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9/20 汗ばむ体とジャズの音色

夏も過ぎ、朝と夜は幾分涼しい風が吹くようになったが、仕事終わりはまだまだ汗ばむことが多い。疲れた体には、必ず帰り道に音楽をかけて癒しを与えるようにする。

その時の気分にもよるが、仕事の帰りにかける音楽にはジャズが多い。行きはテンションを上げるためのJ-POPや洋楽、頭が冴えない時にはクラシックなどをメインにかけるが、くたびれて、汗ばんだ体にはジャズの音がなんだかしっくりとくる。「モダンジャズは皮膚芸術だ」というのは植草甚一の言葉だが、これほどジャズを的確に表現した言葉はない。とにかくジャズは肌に効くのだ。

ジャズを聞いたことのない人には、とりあえずマイルスデイビスの「カインドオブブルー」、ビルエヴァンスの「ワルツフォーデビィ」、ジョンコルトレーンの「ブルートレイン」をオススメしている。この三作を聴いて何も感じなかったら、その人の人生にジャズは必要ない。そう思うほどの傑作三枚だ。

始まりはメロディアスなアルバムを何作か聞き、そこから更に奥へと進んでいくのがジャズにハマる道だ。コルトレーン後期の傑作「至上の愛」やチャールズミンガスの「直立猿人」など、ジャズの醍醐味がギュッと凝縮されたアルバムを聴き、音の洪水に埋もれながら体をジャズに慣らすのがいい。

日本人にはメロディー至上主義というか、ABサビの展開で構成され、歌えるような曲でないと馴染みがない人が多いような気がする。ジャズはそのパターンとは全く違う。どこがAメロでBメロか、区別がつかないまま繰り出され、それぞれのメイン演奏者が描く全体像を緻密に構成していく音を楽しむ。その繰り返しの中で、次第に音が肌に馴染んでいき、「なんとなく分かってきたぞ」や「あ、ここもカッコいいな」などと思う瞬間が増えていく。この感覚は、ジャズを何回も聴かないと分からないはずだ。

いつもとは違う観点からの音楽を聴きたいと思っている人がいれば、是非ともジャズを聴き、その良さを肌に浸透させていってほしい。

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