SCOPING、着眼をどう探すか?
前回smart citizen kitを例にして、市民が世の中の課題を解決する手法について紹介した。
引き続き、CITIZEN SENSINGのPDFを翻訳して簡単にまとめていく。
今回は、最初のステップ「着眼(SCOPING)」について。
着眼は大抵はその人の経験からの思いつきであることが多く、『着眼の探し方』そのものに言及することは難しい。そんな中で近年は『デザインシンキング』など着眼の探し方を体系的にまとめた手法が増えてきている。このCITIZEN SENSINGでも着眼方法について、具体的かつストレッチングに手法がまとめられている。これを読んだ後に、実際にSCOPINGを試してみたいと思わせる内容だった。
なぜSCOPINGが必要なのか?
SCOPINGには2つの役割がある。ひとつは、市民が問題に感じていることを浮かびあがらせて、それについて深く理解すること。ふたつめは、その問題に過去に取り組んだ事例があるかどうか調べること。特に後者は忘れがちで、過去の事例を調べることで、問題は簡単に解決される場合もあるし、同じミスをしなくて済むようになる。
SCOPINGのステップでどんなことをするか?
SCOPINGのステップでは、対象となる課題をみえる化していき、かつ過去に調査された実績が国内外であるかを調べていく。従って、そのアプローチは、論文や報告書などの文献を読んだり、その課題について知識をもつコミュニティティとのコミュニケーションなどがあげられる。必要に応じて専門家の意見を聞く。
GEOGRAPHICAL MAPPING (地理的マッピング)
地理的にマッピングを完成させることでどの地域にどんな課題があるのかみえるようになる。
1. グループにわかれて、マップ、アイコンのシート、付箋、カラーペンを配る。
2. マップやアイコンシートを使用する前にグループで課題とその地域、何が要因なのかをディスカッションして集めていく。
3. 課題に対して、その要因やそれを解決し得るリソースをマップの中に印(カラーのシール)づけしていく。
4. グループの気づきをまとめプレゼンする。それぞれのグループの結果をひとつのマップにみえる化する。
オランダのアムステルダムではこのGEOGRAPHICAL MAPPINGをガンマ線についてのワークショップに用いた。どこが問題となる地域でどこに専門家がいてなどをみえる化した。
コモンマッピング(COMMONS MAPPING)
その課題に対して、何をどこでいつ貢献できるかをみえる化する手法。
1.技術、ワークショップ、開発、リソースなどカテゴリーを分けておく。その他のアイデアなどをつくっておくのもよい。
2. アイデアをポストイットに書いて貼っていく。コンタクトする名前や場所などなるべく具体的に。
3. 円の近くに配置すればするほど、より多くの時間とリソースを使用するもの。反対に円の中心から離れるものは、短い時間と少ない人で実行できるもの。
4. 一人の人がいくつかの役割を担ってもかまわない。重要なことは多岐にわたる活動の全体がみえる化できること。
プロジェクト工程表(COLLABORATIVE PILOT SCHEDULE)
実際にいつだれが何をするかを工程表に起こしていく。
1. プロジェクトのゴールイメージと達成期間を決めて、カレンダーに起こす。
2. ゴールまでに必要なセンシング、分析、ディスカッションを期間を設定してアクションカードにする。
3. 決定したことについて議論して、スケジュールに記載する。
4. スケジュールに対して、参加する人を決める。
以上がSCOPINGの流れ。世界のトップラボはこういうプロジェクトマネジメントをしっかりとやっているというのが感動。
これについて議論したり、話したりしたくなったら、サークルに入ってしゃべりましょう。会員の方はファブラボ神戸の運営メンバーが議論しているslackの参加URLも公開します。
読んだ感想、議論はぜひ、noteサークルで。
※このnoteはCITIZEN SENSING toolkitというPDFの内容を翻訳して簡略化したものです。元PDFはさらに詳しく丁寧に書かれているのでぜひ読んでみてください。
Fabrizio Sestini
Senior Expert,
Digital Social Innovation
European Commission DG Connect
This project has been co-funded by the European Commision within the Call H2020 ICT2015 Research and Innovation action.
The grant agreement number is 688620.
Licensed under CC BY SA
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