Smart Citizen Kit どうつかう?
ファブラボ神戸のメンバーのやりとりは主にslackでしていて、最近運営には関わっていないけど、遊びにきてくれた人や、活動に興味を持っている人に向けてもオープンにしてもいいよね、という話がでていたので、noteサークルを立ち上げた。noteサークルの会員の人には、運営メンバー(僕らのなかではシェアメンバーと呼んでいる)が参加しているslackへのアクセスを許可するURLがみえるようになる。これで、ファブラボ神戸slackでのおしゃべりが活性化してくれたらいいなあ。
Smart citizen kitをどうつかうか?
基本のコミュニケーションはslackなのだけど、入口のnoteサークルにもテーマがほしいな。と考えた結果、「デジタルファブリケーションをどう活かすか。」にしてみることにした。元々は、デジタルファブリケーションを個人の手の届くところに置く『場』になることがファブラボのひとつのテーマだったのだけれど、最近のFAB(年に一度の世界ファブラボ会議)やFabCityの動きをみると、そのフェーズから一歩先に進んで、デジタルファブリケーションを使えるようになった市民がそれをどう活かすか?という流れになっている。
こういった活動を引っ張っている中心的なラボであるファブラボバルセロナの取り組みのひとつにSmart Citizen Kit(以下SCK)がある。これは、市民が自分たちで課題を発見して分析する『スマート市民』(なにかよい呼び方あるかな。)を活性化させるためのツールで、小さなツールの中で光量(Lux)、ノイズ(dBA)、温度(℃)、湿度(%)、気圧(kPa)、PM1-2.5-10(ug/m3)、eCO2(ppm)、TVOC(ppb)などのセンサーが内蔵されている(SCK2.1時点で)。
SCK1.0の時はセンサーの内容も少し異なる
これだけ、たくさんのセンサーを市民はほんとうに活かせるのか。どう活かしていけば良いのか。それについては、SCKの技適通過版を作成した@matsumurさんのツイートにこんなことが書かれていた。
このPDFはとても壮大で市民がどうSCKを活用していくかについての作法がまとめられている。100ページ以上もあるのでこれを読むだけでも大変。本当はこれを読んで理解するのが一番なのだけれど、簡易版をつくっていこうと思う。僕の理解が足りなくて稚拙な内容にはなってしまうのだけれど、それでも、本編のPDFをみる助けになってくれれば嬉しい。
こういう資料は多くの人は最初でつまる。この最初のハードルさえ超えれば実はすごく読みやすくなる。なぜなら、すべてはこの最初の1枚に集約されているから。この1枚について解説してみる。
市民がプロジェクトを進めるにあたって大事な4つの要素がある。それが青の軸。
1. 動機づけ(EMPOWERMENT)
個人やコミュニティの問題提起を通して自分自身や環境に働きかけること。「これはなんとかしなきゃ。」といろんな人に思わせること。
2. 協同(CO-CREATION)
コラボレーションを実践していく。個人個人がつながりともに課題にとりくんでいくこと。小さなグループの課題が多くの人の共通課題にk
3. チェンジメイキング(CHANGE-MAKING)
テクノロジーを通じて個人やコミュニティに変化をもたらすこと。
4. 共有(OPENNESS)
得られたノウハウ、データ、メソッドを公開する。世界で同じようなプロジェクトが実践できるように。
これらの要素の重要さを理解したとしても、「では、どうやってそれをすればよいのか?」そのステップを示したのが、白い線で描かれたサークル。つまり、実際のプロジェクトは以下の順で進んでいく。
1. 着眼(SCOPING)
ネットや文献調査、インタビューを通して、解決すべき課題を発掘するフェーズ。プロジェクトチームのような小さいコミュニティで取り組む。
位置付け:共有(OPENNESS)と動機付け(EMPOWERMENT)
2. コミュニティ形成(COMMUNITY BUILDING)
コミュニティ全体に課題が共有され、理解していくフェーズ。
同時に必要なスキルの習得やブラッシュアップのマイルストーンが接地されていく。
位置付け:動機付け(EMPOWERMENT)と協同(CO-CREATION)
3. 計画(PLANNING)
具体的なゴールとそれをセンシングする戦略とデータ収集のステップがプランニングされるフェーズ。
必要なセンサーの入手や収集、テストが実施される。
位置付け:動機付け(EMPOWERMENT)と協同(CO-CREATION)
4. センシング(SENSING)
すべてのメンバーが計画に従って、センシングを開始する。結果はオープンにされ、ノートや観察結果を記述され、評価指標ができはじめる。
それらの結果はコミュニティ外部の人たちや政府にデモンストレーションされる。
位置付け:協同(CO-CREATION)とチェンジメイキング(CHANGE MAKING)
5. 気づき(AWARENESS)
センシングしたデータと評価指標をコミュにティ内で共有して分析するフェーズ。コミュニティ全体に気づきを与える。課題の本質や変えるべきところが浮き上がってくる。
同時に専門家を巻き込んでデータを可視化していく。
位置付け:協同(CO-CREATION)とチェンジメイキング(CHANGE MAKING)
6. 実行(ACTION)
共有された気づきから実行プランを決めていくフェーズ。一連の実行を書き出し、整理して、どのように伝えていくかを決める。
ここでいう実行とは個人的な取り組みから社会運動まで幅広い。
位置付け:チェンジメイキング(CHANGE MAKING)と共有(OPENNESS)
7. 振り返り(REFLECTION)
参加者はプロセスを振り返る。何がうまく機能して、何が変化したのか。
これらを考慮してセンシングフェーズに戻るのもよい。
位置付け:チェンジメイキング(CHANGE MAKING)と共有(OPENNESS)
8. レガシー(LEGACY)
プロジェクトの全体像と未来(future plan)を共有する。
プロジェクトをレポートなどにしてオープンにしていく。このとき、プロジェクトがサステナブルか、ツールが継続的に使えるか、を確認していく。
位置付け: 共有(OPENNESS)と動機付け(EMPOWERMENT)
読んだ感想、議論はぜひ、noteサークルで。
※このnoteはCITIZEN SENSING toolkitというPDFの内容を翻訳して簡略化したものです。元PDFはさらに詳しく丁寧に書かれているのでぜひ読んでみてください。
Fabrizio Sestini
Senior Expert,
Digital Social Innovation
European Commission DG Connect
This project has been co-funded by the European Commision within the Call H2020 ICT2015 Research and Innovation action.
The grant agreement number is 688620.
Licensed under CC BY SA
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