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#184 “劣等感”その感情に火をつけて(山内斗亜/4年)


「心を燃やせ」

そう言った人がいました。

このブログは僕がこの言葉を好きになるまでの話です。



日頃より筑波大学蹴球部への多大なるご支援・ご声援を賜り、誠にありがとうございます。

筑波大学蹴球部4年の山内斗亜と申します。
今シーズンはC2チームのキャプテンを務めさせていただきました。

このブログを書くにあたり、これまで偉大な先輩方が書き残してきた歴史の一部になることを誇らしく思うのと同時に、気がつけば部員ブログを書く身になったのだと感慨深く感じております。

もう少しだけ自己紹介をさせていただくと、僕は新潟県の佐渡ヶ島で生まれ育ち、大学進学をきっかけにつくばに来ました。小学校から高校までは、いわゆる「弱小チーム」でプレーをし、人数不足で中学校3年間は公式戦に出場したことがありません。高校でもスタメンの半分以上が高校からサッカーを始めたというようなチームでプレーをしてきました。

そんな僕が筑波大学蹴球部の門を叩き、4年間の活動を終え、今感じていることや考えていることを、自分なりの言葉で書いてみようと思います。拙い文章ですが、どうか最後までお付き合いください。



劣等感から目をそむけてきた3年間

蹴球部の活動が始まって、最初の半年。それはもう楽しいことの連続だった。自分より上手い選手がたくさんいて、いつでもサッカーができる環境がある。離島で、弱小校でプレーしてきた自分にとってこれ以上ない環境だった。

1年生
最初は一番下のチームに配属されたけど、大丈夫。ここからどこまで上に行けるのかが楽しみでしょうがなかった。

2年生
1つ上のチームに昇格し、少しずつ試合に出場できるようになってきて、自信がついてきた。まだ安定してスタメンは取れてないけど、着実に成長している。

3年生
2年生の時と同じチームに配属された。去年より試合に出れたかと言われるとそんなことはなかった。誰かの怪我を埋め合わせるように様々なポジションを任され、その年卒業した先輩からもらった言葉は「器用貧乏」。


周りの同期や後輩がどんどん上のチームに行く中、取り残された感覚。
心の中が「劣等感」で侵食されていた。


思い返せば、これまでも劣等感を感じた場面はたくさんあった。1年生で一番下のチームに配属された時、2年生でシーズンの途中から試合に出場できなくなっていった時、3年生でチームを昇格できなかった時や、スタメンに選ばれなかった時。

いつも自分の劣等感に蓋をしている自分がいた。

まだ大丈夫。次で取り返せば良い。あと1年ある。

自分の心の中で溢れかけている劣等感には目を向けずに、心地よい感情だけで埋め尽くそうと必死に心の奥底にある蓋を抑えていた。

そうやって無自覚に自分の首を締め付けていき、気がつけば心の中が劣等感で溢れかえっていた。

サッカーをすることが苦しい、自分はどうやってプレーしたら良いのかわからない。何かにすがる思いでサッカーをする意味を必死に探していた。


自分の劣等感と向き合った最後の1年間

大学のラストシーズンは、自分のサッカー人生のラストシーズンにしようと決めていた。来年の進路も決まり、サッカー選手としての自分は今年が最後になるとわかっていた。

キャプテンに立候補したのは、チームを創るということに強い興味を持っていたことに加えて、自分の退路を断ち、今の自分を変えたいという目的もあった。自分に言い訳をしないように、他の誰にも責任を転嫁しないように、自分がチームの先頭に立ってサッカーをするんだという自分なりの覚悟でもあった。

これまで自分の劣等感から逃げてきたからこそ、今年は自分のプレーで、姿勢でチームを勝たせたいという気持ちは人一倍強かったと思う。

でも、いざシーズンが始まってみるとそんな思い通りにはいかなかった。

試合に出場するどころか、前年に負った膝の怪我の影響でシーズンの半分以上をベンチから眺めていた。

どれだけ気負っても試合には出れず、チームが勝てていない状況にもかかわらず、何もすることができなかった。

ただ苦しかった。怪我の痛みを誤魔化しながら出場した試合で、何もすることができずチームは逆転負けし、悔しくて誰にも見られないようにトイレで泣いたこともあった。(同期には見られてたみたいだけど。)


でも転換期はあった。リーグ戦6節目、今シーズン初のホーム戦。

その試合も怪我で出場はできなかったけど、会場にはたくさんの部員が応援に来てくれた。前半開始早々に失点し、「またか」とでもいうようなチームの雰囲気の中、相手を圧倒するような熱い応援に背中を押され、終了間際の逆転ゴールでホーム初勝利を飾った。

その時、自分の心に火がついた気がした。

「あいつらの前でプレーして、心を動かすような試合がしたい。応援してくれるみんなが、応援してよかったと思えるような試合がしたい。」

気がつけば、心の中は闘志や高揚感で溢れていた。

まるで劣等感なんて最初からなかったみたいに。

シーズン後半戦に入って怪我も治り、試合に出ることが増えた。
ホームでの試合もたくさんあり、勝ちも負けも、感動も落胆も、応援してくれるみんなと、チームのみんなと分かち合った。

それらはこれまで生きてきた中で感じたことがないほどの心の抑揚だった。

最後の数ヶ月、サッカーが楽しくて仕方なかった。それは入部した時の楽しさとはちょっと違って、言葉にするのは難しいけど、プレーすることだけじゃない、サッカーそのものを楽しんでいるような感覚だった。


何か1つのことに本気で取り組めば、必ず劣等感を伴う

気が付かないように放っておくと、いつの間にか溢れてしまうし、
溢れた心を綺麗にしようとしているうちに、自分の成長も止まってしまう

でも、溢れる前に劣等感を燃やしてエネルギーに変えて
そのエネルギーが自分をより高いところへ連れて行ってくれる

だから僕は、これからも自分の劣等感と向き合っていく


今でも、あの時(今年最初のホーム戦)に応援にきてくれたみんな、その後もC2チームの応援に来てくれたみんなには感謝しかない。

みんなの応援のおかげで前に進むきっかけができたし、最後の最後、サッカーの本当の楽しさを享受できたと思ってる。本当にありがとう。

今年最後のタイトルを獲れるチャンスがもうすぐやってくる。自分ができる最大限のことをして、今年こそはインカレを優勝して終わりたいと、心から願っている。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今後とも筑波大学蹴球部への変わらぬご声援をどうぞよろしくお願いいたします。


筑波大学蹴球部

体育専門学群4年

山内斗亜

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