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二人三脚の杖づくり 〜佐藤さんが作り、清水さんがそれを配る〜

護身用の棍棒作りから始まり、お年寄りのための杖作りへ

カラフルな線におかめの顔。独特なデザインの杖。

静岡県裾野市在住の佐藤勇之進《さとうゆうのしん》さんは、山で拾った木の枝で杖を作っている。斜めに切り込まれた溝に入った鮮やかなグリーンの差し色、毎日食べているという納豆のパッケージから切り抜いたおかめの顔。「杖」と聞いてイメージする姿とは全く異なる、オリジナリティにあふれた一点物だ。

佐藤さんが杖づくりを始めたのは10年ほど前。仕事を退職した後、健康のために山を歩くようになり、山で拾った木の枝で杖を作るようになった。

佐藤さん「終戦と同時くらいに、おじが建具屋を始めたの。そこで10年ばかし、木造の建物と大工を両方やってたんだけど、サッシが普及しちゃって。だから高層ビルやなんかの建築の方だけずっとやってたの。67歳くらいまでやったかな。仕事をやめちゃうと、体を動かさなくなっちゃう。それだとだめだから、山を歩くようになったの。一日かけて箱根芦ノ湖まで抜けて権現さんをお参りして、山を超えて湯河原のほうまでずっと歩いていったり、天城に行ったり、愛鷹山に登ったり。でも大変だから飽きちゃって。
それから、うちでもって何かやろうと思って、はじめは神棚を作ったり、バス運転士の息子のために、護身用の棍棒を作ったたんだけど、そのうち杖を作るようになった。」

はじめはバスの運転士である息子さんのために、護身用の棍棒を作った。

山で拾った自然木で作る杖は、一本一本違った曲がり方をしている。そこに、手彫りで掘った溝。佐藤さんの杖は、機能美だけではない独特の味わいがある。
ちなみに一般的な市販の杖と比較して丈が長いのは、「水戸黄門の杖をモデルにしている」そうだ。

水戸黄門が持っている杖をイメージ。

佐藤さん「山で拾ってきた木はね、一ヶ月以上干すから曲がってきちゃうの。それから墨出しして一日かけて削って溝を作って、色を塗って2日くらい干す。一日何本もは作れない。せいぜい一本だね。
でも、やっぱり山の木がいいね。硬い木だから、乗っかったって折れるようなことはねえ。」

佐藤さんの杖は、デザインや装飾が楽しいだけでなく、実はとても手がかかっているのだ。

お散歩仲間の清水さんが、杖を配り歩く

佐藤さん(左)が作った杖を清水さん(右)が配り歩く。

佐藤さんがこれまで作った杖の数は、数えてはいないものの、1000本は超えているという。作った杖のほとんどは、周りの人にあげている。

佐藤さん「周りにも年寄りが増えてきたじゃん。だから、作ったら人にあげて、病院にも持ってって。」

そのうち「朝のお散歩友だち」の清水さんが、色々なところで杖を配り歩いてくれるようになった。伊豆の温泉施設・湯の国会館にも持っていったところ、商売上手な店員さんの力もあって、10本以上は売れたそうだ。

「おかめは貼らないほうが売れるよ」とアドバイスする清水さん。

清水さん「100本以上もらってさ、置いとくところがなくて、すぐ近くのお寺に持っていったんです。すぐそこのお寺なんだけど、山の上に墓地があるの。方丈さんがこの杖を『苦しかったらどうぞ』って、お墓のある山の上に置いておいたんだって。知らない間になくなってるようだよ。50本以上持っていってるんだけど、『いくらでも持っていらっしゃい』って言ってくれてる。」

佐藤さん「作り始めるとはじめのうちは面白くてさ、作っちゃあげて歩いてたけど、最近は飽きてきた。今はもうこっち(清水さん)に任せたから。」

清水さん「できると『持ってけ』っつってさ。そう言われても、どこへ持っていっていいか分からない。」

佐藤さん「もらってくれる人があったら、どんどんあげてやって。」

清水さん「困ったらお寺へ持ってくさ。」

玄関には、毎朝飲んでいるという乳酸菌飲料の容器で作った棚。

「自然木だから、曲がってるのがおもしろいでしょ。手間がかかってるよ。」と、佐藤さんの杖を絶賛する清水さんだが、今後の活動の展望は「成り行き任せ」だそう。

佐藤さん「もうぼちぼち作らなくなっちゃうから。」

清水さん「早いもん勝ち。残された時間はそんなに長くないよ。」

佐藤さん「あと10年生きると、100歳だよ。」

90歳になってもこれだけクリエイティビティを発揮し続けている佐藤さんと、それを見守る清水さんの姿を見ていると、なんだか希望が湧いてくる。
歩いて手を動かして、毎日納豆と乳酸菌飲料を取って、これからも元気に末永く杖を作り続けてほしい。

執筆:村田あやこ
取材・写真:齋藤洋平


【ワークショップのお知らせ】流木見立てアーティストの藤池さんを講師に招き、流木を見立てまくるワークショップを行います!

流木見立てアーティストの藤池さん

日時:2023年2月18日(土)13:00~15:00(ワークショップは13:30~14:15)
場所:生きいきプラザ 2階 第4会議室(〒410-2413 静岡県伊豆市小立野66−1)Googleマップ
参加費:無料(先着10名ほど)
持ち物:なし
参加方法:予約不要ですが、人数把握のため下記のフォームに記入いただけると助かります。利用人数に制限があるため、参加人数が多い場合は会場に入れない場合もあります。
※流木が何に見えるのかを言い合う簡単な会なので、小さいお子さんにもご参加いただけます。

ワークショップ参加フォーム

記入いただけると大変ありがたいです!

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◎オープニングプレゼン(13:00~13:20)
タイトル『趣みん芸とは何か?』 趣みん芸友の会 齋藤洋平
今までに取材した趣みん芸アーティストの紹介など。

◎ワークショップ(13:30~14:15)
タイトル『今日からあなたも趣みん芸アーティスト 〜流木アート編〜』
海岸で拾った流木に独自のネーミングをつけ、西伊豆の直売所『はんばた市場』に卸している藤池作男さんを講師に招き、流木を見立てあう会。

ステップ①:見立ててみよう!「流木フィーリングカップル」
ステップ②:名付けてみよう!「名前で売ろう」
ステップ③:見立て名付けてみよう!「今日からあなたは流木アーティスト」

◎収集作品展示(13:00~15:00)※自由見学
収集してきた作品50点余りを展示。

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めちゃくちゃ面白いワークショップになると思いますので、是非ともご参加ください!!






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