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ブラックスワンを前に、小さなスタートアップはどう対峙したのか。


はじめに

新型コロナウイルスの蔓延と、その予防に際して、各企業では様々な対応が為されています。

ブラックスワンとは、予測できない極端な事象が発生し、それが人々に多大な影響を与えることを指します。
リーマンショックやイギリスのEU離脱、アメリカ大統領選のトランプ大統領の当選などなど。
今回のコロナウイルスによる様々な影響は、まさしくこのブラックスワンと言えるでしょう。

このnoteでは、想定外のブラックスワンを前にしたとき、小さなスタートアップはどのように対峙してきたのか
この荒波を、いかにして乗り越えようと奮闘しているのか
その試行錯誤の過程をまとめたいと思います。

というのも、これから先、この日本では更にリモートワークに切り替える会社が増えることと思われます。
私たちの挑戦と失敗の過程が、少しでも後学に繋がれば幸いです。

2月17日: 「まだ肌寒さが残る東京」

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弊社ではこのとき初めて、コロナウイルスへの対応を発表しました。
この段階では、リモートワークは「原則」ではなく、「推奨」という形で、緩やかな移行をお願いしました。
この段階では、会社のメンバーの半数はオンラインでミーティングに参加し、また半数はオフィスに集まる、という状態でした。

・当時のメンバーの声

今の段階だとタスクに振り分けられる仕事よりも、まだ見ぬ未来を描いていく作業に価値の重きが置かれると感じていて、それはメンバー同士の何気ない会話の中の気付きから生まれてくるなあ、と。
その点がリモートでは出なくなるので、難しい。
そして、言語化しにくいですが、「みんなで未来を作っている感」も集まった方が持ちやすいかな。

まさしく、断腸の思いでした。この発表をするまで、政府発表の一次情報や、他国の事例を見ながら、毎晩のように、どうするべきか頭を悩ませていました。
というのも、まだ私たちのようなスタートアップでは、一人ひとりが非常に大きな裁量権を持っており、目まぐるしく日々の前提条件が変わっていきます。
そんなカオスの中、コミュニケーションロスが発生しかねないリモートワークに切り替えるというのは、「スピード」と「社員の安全」を天秤にかけた非常に重たい意思決定だったのです。

2月18日:「朝令暮改」

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まだ暫定的には、フルリモートとはしません。(あくまでも、2月17日の意思決定なので明日には変わる可能性もあります)

前日の暫定的リモート移行についての発表から27時間後。
文末に書いていたことを、地でいくような意思決定をしました。

ということで、この日から弊社では原則リモートワークに移行しました。

27時間で何があったのか
弊社が入居している恵比寿ガーデンプレイスタワー内の会社も、その当時はまだまだ出社している企業の方が多く、他社と比べたときに、この意思決定は早すぎるんじゃないかと、悩む節もありました。
というのも、弊社が提供しているサービスは法人が顧客であるため、営業の際に自社がリモートワークだと、軒並みが揃わず弊害になってしまうのではないかと思ったのです。
ですが、それと同時にこの未曾有の事態に、自分は意思決定をする立場として直面していることの有り難さを感じました。
それは、他の誰でもない自分が代表であるからこそ、自分の想いと自分の信じるファクトに基づく未来シナリオによって、少しでもよい世界線に導けるのではないかと再認識する機会とも言えます。

3月2日:「起死回生」

少しずつではありますが、企業がリモートワークを検討し始めました。
ただ、このリモートワークに伴い、働く人の悩みが益々複雑化していくことは火をみるよりも明らかでした。

事実、従来は法人向けにのみ展開している、弊社のサービスを一時的に無償提供した際、様々な業種・規模の会社に勤める人の登録があったのです。

ありがたいことに、この期間中だけでも、100名を超える国家資格キャリアコンサルタントの方に、プロボノとして参加していただきました。

この場を借りて、いま一度、感謝申し上げます。

他にも、ある会社ではリモートワークに移行したことで、社内のコミュニケーション量が減ってしまい、その課題解決のために弊社サービスの利用が促進されることがありました。

