見出し画像

aikoを聞いていたあの頃は死についてなんて考えなかったのに。

結婚が決まった途端、残りの人生の時間について真剣に考え始めてしまった。限りある生命について本気出して考えてみたら、大好きな夫とあと何年一緒にいられるんだろうと悩み込み、朝は泣きながら起きた。

歩けば、「死ぬまでにあと何歩歩けるか」と考え、ポケモンGOをして「死ぬまでにあと何匹ポケモンをGETできるんだろう」と悲壮感でいっぱいになった。

しまいには人はなぜ生まれてきたのかと考えるようになった。生まれた瞬間から死へのカウントダウンが始まる。命あるものは必ず最後には死ぬというが、死というタイムリミットを設定したのは誰だ、と憤る。しかし、どうやらこれまでの人類の死亡率は100%。人は必ず死ぬのだ。

aikoがサブスクを解禁し、中学時代に初めて買ったアルバム「彼女」を聞いた。TOKIOの国分太一と別れた直後に作ったアルバムらしく、失恋ソングのオンパレードで、ちょうど初めてできた恋人と私も別れたばっかりだったから好んで曲を聞いた。

当時付き合っていた彼氏のあだ名はチョコチップメロンパンだったのだけど、そんなふうにまわりから呼ばれている彼のことが私は大好きで、お別れしてしまったことを心底悲しんでいた。aikoはそんな私の気持ちを助けてくれた。

14歳のとき、頭のなかを支配する世界はすごく狭くて、学校よりも家族よりも勉強よりも部活よりも、恋が私の脳の主権を握っていた。死なんて、怖くなかったし、そもそもそんな概念についてよく考えたこともなかったし。

今、恋をしていることがあたりまえで、親がいることもあたりまえ。母がつくるごはんのありがたみも知らなかったし、父の仕事場の苦労も知らない。子どもだった、と言えばそれまでだけど、たぶん子どもだった。人と人との関わり。一生懸命さの出どころ。命。おわりとはじまり。学び。老い。

死について考えたことで、家族を大事に生きられるようになったし、毎日夫に「大好き」「愛している」と伝えられるようになった。大切な人はいつまでもこの世で一緒にはいられないんだって、私はこの歳になって初めて気づいたんだ。

今度一人暮らしするタイミングがあったら猫を飼いますね!!