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Finding Endのライナーノーツ

■はじめに

先日、M3-2021春にて頒布された蓮実えれなさんのアルバム「Insanity Hero」の8曲目に、「Finding End」という曲で参加させていただきました。今回はその制作時の思いを記憶から掘り起こしながら書いていきたいと思います。今回もいつものように長いです。

※各下線箇所はTwitterリンク


Insanity Heroのクロスフェード(8曲目は1:48から)


■曲作りについて

今回のお話をいただいたのは確か去年の11月頃だったと思います。作品テーマが「ダークヒーロー・SF・重々しい・激しい」とその時に伝えられていたと思います。

えれなさんには以前、自分のアルバムに参加していただいたことがあり、歌声自体は大体把握していました。聴いての通り大変パワーがある歌声なので、自分の出来ることと、アルバムテーマの擦り合わせはすぐに終わりました。

ただ曲の方向性で2つ選択肢があり、「デジタルJ-POP」にするか「トランス」にするか迷いました。というのも「えれなさんの声はI've系のダークなトランスが絶対合うだろうな」というのが正直な感想だったので、安易に自分がやってるデジタルJ-POPにしていいのか、葛藤がありました(これは今回の春M3で邪王さんがやってくれたのでやらなくて正解でした)。

その時に考えたのが「今回自分が呼ばれた意味」です。何を以ってえれなさんは今回自分を呼んだのか。そう考えた時、やっぱり今自分がやってるデジタルJ-POPが必要だからなんだろうと解釈し、デジタルJ-POPにすることにしました。

そこからは割と早かった気がします。デジタルJ-POPに決めた、ならどんなデジタルJ-POPにするか?、重くて激しい曲がテーマだったな、何回かやったことあるなという考えの基、曲作りを始めていきました。

一応テンポの速い遅いをどちらがいいか、えれなさんに確認していました(遅ければ遅くて重いデジタルJ-POPの作りにしなければならないためです)。また、地声で歌える音域とファルセットになる音域も確認していました。

曲のフルverを聴くとわかるのですが、ダークなテーマなのに間奏がかなり明るかったり、普段作らないDメロがあったり、人の曲なのに挑戦的です(笑)
当時の自分は何かしらスパイスを加えたかったんでしょうね。

ギターはいつも自分の曲を弾いてもらってるイマダ君にお願いしました。いつもマホイップに擬態してますが、ギターは最 of 高なのでぜひアウトロのギターソロを聴いてみてください。(Kemperいらないらしいので欲しい方は相談してみるといいかも)


■作詞について

作詞はできればということだったのですが、歌モノを作ることにおいて、作曲と作詞の両方を担当することは、個人的にかなり重要な意味があるので、担当させていただくことにしました。

アルバムテーマはダークヒーローなのですが、SFという側面もあるので主にそちらに着目しました。歌詞の世界観を書くとこんな感じになります。

「終わりゆく世界の中で、触れようとするも幻のようにぼやけていくあなた。わたしはあなたとの間にどんな思いがあったのかも思い出せず、現実さえままならない。そんな触れようとしては消えてゆく世界を何度もくりかえす夢を見ているように、"あなた"という名の"終わり"を探し続けている。」


1フレーズずつ解説するとなると膨大になってしまうのでやりませんが、「ゆらりゆらめく闇の中 あなただけを探して」の1行だけはもの凄くこだわりました。

自分はいつも作詞の時に「いかに難しいことを簡単な言葉で伝えて、メロディに乗せてもすんなり違和感のないようにでき、かつ耳に残りやすい言葉を選べるか」を第一に考えているため、ましてや今回サビ始まりの曲の1フレーズ目、本当に大事でした(こういう曲構成にしたのは自分なんですが...)。

このような考えで常に作っているので、作曲と作詞の両方を担当できると、メロディと歌詞の融通が利きやすい。これが自分にとって非常に大きいんですよね。

「この言葉・譜割においてメロディを変えるべきか?いやめちゃいいこのメロディは残したい...なら歌詞を変えるか?いやそうするとフレーズに対しての語感が悪くなる...この言葉でメロディ歌って歌いやすいか?一発で覚えられるか?そもそも歌える音域か?音域からはみ出していてもこの言葉に乗せればOKになるか?」などなど、こんな小難しい脳内会議が制作時は日常茶飯事です。
※音域からはみ出していてもこの言葉に乗せればOKになったことは実は何度かあります


■おわりに

そうして出来上がったのがFinding Endですが、あまりにも歌モノ歌モノしているので、アルバムの中では結構異質な部類かと個人的に思っています。またこの曲は、えれなさんリスナーへの自己紹介&デジタルJ-POP紹介の意味も込めているので、これを機会にデジタルJ-POPを知ってもらえたり、聴き馴染みのある方にはまだこういうのやってる人がいるんだなと、懐かしんでもらえたら嬉しいです。

次回はおそらく今年の秋M3でアルバムを出すことになると思います。M3運営頑張ってくれ。長い時間お読みいただきありがとうございました。

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