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Interview1/あの頃の副部長

すがのさん(エンタメ会社事務)

人生初の一人暮らし、結婚、コロナ禍を受けた退職、そして転職を、
27歳の1年間で全てやりきった友達がいます。

すがのさんは高校時代、私と同じ吹奏楽部で、副部長をしていました。
部長はもちろん部員全員を支え、誰からも頼りにされていた彼女は、
今ではエンターテイメント業界で、技術者のアシスタントをしています。

私とは10年以上の交流が続いているわけですが、
振り返れば彼女は、
旅行があれば自ら計画を立ててくれたり、
大勢の仲間のお金を立て替えてくれたり、
(これは本人いわく心当たりがないそうですが)
どこか行くときは地図を率先して開いてくれたり、
「これ好きそう」と特別でもない日に贈り物をくれたり、
いつも誰かのために動いていたように思います。

彼女の何がすごいって、そういう他者への行動を嫌な顔せずできるところ。
大人ならできることなのでしょうか。少なくとも私には難しいです。
だから私には不思議でした。

と、いうことで、激動の27歳を乗り越え、28歳になったばかりの友達に、
この1年の話とご自身の話を改めて伺いました。
引っ越ししたてのおうちにおじゃまします。

(取材:2021年11月)

フライデーズのガカモレ

――(とあるマンション13階の廊下)見晴らし良いね。あれ、高所恐怖症だったよね?

すがの
そうなんだけど、たまたま空きが出たからさ。階は選べなくて。うわ下見ちゃった。最悪。景色はあんま見ないように、なるべく廊下の内側を歩いてる。(ガチャ)

――うわあ大変だ。おじゃまします。あ、玄関にいろいろ面白いものが。

すがの
半分は私ので、半分はともお(旦那さんの愛称)の旅のお土産。

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――印鑑が2つ。

すがの
私のと、ともおの名字のね。はは。

――うらやましいなあそういうの!洗面台に歯ブラシ2本あるのくらいうらやましい。

すがの
あはは。まあどうぞどうぞ。アボカド好き? アボカドディップ作ろうよ。フライデーズのガカモレって食べたことある? アボカド、玉ねぎ、ハラペーニョ、トマト、にんにくを和えたやつ。私あれ好きで、ガカモレのメンバーをストックしがち。実家にいた時もよく作っててさ。今日はガカモレとピザとお酒で乾杯しよう。うまそー!

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――わーい!

すがの
では!乾杯!(小声)

――乾杯!(小声)

ライフステップ上がりまくりよ。

――実家を離れるのは初めてだったっけ。実際に住み始めてどう?

すがの
うん、初めて。同居が始まるまでは少しの間一人暮らしで。なんか、ほんとーーうに、リラックスできる……。んふふふ。ぼーっとできる時間が増えた。家族と暮らしてたときは、やっぱり家族のことを考えちゃう時間が圧倒的に長くてさ。例えば弟の長風呂とか、お父さんが基本ケチでみんなにいろいろ言ってるのに、自分はめちゃめちゃ水使ってることとか(笑)。あとは家族会議とかやるとき、スケジュール調整とかアジェンダ組みとか、私つい引き受けてしまいがちで。

――すごいね、家族といるときも仕事みたいに。

そうね。で、6月に家を出ることを決めて、9月にここが決まって、10月に引っ越しして今。今はとにかくリラックスできてる。だけど変わらず水も電気も気を付けて使ってんの。水なんかもうこんな細く出してさ。貧乏癖だよね(笑)。でもまあそれはそれでよかったかな。

――たしか4月には前職を退職したっけ。今の仕事に転職したのは5月?

すがの
うん、そう。今年は本当にいろいろあった~。2月に家族会議、4月に退職とプロポーズを受けて、5月に転職、6月に家を探して10月引っ越し。もうライフステップ上がりまくり。でもねやりたいことはやったもん勝ちだし。今の仕事は技術者のアシスタント業務で、ミーティングの準備とかオーバーフローした作業のお手伝いとか。いつも誰かの行動を意識しちゃうから、家族でいるときと心持は似てるかも。