社内でも、営業スタイルがだんだんと変わっていきました。

「Kakedasを販売しよう」という接し方から、次第に「どうしたらこの事態に伴って、相手企業の人事が困っていることを解決できるか?」という接し方に変わりました。

これも、言うは易く行うは難し。
平常時は、相手に寄り添う大事さを知ってはいましたが、そうは言ってもKakedasありきでコミュニケーションをしていた気がします。
ですが、これを機に、徹底的に真正面から、人事の方が困っていることの力になれないか考え、提案し、動きました。

実際、全然関係のないE-learningサービスの導入をサポートしていたり、リモートワークツールを各サービスレビューして案内をしたり…

”Kakedasは、落ち着いてからでも良い。
まずは、目の前の声を聴こう。”

と心に決めてから、前よりも人事の方との距離が縮まった気がします。
そして『人生の主人公を増やす』というビジョンにも、直結しているからこそ、結果としてKakedasの利用が進んでいることも事実です。

このように、私の中でもこの機会をいかに好転的に捉えるかを思索するようになったのもこの頃でした。

4月7日:「戦後最大の危機」

『我が国において、戦後最大の危機に直面しております。』

安倍首相の、この言葉がズッシリ響き、重くのしかかったことを覚えています。

これから先訪れるであろう様々な可能性と、関係者が入り乱れている世界線の中から、この国を一歩前に進めるというのは、どこまでも複雑な意思決定だと痛感。

それと同時に、自分自身も一国一城の主であることを、今一度噛み締めました。
いま、この世界ではなにが起こっているのか。
いま、その変化に伴い、これから先の未来はどうなるのか。
もっと言えば、その前提のうえで、どんな未来を作っていきたいのか。

この緊急事態宣言に伴い、事前にリモートワークに移行していた弊社では、動揺こそ無かったものの、多くの企業では相当な影響が出たことと思われます。

同時に『5%』という数字を見て、これまで私が見ていた世界がいかに狭かったのか。
自身のフィルターバブル、いわばバカの壁を認識することができたのも、この頃でした。

そして…

ということで、2月から4月はじめに至るまでの葛藤や意思決定の過程を、ざっとハイライトでまとめてみました。

いま、私が言えることはただひとつ。
この瞬間こそ「人生の主人公として生きよう」ということです。

"歴史的に見ると、世界を変えるようなイノベーションを生み出す企業やビジネスで大きな勝利を収める企業は、常に不況期や悲観論が増えているときに創業されている。さかのぼれば、マイクロソフトやアップルがそうだった。グーグルにしても検索エンジンの後発だったうえ、ITバブル崩壊間近の創業で資金集めは容易でなかった。フェイスブックもソーシャルネットワークブームが沈静化したころの創業だ。"

私たちは、それぞれの物語の中で、それこそいろんな選択肢があって、
いろんな出逢いがあって、いろんな意思決定をするなかで、
こうして一緒に時間を過ごしています。

グローバル化が進み、あらゆる境界線が溶けゆくこの時代に、わざわざこの日本にいて。
いろんな働き方があって、いろんな会社があって、いろんな引き合いがあるなかで、私たちは、いまここにいます。

この事態だからこそ、できることがあるはずです。
あると信じて、どこまでも楽観的に社会を眺めて、どんどん10xな施策を提案し、行動していきましょう。
そのアクションが、誰かの支えになっていますし、この世界に大きな影響を与えています。

また一方、間違いなく経済に影響は出ていて、生活様式は変化し、良くも悪くも、前と同じような暮らしを取り戻すまでには時間がかかるでしょう。

ただ、主人公としてこの状況をストーリーに見立てたとき。
俯瞰して人生を眺めることができれば、きっとこのイベントすら、その後に訪れる幸せなシーンを盛り立てるスパイスになるのかもしれません。
そして、シナリオを書き換える必要があれば、この機会に腰を据えて、今一度構成し直してみるのも良いかもしれません。

さあ、ここからです。
主演兼監督として生きる、私たちの底力が試されています。

いまこそ、それぞれが人生の主人公として、考え、振る舞い、決断していきましょう。

『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。』

-チャールズ・ダーウィン





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