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読書感想 ~喫茶店タレーランの事件簿2~

 今日から10月になり暦の上では既に秋です。
けれど昨日までの9月は毎年のように残暑と新涼のせめぎ合うために私の肌は秋を感じる準備を整えるのに難儀します。

 そんな時期に大体重なるのが今回読んでみた小説です。


「喫茶店タレーランの事件簿2
      彼女はカフェオレの夢を見る」


 舞台の京都は言わずと知れた観光地ですが、老舗の喫茶店や古都に馴染ませたイイ感じのカフェが数多くある街でもあるようです。歴史だけでなくカフェ文化を感じるためにも京都へと訪れたくなります。

 そんな新旧の文化が違和感なく融合した街並みを想像しながら読めるのがこのシリーズの良さですが、ヒロインの切間美星の聡明さも素晴らしいです。




 彼女は喫茶店タレーランでバリスタとして勤めるだけでなく、常連客であるアオヤマや彼女の家族や友人に関わる事件の謎を持ち前の洞察力と思考力によって解決へと導いてきました。

 美星の良いところは明晰な頭脳をひけらかすことはせず、他者への配慮と思いやりを持っています。知性と愛情を兼ね備えた女性です。フィクション上の人物ですがリスペクトできます。


 まったく、この前読んだ痴人の愛に登場するナオミとは大違いです。作品自体は名作と評価されていることを理解できますが、ナオミの人間性は受け入れ難いです。


 話をタレーランに戻します。美星は優秀さと元来の好奇心が災いして過去にトラブルに巻き込まれて心に傷を負っています。そのせいで相手の心に入り込むことに慎重になっているのが分かります。

 前作を読んでその背景を知っているために謎解き自体も読んでいて面白いのですが、それ以上に彼女がアオヤマや他の登場人物とのこころの距離をどう縮めていくのかも読んでいて目が離せません。


 今作は前作よりも京都の有名な観光地が舞台になっているためにどんな情景なのかを想像しやすいです。
 更に今作は美星の妹である美空が登場し、姉妹の性格や両親との思い出の違いがストーリー展開の鍵になっています。読んでいると思わず、私は弟や妹との思い出や関係性を振りかえってしまいます。

 そして随所にコーヒーかカフェ文化に関する豆知識が紹介されています。コーヒーが好きなのがキッカケでタレーラン・シリーズを読み始めてきていますが、今作も知らないことが出てきたから勉強にもなります。


 タレーランは現在8巻まで発売されていて、次の3巻目がどんな内容なのか楽しみでなりません。

fin☺️

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