつかの仮説をもとにシミュレーションしてみたのですが、最後の値決めの納得感が得られずにいました。
そのまま時間が流れ、値段を提示できない日々が続きました。
色々な人に相談するなかで、『最後はエイヤッで決めたよ〜』という先輩起業家の声に身を任せて「エイヤッ」でようやく決めることができたものの…

端的に言います。
実際の値段を出せなくて申し訳ないのですが、「エイヤッ」で決めた価格はその後、ジェットコースターのように乱高下しました。

具体的にいうと、いちばん最初に決定した料金表から、一時期20倍の価格になり、その後微修正を繰り返しながら、いまの料金表に至りました。

《失敗したこと》
ここでは「エイヤッ」で決めるまでに時間がかかりすぎてしまったことが失敗でした。
金額は一度出したら上げられない、と思い込んでいましたが、一時的な値段変更をローンチカスタマーの特典にしたり、キャンペーン化することなどで、いくらでもカバーできることを知りました。

重要なのは、お客様に損をさせたり、不義理なことをしないこと。
誠意を持って話すことが何よりも大切でした。

《教訓》
料金表は、まず出してみないと始まらない。

ここはなんともアドバイスがしにくい部分ではありますが、最初の料金表をもとに営業をしたなかでは、担当者の方に『価格が高い』と言われたことが一度もありませんでした。

直接営業している鬼ハイタッチセールスにも関わらず、値引き交渉もとい金額のついての言及がなかったことは、値段が合致していない兆候かもしれません。

ユーザーはプロダクトのどこに価値を感じて、何に対してお金を支払ってくれるのか。
B向けのSaaSであるからこそ、ここはどこまでも明瞭であるべきです。

予算ポケット、稟議での通しやすさ、初年度の予算確保等々。
考えるべきポイントはいくつもあります。

③誰の声を聴くのか

Kakedasの場合、従業員数は軒並み500名を超えるような日系大手企業を中心に関心を持っていただいております。

それゆえ、営業は毎回毎回が決死の覚悟でした。
成約か失注か。
天国か地獄か。

営業先で頂いたコメントは、毎回チーム全員で分析し、反省につなげました。
『こうしたら使いやすくなりそう。』
『この数値がダッシュボードで見れたらいい。』
『この機能だけ切り出して使ってみたい。』
『まずは自分が試してみたい。』
それこそ、営業するたびに改善点が思い浮かび、「こうしたら〇〇さんが喜んでくれそう!」といったアイデアが飛び交いました。

《失敗したこと》
ここでは、大局観を持ち合わせていなかったが故に、細かい修正をしてしまったことが失敗でした。
現場にいた自分は、営業先でのお客様の声が全てだと思い込んでいました。
一歩引いた視点で、各回の営業を振り返り、共通しているコメントを抽出する必要がありました。

《教訓》
個別具体の事象と抽象とを行き来するべし。

それは、事前に用意してあるペルソナ(仮説)に合致しているかどうか、差分はどんな点か、それらを言語化して把握することに繋がっているということが分かりました。

つまり、現場の生の声を聴かずに、仮説だけで開発するのも問題だし、
現場に固執しすぎて、仮説に基づかない開発も問題ということです。

最後に

今回は、まだまだ駆け出しのSaaS企業であるKakedasが、いまだからこそ振り返れる失敗をまとめてみました。
鮮度抜群の失敗だからこそ表現できた部分もあれば、まだ言語化しきれない部分もありました。

ぜひ、 #SaaSLovers バトンブログに参加されている皆様、それから全国のSaaS関係者の皆様、これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

そしてどうか、これから後に続くSaaS起業家の皆様には、このnoteによって同じ轍を踏まずに駆け抜けていただければ幸いです。

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ご質問等あれば、Twitterでもお気軽にご連絡ください!
https://twitter.com/keelerx
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