前職は旅行会社だったけど、コロナ打撃で人が減って、私が所属してたグループが人数的に運営ぎりぎりになっちゃって。残った人でもうヒイヒイだったんだけど、1人減れば人材配置とか考え直してくれんじゃないかな、と思って「じゃあ私が辞めれば組織ごと変わってうまく回るのかも」とか思ってね。そういう考え方で自分の背中を押して、会社辞めた感じかな。実家を出る決意をした時も、少し似た思いで実行に移したかも。

――ある意味自分を犠牲にして。

すがの
うーん、そう言うと自分に恰好がいい理由かもしれないけど。行動に移すために、そういう考えにいたったって言う方が正しいかも。ベースにはもちろん、1人ないし2人暮らししたい、ほかの会社に行ってみたいっていう願望があったからね。

優しくなれたのは、高校の頃。

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――新しい職場はどう?

すがの
なんかね……みんな、びっくりするほど優しいのね。心の余裕がすごいというか。誕生日祝ってくれたり、ちょっと探し物してるとすぐ声かけてくれたり、大きい物運んでると飛んできてくれたり。今まで経験したことないほどの対応で「ほんと?」って怪しむレベル。でもね半年経ってもあんまり変わらないから、多分みんな本当に優しいんだと思う。エンタメ会社だから、人に喜んでもらったり楽しんでもらうことを作る仕事をしてるだけに、ホスピタリティがすごいというか。
なんか、その心の余裕みたいのが伝染したのか、転職してからなんとなく自分も穏やかになれた気がするんだよね。一人暮らしも始めたし。今とってもいい感じ。

――これまで以上に優しくなったの!でもすがの、昔から優しかったよね。懐が大きくて尊敬してます。

すがの
いやいや(笑)。でもそれこそ人に優しくなれたのって、高校であの吹奏楽部入ったからだと思うよ。なんかさ、側だけの優しさじゃなくて、本当に周りが見えてる人が集まってたじゃん。例えばさ、最初の休日練習で同期全員で円になってお昼ご飯食べよってさ。まず優しくなきゃ人のことなんか誘えないじゃん。あと、同じパートの同期の子は、音楽のことめちゃくちゃ詳しくて、私は全く分からなかったんだけど、どんな素人質問でもいっつも優しく教えてくれたのね。「そんだけ知ってたらもっと偉そうにしない?」って思ってた(笑)。そうなると、私も優しくならなきゃって、自然に優しくなってった感じかな。だからもし私が優しいって思ってくれてるなら、それは高校の部活のみんなのおかげだと結構本気で思ってます。あはは。

そこは天才に任せたい。

――同士としてうれしいし、すごく分かるよ。「こうなりたい」って人はいる?

すがの 私はこういう人になりたいっていう1人の人はいなくて、この人のこういうところと、この人のこういうところ、全部掛け合わせた最強の存在になりたいって思うな。それこそ高校の部活仲間も、あの子のここ、あの子のここって。

――うんうん。そういう考え方いいね。あとは、「星野源」とか「かが屋」とか?

すがの
いや、その2人(2組)は天才過ぎて、そうなりたいとは思えない次元!あはは!

――あ、そこは違うんだ。2人のどういうところが好きなの?

すがの
2人とも、人の弱いところを知ってる感じがいい。作品とかコントに、思いやりがある感じがして好きなんだよね。結局、思いやりのある人は一番ですよ。

――なるほどね。「好きだけど、そうなりたいとは思わない」っていう考え方、面白いなあ。

すがの
うん。天才は、天才。私はさ芸能人みたいに、何かを発信したいとか、芸で人を喜ばせたいみたいな野望は、ない! これは即答。だって自分には無理だって思っちゃうから。でもそういうすごい人に、必要とされる人間になれたら超最高じゃん。
だから今の仕事って結構向いているかも。私の職場の人、みんなめっちゃすごいもん。みんな普通の顔してさ~、なんだよ天才じゃん!って。

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なのでまあ、これからも星野源やかが屋はテレビとかラジオで応援しようと思います。あ、ちなみにテレビは一番のこだわりで、奮発して50型を買いました。友達の家に大きいテレビがあって、憧れちゃった。しかもこちら、全自動録画機能となっておりますので、どんな番組も見落とすことがありません。もうずっと見てる。テレビっ子でよかった~。あ、岩合光昭やってる。見てほら、かわいい猫がこんなに大きくてかわいい~~。

(おわり)






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